2ナカノ_note_イラスト

HISTORY text by ナカノ 後編

 小学校の頃は、こういうキャラだった。中学生のときは、高校生のときは…。こんなふうにその時代を形容できるなら、そのひとが編んできた「歴史」はとても簡単で、単純なものに思えてしまう。

 しかし、

ひとの「歴史」は、思ったよりもずっといろいろなことがあったはずであり(ほとんどは忘れてしまうけれど)、そのキャラに対して「らしくない」感情があふれ出した、笑いや涙も多くあったはずだ。

 そして、その濃密な「歴史」を通してはぐくまれたひとの人間性は、思ったよりもっと豊かで複雑なものだ。「キャラ」という枠組みで、その人を定義できるほど単純ではない。


 「キャラ」という役割を持っていると、そのコミュニティの中での立ち位置が保証されたように感じられて、安心する。実際、その「キャラ」をみんなそれぞれ守る努力をすることで、保たれているコミュニティもあるだろう。人間関係は、難しいのだ。

 
 でも、その「キャラ」は、自分の一面にしか過ぎないことを、自分だけは決して忘れたくないとも思う。

わたしには、わたしにしかない価値がある。
わたしには、わたしにしかない「歴史」があるから。

おわり

☆ナカノ☆見出しイラストの大学一回生。新潟出身。京都在住。"majime"zine編集長。大学ではファゴットを演奏。以前担任の先生にファゴットをパペットと誤認され、話を合わせ続けた悲しい過去を持つ。"majime"zineに寄稿してくれる方、大募集中。興味を持ってくれた方はinstagram→majime_zineをチェック!



 


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