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副業考:増加する「副業/複業する人」のモチベーションとキャリアパス

 活況を迎えつつある副業・複業市場ですが、先行して副業をしている人たちを見ると様々な理由が見られます。今回は副業にまつわるモチベーションを分類しました。副業をしている・検討している方だけでなく、送り出し側企業の理解・受け入れ側企業の戦略の参考になればと思います。

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副業を取り巻く状況

 2020年のエン・ジャパンのアンケートの副業希望理由では「収入を増やしたい」が2019年、2020年共に88%でした。2019年比で5%以上伸びた回答としては「失業したときの保険」が22%(2019年は14%)とあり、新型コロナウィルスの影響による現職への不確実性に対する備えが感じられます。その一方で「キャリアを広げたい」も25%(2019年は20%)と伸びており、副業に対する捉え方も多様性があることが分かります。

 従来型のスカウト媒体にも「正社員を希望する」「業務委託を希望する(フリーランス)」に加え、「副業を希望する」という選択肢が登場している他、OffersやYOUTRUSTのように副業を全面に押し出す媒体の登場もあります。

 受け入れる企業側も進んでいます。スタートアップの会社さんの中には「正社員はCo-Founder含めて2-3人、他はみんな副業」というスタイルが登場しています。また、上場企業などであっても正社員採用のハードルが高いので、ハードルが低い接触チャンネルとしての副業採用から始めようという動きも聞こえてきています。

副業を手掛ける人を分類してみた

 副業に関するモチベーションを分類した図を以下に示します。

副業 (1)

 横軸には目的を置いています。「生活のために働く」いわゆるライスワーク的なものか、将来のキャリアを見据えたものかということで別れます。

 そして上下にはリスクを取っています。現職と同等、もしくはより平易なものであればその業務は想定の範囲内であるためリスクは下回ります。逆に自身のスキルよりもストレッチしたものや、継続が困難なものであれば高くなります。続いて各要素を見ていきましょう。

傾向A.転職を視野に入れたお試し

 言わばお試し転職のようなものです。同一職種でありながらいきなり転職するには抵抗がある場合には特に有効と言えます。企業側も様子を見ることができることからミスマッチを回避したり、オンボーディングに気を遣うことが減ることから、今後の転職市場では増えていくことが予想されます。特にITエンジニアからすると謎な組織である非IT企業のDX担当などは有効ではないでしょうか。

傾向B.本業では体験できないこと

 全くの異業種へのお試しキャリアチェンジてす。デスクワークだった人が突然飲食とかもあり、所謂ライクワークに区分されるものです。一般的にはこのような異業種への転職を伴うキャリアチェンジは履歴書にしたときに穴が空いたように見えることがありますが、副業であれば首は繋がった状態なので問題はありません。

 また、毛色が違うものとしては本業が扱っていないサービスへの関与というパターンもあります。システム会社に居ながら、ゲームサービスにジョインするなどです。自社のポリシーからしてまず進出しなさそうな分野の会社に副業に行くというのは、自社の上長視点でも止められないものがあります。

 かく言う私も他社の組織改善を副業としてお引き受けしています。評価制度や仕組みづくりをお手伝いしているのですが、本業は今は海外採用中心なので日本の開発組織・採用事情をポーリングし続けたり、実績を増やすためという色合いが強いです。

傾向C.本業にするにはリスクの高いこと

 起業やスタートアップへのジョインなど、100%切り替えるにはリスクが高いこれへの挑戦ですが、本業に体重を残した状態での挑戦だと心理的ハードルは低いです。もしうまくいったら本業にしても良いという姿勢で起業に望まれる方はチラホラ確認されます。

 以前お話した時流を読みながら自身の立ち位置を投機するやり方も、副業環境下では低リスクで実現可能です。

ライスワーク的な副業

 続く傾向D、Eはライスワークの色が強くなります。

 ベンチャーでの転職市場などでは「希望金額は出せないが、その分、副業を許可するのでそれで補填して欲しい」という交渉を見聞します。私もその交渉をされたことが他社であります。被雇用者の観点からも、やりたい本業に移る分、減った収入を補填したいということでこれらの選択肢を取る方が居られます。本業に少しでも残業があると厳しいのでは?と思うと大変そうな方も居られます。

傾向D.似たような職種を追加

 手にしている技術を元にできることを空き時間に詰める発想です。時給志向の方に多い印象です。手堅い金銭の獲得方法ではありますが、実績に幅が発生しくいので、長期的に見ると職務経歴書の行数が増える以上の効果は難しいように感じられます。

傾向E.ギグワーク・アルバイトを追加

 スキマ時間を有効活用できるギグワーク。ある程度の条件のフリーランスエンジニアであっても「本業は程々にしつつ、健康のためにデリバリーで自転車に乗って小遣い稼ぎ」という方も居られるようです。

 上記のように確信的に関わられている方は問題ないと思いますが、どう見てもアルバイトを「副業」と表現することでポジティブに話しているだけの方も居り、ご自身の現状把握が気になるところです。

被雇用者から見た副業選択と中長期的なポイント

 私自身、額面月15万円だった経験があるので、ライスワークとしての副業(D、E)もやむなしの場合はあると思います。ただ長期的な視点に立つと、本業や現在のスキルが永遠で無い以上は長期に渡って現状と同系統(D)、あるいは自身のスキルから見て容易なもの(E)を選択し続けることはリスクがあります。

 本業に集中するという選択肢も視野に入れることも必要です。それでも副業を継続するという判断に至った場合、現状を根本から変えるために軸足を現職に残しながらもある程度のところでAやBにシフトして現状の脱却を手堅く図る。そんな選択肢を持たれることをお勧めします。

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