見出し画像

値段は勝手に決まる

価値と値段は比例するのか

価値と値段は比例するのだろうか。
私は必ずしも比例するとは限らないと考えている。

どれだけ高価な原料を使っても、有機栽培であろうと、無農薬栽培だろうと夕飯で使うネギはせいぜい80円/本あたりが限度だろう。どんな付加価値を付加しようともここから倍にはならないと断言できる。

なぜなのか。まるで価値がないから値段が上がらないのだろうか。そうではない。
答えは買う人たちの予算がそのくらいだからである。
“夕飯で使ういつものネギ”の相場観が1本80円前後である限りそこに個人がどんな工夫をしたところでその値段からは大きくずれないのである。
そこに私の努力は関係ない。

値段の決まり方

値段の決まり方は大きく分けて2通りあると考えている。

自分軸の値段と相手(買い手)軸の値段だ。

自分軸の値段は基本的にはその商品の最低価格になる。
決まり方はこうだ

自分軸の値段=1個あたりの原価+(その他経費+生活費)/生産(販売)可能数

要は再生産価格のことである。
当然この値段を下回ると事業として成り立たなくなってしまう。
ちなみに彩園なかやのネギに当てはめると32円/本というのが自分軸の値段となる。
したがって彩園なかやは手取り32円/本以上の値段で販売しなければならないのである。

では相手軸の値段とは何だろうか。
それは“カテゴリー別相場観”で決定する。
カテゴリー別相場観は今私が作った言葉だ。
これは相手がその商品をどのようにとらえているかによってその相場観が変わりその相場の範疇でしか購買されないということである。
例えば食べ物を目的別にカテゴリー分けしてみるとこうなる

①     毎日食べる夕飯の食材
②     自分へのご褒美
③     お出かけ先のお土産
④     お世話になってる人への贈答品

ぱっと思いつくカテゴリーはこんなものかと思う。ではこれらの相場観はどのようなものだろうか。おそらくそれぞれしっかりと決まっていると思う。

①     毎日食べる夕飯の食材 →0円~150円
②     自分へのご褒美 →300円~500円
③     お出かけ先のお土産 →500円~1,000円
④     お世話になってる人への贈答品 →3,000円~20,000円

人によって多少の違いはあるだろうがこんなものではなかろうか。
ほぼ例外なく食べ物を買うときには目的によってその相場と予算でやっているはずである。
したがって自分の商品が“食べ物”である限り相手のカテゴリー認識によって値段が決まっていくのである。
これが相手軸の値段の決まり方だ。

値段を見誤らないためには

自分の商品の値段を見誤らないためには自分の商品のカテゴリー認識と買い手のカテゴリー認識を一致させる必要がある。
つまり自分の商品が“毎日食べる夕飯の食材”なのか”自分へのご褒美”なのかをしっかりと理解し買い手とすり合わせていることが必要であるということだ。
自分の認識が”自分へのご褒美”であっても買い手の認識が“毎日食べる夕飯の食材”であれば500円で売りたかったとしても、実際はせいぜい150円程度でしか売れないということになる。

この認識のずれを起こさないためにはまず自分の商品がどのカテゴリーに属しているのかをしっかりと認識したうえでそれに適したプロモーションをしていく必要がある。
ちなみに彩園なかやの商品ラインナップにおいては「数式ネギ」が“毎日食べる夕飯の食材”、「焼葱専用ねぎ」が”自分へのご褒美”と認識しており「数式ネギ」は1本50円なのに対し「焼葱専用ねぎ」は1本250円の値段になっているが問題なく売れていく。

また、カテゴリーは目的別のほかにも売り場別のカテゴライズも大きなカテゴリーになっている。簡単に言えば高級スーパーと激安スーパーである。実際そこに並んでいる食べ物は味や見た目は正直大差ない。大きく違うのはプロモーションの差である。
要はその売り場に見合った商品であるというプロモーションができているかどうかというのが重要なのである。

したがって商品の値段を上げたければ
「目指すカテゴリーに適した商品プロモーションをする」
ということが重要である。
よく言う「付加価値をつけて値段を上げましょう」というのはそのカテゴリーの値幅内で値段を上げる工夫である。根本的に値段を上げたければカテゴリー認識を変更してもらう必要がある。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?