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父親に除霊されてた記憶

夢と過去の記憶の間で織りなされた世界で、私は亡き父の車に座っていた。安価なセダンの車で、薄く引き伸ばした安っぽい金属で出来た車だ。父は車を停めて、私を車内に残したまま、すぐ目の前で木の葉っぱなどを見てる。

雑草学の研究をして居た私の父親は、旅行をかねて植物採取などを行なって居た。


車の中で待って居た私は急に頭が重くなり貧血のような眩暈がして父親に助けを求めた。

直ぐに父親は私の元に駆け寄り介抱を始めた。背中を摩ったり、胸の辺りを叩いた。

この夢が、過去の記憶から来たものなのか、それとも新しく作られた夢なのかはわかりませんが、除霊されていることだけは確かでした。


退屈から詰まらなくなり、急に気分が悪くなったのか、山奥の植物が出す胞子などを一気に吸い込み拒絶反応が出たのか理由は定かではない。

しかし、父の介抱によって頭にかかっていた嫌な重さが取れていき、気分が晴れてきた事だけは分かった。


父親は植物関係の研究職に就いていた。そのため頻繁に海外の山奥にある村などに行って、その土地の風習などにも一通り精通して居る信心深い人だった。

子供の頃を振り返ると、私はよく除霊の効果がある介抱を受けていたことを思い出します。


私が11歳の時に父は亡くなりました。そのためか父に対しては怖いイメージが強く、愛されている記憶があまりしませんでした。母のように愛を言葉で伝えてもらった記憶はありません。もし父が生きていたら、私と対立して悲惨な結果になっていただろうと思っていた。

父親の介抱を受けながら、そう言った思い込みのような妄念が、少しずつ晴れていくのを感じた。

言語化されて無かった父の愛情を、記憶をたどることで知る事になった。


山の霊に取り憑かれて居た私は、父親が優しく叩く事で伝わる心臓の鼓動でゆっくりと目が覚めた。

現実世界で目覚めた私は気分が良く、それが除霊されたおかげなのか、ただ偶然に良い朝を迎えたのかは分からない。


私の除霊法は、多くの霊能者の先輩方の方法や、さまざまな宗教で伝承される秘術を状況に応じて使い分けていますが、その根本は両親から受けて来た介抱と同じである事を、思い出したのだった。

偶然にも、この日は新月の翌朝で、神道において特別な日でした。

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