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バブリーなスキーリゾート開発が進むニセコエリア視察!持続可能な開発ってなんだろう?

先日色々とご縁がありニセコエリアの視察へ同行させていただきまして、いくつかのコンセプトの異なる開発現場を見てきました。今回はそのあたりの比較を記事にしておきたいと思います。

ちなみに、同じニセコエリア(ニセコアンヌプリ山周辺)でも、行政区画はニセコ町と倶知安町などにまたがっています。


ハイシーズンは一泊200万!?超富裕層向けコンドミニアム・ペンション乱立の倶知安町サイド

さてまず倶知安町サイドですが、こちらは正直バブリーな乱開発状態と言って過言ではなかろうかと思います。

現地のホテルを記載した看板

凄まじい新築ペンション&ホテルの数々。中華系(香港やマレーシアなどの華僑)資本がガンガン投資して高級宿泊施設が建設されており、オフシーズンでも一泊10万円を超える宿がうじゃうじゃ。中にはハイシーズンは一泊200万以上を取るところもあり、海外の超富裕層を呼び込んでいるようです。

まだまだ建設中!

この投資スキームとしては、香港やマレーシアなどの中華系資本が旗を振り、中国本土などの富裕層に一室数億円でコンドミニアムなどの部屋を売却。さらにその所有者が未使用の期間をホテルとして運営し、管理運営費でもさらに稼ぐというもののようです。というわけで地域資本どころか、国内資本でもありませんw

この開発のなにが問題なのかということを挙げれば、この先どこに行くのか誰にも分からないであろうということ。最近中国本土の不動産がヤバいと言われますが、もはやあまりに複雑な国際経済のなかで、この先なにがどう影響してくるのかも予想がつきません。海外富裕層のスキーリゾート熱がいつまで続くのか、また気候変動の将来的影響なども、誰にも分かりません。

少なくとも一つだけ分かっていることは、かつてバブル経済を味わった日本の各リゾート地は、今でもその負の遺産に苦しんでいるということだけです。

自治体は乱開発を法的に防げない、という問題

(※こちらの項は情報提供をいただきリバイス・追記しました。)

この状況に対して自治体が無策だったという訳ではありません。例えば俱知安町では準都市計画&景観地区を引いています。

またニセコ町でも同様に、準都市計画&景観地区&景観条例とガッツリと規制をかけています。

それにも関わらず、現に俱知安町サイドはものすごい乱開発状態になっているわけです。しかも、その波がニセコ町サイドにまで来ていることを示唆するのが課税データです。

倶知安町とニセコ町は1人あたり総所得金額(給与所得、事業所得、不動産所得等の合計)では他自治体と比べ目立った数値ではありませんが、1人あたり分離長期譲渡所得(所有期間が5年を超える土地や建物売却時の課税)はトップクラスの数値を叩き出しています。要は、土地が高額で動いているということであり、今後さらなる開発が行われる可能性を示唆しています。

令和4年度 市町村税課税状況等の調 第11表より(単位は千円)

このように自治体が現行法令上可能な範囲で積極的に規制を行っても、グローバル資本の過熱的な集中による乱開発には太刀打ちできないのが実情です。それにも関わらず、乱開発の長期的リスクを引き受けるのもまた自治体です。

関係者からは、「法令上できる限りの規制をしており、いかんともしがたい」という声も聞こえてきます。

ニセコ町地域資本による「ニセコミライ」住宅開発

一方視点を変えてみると、ニセコ町では地域資本を中心とした「ニセコまち」社が、ニセコミライという持続可能性を掲げた集合住宅の開発を行っています。

建設中の第一号コンドミニアム!

なぜ持続可能性なのでしょうか。まず、ニセコ町の人口動態を調査し、世帯数に対し戸数が足りないという課題、また除雪コストなどによる住み替え需要などから、「ニセコで求められるのは戸建」という固定観念を覆したコンドミニアム建設を行っていることです。要は、生活実態と実需をベースに開発を行っているんですね。

さらに住宅の中は超快適な断熱・高機密なエコハウスです。日本では「風通し」が重視され高機密な家が敬遠される傾向にありますが、これって鎌倉時代の吉田兼好の、「家のつくりようは夏をもって旨とすべし」という言葉がそのルーツです。しかし1000年前の人の適当な発言なので、間に受けないようにしましょうw

このように実需ベースでエネルギー効率のいい住宅を建設しているわけですが、それだけでなく地域資本による開発ということで、資本が地域に蓄積します。外資だから絶対ダメとは言いませんが、外資が生み出すのは単純労働の雇用が中心だったりします。地域資本であれば雇用だけでなく、ノウハウや資本も蓄積していき、再投資が可能になります。

日本の特に地方では資本蓄積がなく、新しい産業を作れないことが問題であったりもします。在りし日の一本足打法の産業の衰退後、国の交付金や原発のような大規模公共事業依存を深めてしまったり。ちゃんと自分たちで資本主義をやることが大切なんですね。

それはさておき、いいところ。人間性を大切に。

とまぁ難しい話もあるのですが、それはさておいて、過密なコンクリートジャングルに住む関東民からすると、北海道の開放性はほんとに気持ちがいいのですね!

高橋農場より羊蹄山を望む
高橋牧場のソフトクリーム
高橋牧場チーズ工房のピザ
観光客も地元民も訪れるニセコの道の駅
現地の方と語らいながら飲む地酒

結局は、人間性を大切に。目の前の人を、そのときそのとき大切に。持続可能性ってそんなところにあることを感じた、ニセコの日々でした。


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