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お箸の「おもてなし」
第一章: 和食の美しいマナー
1. お箸と箸置きの使い方
和食の食事の際、お箸の取り扱いには特別な注意が必要です。箸置きは、食事中にお箸を置くための専用の場所です。お膳の一番手前に、お箸の持つ方を右側にして、二本揃えて横に並べます。この時、箸先を2~3センチほど出して置くのが理想的です。
もし箸置きがない場合、折敷の左側の縁の手前部分に箸先をかけて置くことも許容されます。食事が終わったら、使った箸先が見えないように始末しましょう。箸を袋に戻し、袋の先を三分の一ほど後ろに折り返しておくと美しいです。
2. 割り箸の種類
割り箸にも様々な種類が存在し、それぞれの用途や使われる場面が異なります。
天削箸: 頭を斜めに削った高級な箸で、コース料理などで用いられます。
利休箸: 両端が細くなった角箸で、茶道の懐石料理などに使用されます。
元禄箸: 口に入る部分の4つの角を丸くし、溝のある割れ目が入った中級品です。
角箸: 木の角を残した角型の箸で、引っ掛かりが良く、麺類を食べるのに適しています。
丸箸: 両端が細くなった丸型で、結婚式やお正月などお祝いの席で使われます。
割り箸を割る際には、箸を横にして上下方向に開いて割るのがマナーです。ささくれを取るために箸をしごくのはマナー違反です。
第二章: 箸使いのタブー
箸使いには、守るべきマナーと避けるべきタブーがあります。以下の行為は避けましょう。
返し箸: 箸を上下逆に持って、頭の方を下にして食べ物を掴むこと。
寄せ箸: 箸で小皿などを引き寄せたり、向こうに押したりすること。
もぎ箸: 箸の上の方に付いたご飯などを、口先でもぎ取ること。
渡し箸: 食事の途中や終わりに器の上に箸を渡すように置くこと。
涙箸: 箸先から汁をたらしながら食べ物を取ること。
刺し箸: 煮物などを箸で突き刺して食べること。
さぐり箸: 器の中から好きな物や食べたい物だけを箸で選り分けること。
ねぶり箸: 何も掴んでいない箸を口に持って行って、箸先を舐めたりすること。
迷い箸: いったん箸を出したのに、それを取らずに料理の上で箸をあちこち動かすこと。
移り箸: おかずを食べてから、すぐに別のおかずへと箸を出すこと。
第三章: 食べ方のタブー
和食の食事マナーには、箸使い以外にも様々なタブーがあります。以下の行為は避けましょう。
にらみ食い: 口元に持って行った器越しに人をじろりと見ながら食べること。
踊り箸: 箸を振り回したり、箸先であちこち指しながら食べること。
犬食い: 背中を丸めて器に頭をかぶせるようにして食べること。
押し食い: 茶碗の中のご飯を押し付けて固めて食べること。
話し食い: 食べ物を口いっぱいに入れたままで話すこと。
第四章: 箸使いの応用
尾頭付きの魚の食べ方
頭に近い背側の身から尾に向かって、一口ずつ食べ進みます。小骨や焦げた皮は器の手前にまとめます。上身を食べ終えたら、頭と中骨を外し、下身を食べます。食べ終わったら、頭や骨、尾などを器の左手前にまとめます。
大皿盛りの料理を取り分ける方法
取り箸、もしくは直箸で小皿に綺麗に盛り付けます。大盛りの料理は目上の人から順に取り分けるのがマナーです。各自が自分の食べる分を小皿に取り分けてから食べ始めます。
お椀の蓋の扱い方
お椀の蓋を開ける際には、左手でお椀を押さえ、右手で蓋の糸底部分を持ち、「の」の字を書くように回して開けます。開けた蓋は内側を上にして、お膳の右側の外に置きます。
会席料理の順番
前菜: 酒の肴で山海の珍味や和え物などが少量ずつ出されます。
吸い物: 季節の素材を使った椀種にすまし汁を張ったもの。
刺し身: 旬の魚や貝類など、2~3種類を盛り合わせて出されます。
煮物: 季節の海や山の幸を煮上げたもの。
焼き物: 魚の切り身か姿焼が基本ですが、肉や貝、野菜などを焼いたものもあります。
揚げ物: 天ぷらなど、衣を付けて揚げたもの。
蒸し物: 茶碗蒸しが代表です。
食事膳: ご飯、止め椀、香の物が出されます。
果物: 季節の果物が出されます。
お菓子・お茶: 和菓子と抹茶か煎茶が出されます。
これらのマナーを守ることで、和食の美しさとおもてなしの心をより一層感じることができます。
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