エンジニアリングと税金の話

私は医薬品エンジニアとして医薬品製造設備の導入と保全管理を行っているが、税金も含めて会社のキャッシュを最大化するにはどのような設備投資が望ましいのだろうか。

まず、会社が支払っている税金は大きく法人税と固定資産税があると思います。設備投資をすればするほどその後の減価償却費が膨らみ、それを経費計上すれば支払う法人税を小さくできる。一方で、固定資産の残存価額が大きくなるため、支払う固定資産税が大きくなる。では、どのような設備投資が望ましいのだろうか。

アパート経営とかの場合は、建屋の減価償却費を経費計上できるため、減価償却費を減らすようなことはあまり考えないと思うが、会社の工場の場合、減価償却費以外にも修繕費、用役費、設備撤去費(特別損失費)などの経費が多くかかっているため、減価償却費が大きいことのメリットは小さく、利益を生まない設備であれば不良資産として早く廃棄(除却)してしまった方が固定資産税を小さくできる。固定資産税はざっくりと残存価額の1.4%なので、取得価額が1億円の設備であれば、8年償却としても8年間で支払う固定資産税は600万円にもなる。さらに、固定資産税の場合、残存価額の下限が取得価額の5%であるため、8年償却後も毎年7万円の固定資産税を払い続けなければならない。一方で法人税の場合、償却後の資産は減価償却費が0円で経費としての控除できないため、なおいっそう、利益を生まない不良資産は早く除却する方が良いことになる。

結論としては、設備投資をする際は、減価償却費を上回る利益を生むことが想定される設備(投資回収が耐用年数未満であれば、設備が生み出した利益に対して減価償却費をまるまる控除できる)に投資すること、そして投資した後に利益を生み出せないことが想定される設備は速やかに除却することが望ましいことになる。しかしながら、投資しても利益を生み出せなかった設備でも、外部環境変化によって急に利益を生み出すことも少なからずあるため、その勘所は経営者や会社のこだわり、ポリシー、理念によって判断されるところだと思っております。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?