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"カオナシ"行政職員にならない為に!こんな傾向に注意しよう。

さて以前に、行政職員がどんどん”カオナシ化(無個性傾向・感情表現や意思表示の減退)”していってしまう、という記事を書きました。

もちろん行政職員としてゴリゴリ働いていた20代の頃の私も例外ではなく、どんどんカオナシ化しかけていた時期があり、ある時ふと「あれなんか変だな自分、このままじゃマズいのでは!?」とハッとしてもがき始めることになったのですが・・・

その話はまたの機会に譲るとして、そんな経験から、"カオナシ化"職員が陥りやすいワナについていくつか書いてみます。


見えない敵と戦い続けてしまう

行政の面白さでもあり辛さでもありますが、とにかくステークホルダーが多いという構造的特徴があります。全住民が権利を持つ相手であり、良くも悪くも民間企業のようにマーケティング、サービス内容や交渉などで顧客の選択が一切できません。

ということは、あらゆる方角から思わぬタイミングで"受難"する可能性があるのです。それはいわゆる明確にカスタマーハラスメントに属することもありますし、あるいは政治や社会状況の余波を受けての場合もあります。もちろんそんなことは確率的には滅多に起こらないのですが、ステークホルダーの多いさゆえに試行回数が多くなるので、"痛い経験"はそこそこ蓄積していきます。

すると何が起こるかというと、いつのまにか常に見えない敵と戦い続けてしまうのです。何かプロジェクトなどを進めるときに、「誰々が〇〇と言ったらどうしよう」といった懸念が大量に湧いて出てきます。そしてそれに怯えてしまうのです。

これの問題は、実際に誰かが何かを言ったわけではそもそもない、ということです。様々な再現性の薄いレアケース事例(ただしトラウマになるような強烈なもの)が前提となっており、実際に誰かが何かを言っていた、ということはまれなのです。もしあっても、しっかり対話すればだいたい大した話じゃないことがほとんどです。

それにも関わらず、我を忘れて見えない敵との戦いにエネルギーを向け続けてしまっているのです。そして全ての見えない敵を満足させることはできませんから、「時期尚早である」などと先送りの結論が発生しやすくなります。

これを避けるためにも、常日頃から懸念に対し、「誰が」「何を言って」「実際に何を必要としているのか」というファクトとディティールを明確にしていく必要があります。

そしてそもそも自分たちが何を成し遂げたいのか、という自分軸をはっきりさせ、軸を立て対立を恐れないことも重要です。

ネガティブチェックに全振りしてしまう

これは上記のワナと似ているものですね。

例えば何らかの必要に迫られて新規企画などが持ち上がったときに起こりやすいのが、ネガティブチェックの腕を競う「懸念点指摘選手権」です。いかに様々な懸念点を指摘し、将来の懸念をつぶせるかを競い合います。もちろんその結果としてソーシャルインパクトの芽もしっかりと摘まれていきます・・・

また"手続き"への過剰依存もこの系統にあるものです。「そこまで細かくやるか!?」というような「文言チェック(という名の、てにおは・誤字脱字チェック)」が行われたりします。

これがなぜ起きるかというと、こちらも意外と根深い問題があります。というのも、有名なものだとモリカケ問題などもそうですが、こういったある種の政治問題は、意思決定そのものだけでなく、プロセスの妥当性でも争いを昇華しようとする傾向にあるからです。

筋論で言えば有権者が選挙権の行使で判断すべき政治案件ですが、プロセスにも問題があった方が色々と分かりやすいので、だいたい矛先が行政サイドにも向かってきます。公文書開示請求や住民監査請求などが起こるということですね。

もちろんアカウンタビリティや透明性の守破離の守として、こういった制度は非常に重要です。なんですけど・・・これ、めちゃくちゃストレスフルな業務なのです。だって初めから疑いありきであら捜しをされるので、本当に疲れます。私は20代の頃に大量の残業をしなが半年くらいこの類の対応を続けて、ある日の朝嘔吐してそのまま立ち上がれなかったことがあります。

こういった経験を重ねているうちに、組織も個もネガティブチェックを重んじるようになってきます。無意識・暗黙にそういったネガティブな態度へのポジティブフィードバックも発生してきて、組織文化として定着するのです。

そうなんですが、だいたい見えない敵との戦いと同じく、空振りします。ネガティブチェックよりも、自分の意志と専門性(知識と経験)に頼ること、そうなれる状況を作ることが重要です。

計画づくりで力尽きてしまう

これは透明性やアカウンタビリティとも関連しますが、行政では、今後想定する行動プロセスを行政計画に落とし込み議会に報告するという作業が行われます。

これはこれでいいのですが、「見えない敵と戦い続け」「ネガティブチェックに全振りした」計画に、魂が残っているのかというのが問題です。そして本当に力を注ぐべきところはそのあとの実行なのは言うまでもありません・・・

”仏作って魂入れず”にならないよう。そのためには見えない敵との戦いやネガティブチェックに全パワーを投入している場合ではないのです。

心理的な困難さへのサポートを

このような状況が横行してしまうのは、心理的サポートがないことも一つの原因です。というのも、ごちゃまぜになった様々な不安など"心理的なカベ"が効率的な業務遂行を妨げてしまっています。

私自身も経験上そうでしたが、そういった混乱状態にあるとき、自分の力でその状況を脱出するのは困難です。なんなら「自分は合理的に行動している」と思っていたりもします。

薄暗い霧に包まれるような実態のないモヤモヤで思考がクリアにならないときは、コーチングなどの相談支援を使い、状況を自覚して道を定めることが役に立ちます。


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