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一人呑み回想・高知(その2)

高知での出張の際、
勘に任せて入った寿司屋さんで
ウツボの煮付けを頂き、
「なんで日本酒を頼まなかったのだろう?」
って、自問自答。

そこで、またまた当て所なく
アプリにも頼らず
ひたすら自分の臭覚を頼りに
初めての通りを歩き、
繁華街の中を一人彷徨い続ける。

「どっかに日本酒が呑めそうな、いい店はないか?」
そんな呪文よのうな言葉をを
心の中で呟きながら
気になる店があれば、
その店の前を二度、三度と通り過ぎつつ、
店の様子を伺おうとする俺。

なんか、ただただ怪しいオッさんの行動だけど(笑)

そんな中、見つけてしまった、
いやいや出会ってしまったお店。

それが高知市の蓮池町通り近くにあるお店
「米米くらぶ」

こんなに分かりやすい看板、
なかなかないかも(^^)

日本酒をここまで露骨に
全面的に押し出す。

しかも、このキャッチコピー
「土佐の純米酒の飲める店」
って。

端的に説明してくれて
「ありがとう」
って、お礼を言いたくなる。

しかも、店の入り口脇の正方形の看板と
その上部に掛けられた縦長の看板。
ダブルで俺の視界に攻め込んでくる。

なんだか逆に分かり易過ぎて、
ちょっと不安になる俺・・・

なぜかって?

良いお店って、
案外分かりづいら場所にあったり
ひっそりと佇んでいたりする。

これ、今までの一人呑みでの
ちょっとした経験則。
もちろん、そうじゃないケースもあるけれど。

その経験則からすると
だいぶ打ち出し感が強くて
なんだかスナック的な感じがしてしまう。
(スナックが悪い訳じゃないけど)

お店の立地や造り的には、
おそらく以前はスナックだったのかもしれない。
そんな勝手なストーリーを
頭の中で妄想したりして。

そんなことが
ぐるぐると頭の中をめぐった数分間。
「何はともあれ、入るしかない。」
「これも経験のうちだ」
って、ずいぶんと大げさに気合を入れて、
いざ入店。

ドアを開けると、
カウンターの中にオバ様が一人。
先客は奥に女性がお一人。

「こんばんは。一人なんですけど大丈夫ですか?」
って声を掛ける。

するとオバ様が間髪入れずに
「なんか食べたいなら、よそで食べてきてからうちに来て。
うちは酒のアテしかないから」
って先制パンチ気味のレスポンス。

「結構パンチの効いたおばちゃんだな〜。
まー、嫌いじゃないけど」
と一人納得して、
おばちゃんに
「大丈夫です。今、食べてきたんで」
って、投げ返す。

そして、カウンターに座り、
おしぼりを頂いて
「何の日本酒にするかな〜?」
って思いを巡らしつつ、
カウンターの中をよくよく観てみると
日本酒がびっしりと詰まった冷蔵ケース。

それを観ておばちゃん、
「スゴいやろ。日本酒のために特注したんよ」(正確には土佐弁でキツめに!)
って。

やるな、このおばちゃん!
日本酒への愛がハンパないんじゃん!!
なんだか、この店でこのおばちゃんから日本酒を
注いでもらうだけで酒の味が旨くなりそう(^^)
ただ、ちょっと口撃的ではあるけど・・・

そこからオススメの日本酒を頂きながら
アテに出してくれる時に
「このトマトは高知で採れたものだけど、
塩だけで食べてみー」

でもって、言われるがままにお塩で頂くと
何ともジューシーで濃い味のトマトだこと!
いつも食べてるトマトは何なんだ
って、思っちゃうくらい旨い。

そんな俺の心のうちを見透かしたかのように
「どう、旨いやろ?」
っておばちゃん。

この人からしたら、
俺なんて酒呑みの中でも
まだまだ序の口なんだな。
俺も酒呑として上を目指さなければ。
なんて、思ってみたりして(笑)

さてさて、こちらにお店には
高知出張の際に何度かお世話になりました。

ある時には、
おばちゃんのお友達お二人(どちらもおばちゃん)と
計3人のおばちゃんトライアングルに囲まれながら
土佐弁が飛び交う会話の中
土佐の純米酒を頂いたり。

そこで初めて店のおばちゃんが
なんと80歳のお婆ちゃんであることを知り
「どんだけ元気なんすか!!」
って驚嘆したもんです。

他にも高知の酒蔵の営業の方と知り合ったり、
おばちゃんのお友達から
「東京の高知のアンテナショップにレストランがあるから、
行ったら私からの紹介って言ってみー」
なんてことも仰っていただり。

おばちゃんたちは、
俺が土佐弁がわかる東京人だと思っていたようだけど、
実は半分くらいしか理解できなかった・・・
ってのは、ここだけの話^^;

はてさて、
コロナ禍のご時世、
お歳もだいぶ召しておられた
あのおばちゃんは
元気でいっらしゃるのだろうか?

そして、お店は・・・

できれば、またあのおばちゃんから
「あんた、また来たの!?」
なんて先制口撃を受けながら
土佐の日本酒と高知のお野菜を頂きたい。

高知での思い出を振り返りつつ、
そんなことを想ったりして。