製薬会社の製造部門はコア事業か?

近年、製薬会社のアウトソーシングがますます進み、研究開発部門だけしか残らないのではないかとさえ思えるほどである。製薬会社は新薬を開発して利益を得ているので、研究開発がコア事業であることは確かだ。ここで、ジェネリックメーカーは新薬開発をしていないため、一先ず除外して考えと、製薬会社の製造部門はコアにならないのだろうか?

否、私はコア事業であるべきと考えている。その理由を以下にまとめてみた。

  1. 製薬会社は製造販売事業を営むメーカーである

  2. 近年、研究開発された薬を商用生産するには高い技術が必要であり、技術移転が難しい

  3. 品質と安定供給に自分ごととして責任を負うべき。会社のビジョンが製造部門とも共有できることも重要。

  4. 開発経緯を熟知しているため原価低減しやすい。そしてそれは価格を下げてアクセス向上や保険制度維持に大きく貢献できる。

  5. 製造受託会社に丸投げになってしまうと、自社の技術やノウハウが衰退してしまう

  6. 固定費はかかるが貴重な人材を確保できる

そう考えると、会社のためだけでなく患者さんのためにも、製造部門も製薬会社のコア事業であるべきである。

積極的なアウトソーシングが経営効率を上げる一方で、Patient Centricityといった「患者さんのために」をビジョンに掲げている製薬会社が多い。患者さんのためを思うなら、製造部門もコアに置くべきだと私は考えるし、その結果、経営効率が上がるといった流れが大切なんだと思う。

かなり個人的な考えだが、薬の原価低減は会社の利益のためでもあるけど、薬を少しでも安くして医薬品アクセスを向上させることにも繋がる。患者さんのために原価低減するんだといったマインドがもっと広がってもいいのかなと思っている。


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