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景気動向とキャリアチェンジや多様性の需要

景気が悪くなり、ゴールデンウィーク明けからスタートアップや外資ITを中心に転職希望者がスカウト媒体などで確認されるようになりました。

一方で企業側の動向を見ていると、採用を継続している企業であっても要件がグッと上がる傾向にあります。訳あり低待遇の求人を除くと、未経験、微経験可の枠を探すのが難しい状態です。

景気の上下に伴い企業の採用方針はどのように変化をしていくのかについて今回はお話をしていきます。

景気動向とキャリア多様性の需要

IT業界に関してはパラダイムシフトや、局所的な好景気が時折起きていますが、そうした好景気に見舞われた環境下では労働者の多様性が認められやすい傾向にあると考えています。

未経験、キャリアチェンジ、スキルチェンジ

多様性という言葉の中にはスキルレベルもあります。IT業界であれば2015年のアベノミクスから2022年11月までは比較的好景気と呼べる状態でした。このような環境下では、やる気がある、素養があるという未経験、微経験人材であっても雇用される傾向にありました。人が居ないので育成コストを払ってでも採用したいという背景がありました。

また、ITエンジニアの中途面接のシーンでよく遭遇するのですが、現職より給与アップの上で、これまで経験したことの無い技術セットにトライ(スキルチェンジ)したいという求職者が一定数居られます。こうした方々も好景気下であれば奇特な企業が採用していましたが、現在ではかなり厳しくなっています。

好景気の期間が終わり、未経験・微経験の受け入れ可能な求人というのが業種を問わずに少なくなり、真っ当な求人が減った結果、昔から存在する低待遇・高負荷なブラック企業の求人が目立っている状態です。これまで見えなくなっていた暗部が露出しているような節もあり、近いうちにまとめたいと思います。

リモートワーク

リモートワーク比率が減少しているというお話があります。コロナの五類への移行を根拠にする企業が多い一方で、リモートワークありきのライフスタイルや子育て・介護環境にシフトしている人たちには非常に厳しい状況です。

生産性の議論もありましたが、スタンダードになりうる指標が業界に波及するほどには至らず、77%の企業が「特に計測していない」状況のまま3年が経過してしまいました。また、生産性のモニタリングに至った企業であっても、絶対的な売り上げ低下の前には無力であり、オフライン比率が高まっているという話もあります。

更にたたみかけるように好待遇で有名だった外資ITを中心に「フェイクワーク」(全力で仕事をしているフリをしている)の話が話題になっています。

こうした話を総合していくと、働き方の多様性もまた好景気があってこそ成立していた企業の余裕が前提だったのではないでしょうか。景気の低迷が続けば、働き方改革自身も死語になる可能性があります。粗利は全てを癒してくれるのです。

個人的にも都心から離れての地方移住や、大凡都内に連日通えない距離(片道2時間以上)で家を買った人たちの今後を気にしています。今後のキャリアを考えたときに、不利になるリスクがあるのではないかと憂慮しています。

Timeeに見られる副業や隙間バイトによるキャリアチェンジ

学校卒業後に就業経験がない主婦が、子育てが一段落したときに働きたいと思った場合、就業経験がないためにアルバイトであっても採用ハードルが高いという事象がありました。

最近Timeeに関するお話として耳にしたのですが、Timeeのような隙間バイトにこうした方々が参加することで、下記のようなことが起きているそうです。

  • 隙間バイトなので採用ハードルが低い

  • 隙間バイトであっても就業実績が作れる

  • 即日で振り込まれるので成功体験を得やすい

このことは広くキャリアチェンジをする際の示唆に繋がるのでは無いかと考えています。不景気な一方で人材は足りず、経験者を求める風潮にあって、副業や隙間バイトで希望するキャリアチェンジ先の実績を積んで応募をするという動きは合理的です。

履歴書やスカウト媒体は「今後の希望の働き方」を必須にして欲しい

採用に関わる上で悩ましいのがこのポイントです。希望の働き方が無いと、「現状のままで待遇や環境を変えたいのかな」と思うわけですが、そういうわけではなさそうです。

特に採用活動をしていて最近悩ましいのがAI、機械学習といった研究開発系の高い人材です。特定の業種で、特定のデータに対して研究開発を行っているわけですが、思ったより売り上げに繋がらずに研究開発部門が解散・縮小しているケースが見られ、それなりに転職市場で確認されています。

専門性が高いが故に、次に求めている働き方が無いと一向にマッチングしない傾向も感じています。例えば数年に渡って画像解析について取り組んできた人材であっても、「(思ったような結果が出ずに)もう画像なんてやりたくない」「飽きた」「プロダクト化が見えやすい企業に行きたい」というケースもあります。これは過去の実績だけでは窺い知ることはできません。

加えて大手スカウト媒体では職種が未だに「データサイエンティスト」しか存在していないため、データエンジニア、機械学習エンジニア、アナリティクスエンジニアの全てが「データサイエンティスト」に含まれてしまっています。中にはこれらのデータ職の中で転身したい人も居られる訳ですが、起点も終点も「データサイエンティスト」なので全く分かりません。これだと歩留まりも悪いんですよね。是非対応して頂きたいポイントです。


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