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【K-POP探訪】第4回・JO1 それは確かな、K-POPとJ-POPの邂逅


夏を感じる今日この頃。今回は四回目のK-POP探訪。

今回は初めての日本活動グループ、JO1について書いていこうと思います!

音楽より彼らについて書く部分も多くなる記事ですが、悪しからず。

・私は全くをもって音楽には詳しくありません。好きな曲について思ったことを書きます。
・私はRed Velvet培養のK-POPアイドルファンです。それもあってか、世界観のある曲や世界観の一貫したアルバムが好きです。
・音楽はネオシティポップなどのニュートロポップ、ニュージャックスイングなどのR&Bの雰囲気がある曲が好みだと自負しています。そういう曲を褒める傾向にあります。
・記事中で取り上げたアーティスト以外の曲の話もめちゃします。


日本初の試み!プデュで出会った101人のDIVAたち

いつもは音楽についてガッツリ掘り下げますが、最近「沼落ちブログ」がJAM(JO1のファン)の中で流行ってるみたいなので、出会いから書いて行こうかと。

私がJO1のメンバーたちに出会ったのは、2019年企画の「PRODUCE 101 JAPAN」のときです。

I.O.I、Wanna One、IZ*ONEを排出した、PRODUCEシリーズの日本版。最近season2も制作、デビューメンバーが発表され、更なる盛り上がりを見せています。

PRODUCE 101 JAPAN(以下日プ)放送時、私は1年間の寮生活真っ只中。寮の同階メンバーたちと毎週の配信を楽しみに、日々投票に勤しんでいました。

(寮暮らしだったから頃の私たち。集まってTVを楽しんでいました。)

ただ、私はオーディション番組があまり好きではありません。オーディション番組は彼らの音楽やダンスだけでなく「人間性」「生活」を切り取り、私たちに提供します。彼らの人生までも売り物にし、その人生の大きな舵を「ファン投票」という形で握らせるのは、なんだかアイドルという職業の枠組みを逸脱してるように思えてしまうのです。(アイドルという職業自体にそういう面があることはさておき、ですが)

実際、日プ期間中のSNSはファンたちの心無い言葉で溢れることもありました。韓国人メンバーへヘイトスピーチとしか考えられない言葉が投げられ、それが原因かは分からないにせよ、番組に大きく寄与した韓国人メンバーが3人とも途中棄権するという事態に。
日本と韓国を繋ぐ架け橋になり得たメンバーを失った、それ以前に3人、そして101人の心を大きく傷つけた可能性があったことは、私の精神を若干崩壊させるのに事欠かない事実でした。

結果的に素敵なメンバーが11人に選出(他の人が選ばれても素敵でしたが)。私が投票していたメンバーも選ばれ、そのまま私はJO1のファンクラブに入ります。


彼らの強みを生かしきることは不可能なのか

彼らの最大の強み、それは「K-POPにルーツがある日本グループ」であることだと思います。

ながく彼らを応援してきた人であればあるほど、「強みはそれだけじゃない」と思うでしょう。ですが、音楽的に引っ掛かりを作るなら、やはりK-POPの旨みを存分に吸収し、それを日本語の歌詞に落とし込むことは必須です。

2020年3月にリリースされた『無限大』。

彼らの声、ダンス、その全てが前進したものであったのとは裏腹に、「こんなもんか」という気持ちにならずにはいられませんでした。
彼らの成長を、韓国のアイドルを夢見た日本人11人の幸福を、無限大は100%背負える曲だったのか?

CDを3枚積んだ私ですが、それ以降、何となく気持ちが「冷めて」しまい、ファンクラブを退会したのはセカンドシングル発売前後だったと思います。


11人の新人たちを牽引したのは、「ダンス下手組」と「ラップ組」の成長

2020年、デビュー年の活動の総決算として出された彼らの1stアルバム、『The STAR』。

その中に、『GO』という曲が収録されています。これこそがJO1の全てが詰まったマスターピースであると私は思っています。

2step風のオシャレなビートに、彼ららしい幾層にも重なった電子音。さらに、宇宙をさまよい進み続ける飛行船を体現したような、11人にしかできないダンスパフォーマンス。

その音は確実に、「K-POPの旨味を凝縮した日本語楽曲」でした。K-POPアイドルが日本デビューする時の日本語曲とも違う、私にとっての新体験。

この曲のパフォーマンスを見てみます。11人の動きはひとつのチームとして、川尻くんが言うところの「まるでひとつの生き物のように」、動きます。
このような動きを実現するためには、突出したダンススキルを持つメンバーがいることよりも、全てのメンバーがダンススキルにおいて一定の基準があることが必要です。
SEVENTEENの『Mansae』は、これを体現していると言えるでしょう。

(さらに、SEVENTEENの『Left&Right』や『Home;Run』は、全員一定のダンススキルが必要な群舞に加え、ミュージカルのように一人一人が個性と役割を持ったダンスであると感じます。これに関しては第1回で詳しく書いています。)

それを実現したのは、ダンス未経験でオーディションに挑んだ、いわゆる「ダンス下手組」の成長です。


オーディション参加時はこんなクネクネダンスだった與那城くん、河野くん、金城くん。勿論ほかのメンバーのダンススキルの底上げもありましたが、この3人の「ダンスに対する努力」が、JO1が11人でなくてはならない理由をより強固にしたと言えます。


更に、彼らの努力を語るに事欠かない存在は、木全くん、大平くん、鶴房くん、白岩くんの4人。いわゆる「ラップ組」です。

ご存知の通り、JO1はファン投票で選ばれたメンバーです。結成当時はラップ経験者、ラップパート志望者がおらず、「ラッパー不在」と言われたチームでした。
そこでラップをすることになったのが、オーディションまでラップをしてこなかったこの4人です。
正直、最初の2作品のラップは、「初心者にしてはよく出来ている」レベルでした。しかしこの『GO』で、彼らのラップに光が指します。少しずつ進化する彼らのラップは、3rd single『Born To Be Wild』で開花します。


語る上で欠かせない、與那城奨という存在

與那城くんの話をすれば、JO1というチームのバランスの良さが分かる。そう断言できるほど、彼ののリーダーとしての手腕は突出したものであると言えます。
こう言うと驚く方もいます。彼はメンバー内最下位の11位でデビューした存在。チームでも、リーダーとして前に立って引っ張るタイプではないからです。しかし、彼の器の大きさ、目に映るものを客観的にとらえ力にする能力、自分自身を磨く努力はどのアイドルグループにも劣りません。
オーディション番組でファンが選んだ、どこよりも粒ぞろいなメンバーをまとめる最年長のリーダー。そして前に前に出るのではなく、1歩引いたところから彼らを見つめ、必要な時は矢面に立つ。
その姿は、EXOのスホやBTSのRMとも被る部分を感じます。


自分が尊敬され、自分が特別なものとして扱われることよりも、グループ全体が尊敬され、特別なものとして扱われることを第一に考える人。
売れるグループのリーダーの特徴です。そういう自己啓発本ありそうですね。


「Born To Be Wild」、K-POPとJ-POPの邂逅が彼らの音になる


さて、今年の4月にリリースされた3rd single「CHALLENGER」の収録楽曲、『Born To Be Wild』の話をします。やっと今回のメインです。

この曲、私の中では2021K-POPランキングでもかなり上位に入ってくる曲です。
彼らが1年間歌い続けてきた、「進みゆく力」を直接的に表したサウンドと歌詞。3:45の間、頭からつま先まで前向きさと多幸感満載の楽曲に仕上がっています。

この曲のAメロはベースの音が際立つ作りになっています。そこにあるのは軽快なベースと彼らの歌声だけで、少しニヒルな、でも力強い雰囲気を感じます。
実はこの手法、古くからあるJ-POPでよく使用される手法のようです。
アイドルでいえば、嵐。

『空高く』のAメロは『Born To Be Wild』と同じようにベースが際立つ作りです。そしてこの曲も「仲間とともに頑張ろう」そんな曲。平成の日本のアイドルソングを、ひいてはJ-POPを支えた嵐と同じサウンド展開なのです。

さらに、ネオシティポップの最先端といえばこの人達!だったSuchmosも同じ手法を使っているのだと、このnoteで気づきました。

大好きなYMM、嵐と同じ血を分けていた。

しかし、『Born To Be Wild』はサビに入ると途端にK-POPで流行するサウンドになります。音数がグッと減り、単純なビートになる。そこで歌い上げる雰囲気は、SEVENTEEN回でも紹介した「サビ静か系」と重なります。

一度紹介しましたが、サビ静か系の好きな曲たち。

この音や、サビ終わりにラップの展開があるところで、突然K-POPらしい音になるように感じます。

そして言及しなければならないのはラップ。ここで彼らのラップは、ひとつの完成系を見せます。
まず白岩くんは、歌唱も担当するいわゆるオールマイティメンバーです。彼のラップはJO1のラップにアイドルらしさを加える強いスパイスとなります。
次に、鶴房くん。鶴房くんはオーディション番組時代にラップに目覚めた、JO1内では一番ラップ歴の長いラッパーです。彼のラップは、低音で無機質。EXOのセフンを思わせる彼のラップは、名実ともにJO1ラッパーの土台となります。
木全くんは、デビュー前にトレーナーに「声がいいからラップをやった方がいい」と言われてラップを始めたメンバーです。その言葉の通り、彼の声はK-POPアイドルらしい丸みと尖りを合わせ持つ声で、世界観のあるラップ。その世界観はJO1という世界観と見事に一致し、ラップとボーカルを繋ぐ架け橋となります。
大平くんは、ダンサー志望だったため、デビュー後なかなかボーカルパートが貰えず苦しんだメンバーです。彼のラップは、日本のジュブナイルラッパーを思わせるような、エモーショナルなラップ。『Born To Be Wild』ではどのメンバーよりも光るパフォーマンスで、JO1のラップを完成させるために必要不可欠な存在となりました。

『Born To Be Wild』という曲の存在、彼らや運営会社の努力は、デビュー1年目にしてJO1を「新人として完成されたアイドルの姿」に導いたのです。


彼らの進化がこれで止まるはずはない


最後に、オーディション番組時代からある曲、『Young』を紹介しましょう。

この曲はファンからも大人気の曲です。
この曲の良さは歌詞にあると私は思っています。
「たとえ一人でも突き進むだけ」
という歌詞にあるように、この曲は孤独な戦いでも、夢のために仲間と突き進んでいく若い力の強さを歌っています。しかし、
「怖くても散るのさ華麗に美しく」
サビに入ると、なんと「咲く花の美しさ、実る果実の美しさ」ではなく、「散りゆく美しさ」を歌うのです。
散る美しさを歌った曲といえば、SEVENTEENの日本語曲『舞い落ちる花びら』が記憶に新しいでしょうか。

百人一首に、『ひさかたの ひかりのどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ』という歌があります。
散る花の美しさは、日本人が古来より歌い続けていたもの。
この頃から、オーディション番組の頃から、彼らは「J-POPとK-POPの邂逅」を果たしていたのです!


K-POPにルーツを持つ日本グループ。彼らは、日本語歌詞で歌うK-POPサウンド、J-POPらしい音とK-POPらしい音のミックス、様々な新しい音楽を夢見せてくれます。
彼らはそんな彼ららしさを徹頭徹尾守りながら、より良い音楽を目指し常に進化し続けてきました。彼ららしさはもはや、所属も国も超えたところを目指しているのだと思います。そんな彼らの努力が実を結び、JO1の音楽が徐々に浸透していると、現在進行形で実感します。

4thシングルももうすぐ、彼らの音楽の止まらない発展を、これからも楽しみに聴かせてもらいたい。そう感じる毎日です。

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