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【K-POP探訪】 第1回・SEVENTEEN 進化する青春賛歌

K-POPという音楽ジャンルに触れ合い始めて3年ほど経ちました。
2020年は「たくさんのK-POPアーティストの曲を聴いて好きになる」が目標だった私。K-POPの面白いところは、日本を含む色んな音楽文化を吸収してリスペクト・オマージュしているジャンルだから、音楽に詳しくない私でも、簡単にめちゃくちゃ色んな種類の曲が楽しめるということ。
2021年の目標は「たくさんのK-POPアーティストの曲をアルバム曲レベルまで聴き込む」に設定したので、せっかくなら色んなグループを楽しんだ記録をつけていこうかなと思います。


まず最初に注意書き的な意味で書き残しておきます。

・私は全くをもって音楽には詳しくありません。好きな曲について思ったことを書きます。
・私はRed Velvet培養のK-POPアイドルファンです。それもあってか、世界観のある曲や世界観の一貫したアルバムが好きです。
・音楽はネオシティポップなどのニュートロポップ、ニュージャックスイングなどのR&Bの雰囲気がある曲が好みだと自負しています。そういう曲を褒める傾向にあります。
・記事中で取り上げたアーティスト以外の曲の話もめちゃします。




第一回はSEVENTEEN!


SEVENTEENは日本でも大分人気のあるグループなので、聞いたこともある人も多いのでは。
13人の男性パフォーマンスグループ。事務所はpledis、現在はBTSと同じBig Hitの傘下です。
13人の織り成すパフォーマンスは圧巻で、そのステージメイクに定評のあるグループです。
13人がボーカルチーム、パフォーマンスチーム、ヒップホップチームに分かれて、歌ダンスラップバランスよく強いのも特徴。


;(Semicolon)

SEVENTEENの2020年末に発売されたミニアルバム;(Semicolon)。今回はこのアルバムを中心に話を進めようと思います。


一曲目はタイトル曲の『HOME;RUN』。人生におけるチャレンジを野球に見立て、ホームランを打とう!と明るく背中を押すような一曲です。

歌うテーマはかなり力強く、挑戦する若者を応援するような内容ですが、曲調はレトロなジャズで、MVも古き良き世界観を投影した映画のような雰囲気。ステージも一貫してミュージカルのような作りになっています。

更にアルバム曲を追って聴いていきます。

『Do Re Mi』はR&Bっぽいグルーヴ感のある優しいヒップホップ。懐かしいあの頃を思い出せるような優しい曲。
『HEY BUDDY』は明るくコミカルなファンク。ギラギラ感と曲自体の楽しさが共存しています。
『Light a Flame』はスペイン?フラメンコ?という感じの湿度高めなボサノバ(なのかな?)。色気のある曲です。
『AH! LOVE』は優しいバラード調の楽曲です。素敵な歌声。
全部ジャンルは違い、多種多様なのだけれど、世界観はタイトル曲『HOME;RUN』と一貫しているように感じます。

『HOME;RUN』はそれぞれがカラフルなジャケットを纏ってミュージカルや映画に没入したような雰囲気のイメージ。その他の曲も全体的にそういう落ち着いた大人な雰囲気、なのに「あそび」を忘れない感じの楽曲になっています。
だからアルバムとしてのメッセージを受け取りやすく、一曲目から通して聴きたくなるようなアルバムに仕上がっている。




SEVENTEENの得意分野「青春賛歌」


SEVENTEENがデビューから一貫してやり続けている音楽、それは「青春賛歌」。
自ら作詞作曲まで手がける彼らは常に、若者に対するメッセージや青春の素晴らしさを歌い続けていました。

初期の彼らはタイトル曲で、コミカル調のダンスナンバーを多用していました。

『Mansae』の学生コンセプトを見ていただければ分かりやすいと思うのですが、初期の彼らは結構直球で青春賛歌をやっていました。
さらにダンスは、13人全員による息のあったダンスブレイクが特徴。

本当に、なんで揃うの?なんで...?

しかしこの頃も、アルバム曲ではバラードやパソコン音楽っぽい曲など、様々な曲に挑戦しています。アルバムの一貫性より、多様なジャンルを重視する姿勢は、歌もダンスもヒップホップも得意な人が均等にたくさんいるSEVENTEENならではなのではないでしょうか。


黄金の過渡期、バラード偏重に見えるが

これらの活動初期を過ぎると、SEVENTEENはタイトル曲にバラードや、チルいミディアム調の曲を選ぶことが多くなります。
SEVENTEENで一番のヒットソングと言って遜色ない黄金ソング『Don't Wanna Cry』もこの時期に生まれました。

SEVENTEENの良さは一糸乱れぬステージにあると思っていた私は、「バラードで見る完璧なステージもいいけれど、やっぱり楽しいステージがいいなぁ」と思っていました。

しかしアルバム単位で聴いてみると、この時期も、その時その時の「青春」に向き合いつつ、様々な曲に挑戦しているのが分かります。

ミニアルバム『You Make My Day』は特にその事がアルバム単位で色濃く出ている作品です。

タイトル曲の『Oh My!』は「チルい」ミディアム調の曲ですが、入っているアルバム曲はその「チルさ」を持ちつつ、多種多様な音楽です。

2曲目の『Holiday』、単純に曲がいい。出てる音も旋律も全部シビアなのに、多幸感があるのは何故でしょう...?(誰か教えて)

アルバム曲の一つ、『MOONWALKER』です。
パフォーマンスチームの曲ですが、それにふさわしいダンスナンバーでありつつ、『Oh My!』の流れもしっかり感じる。サビで突然音数が少なくなって静かになる感じ。流行りの「サビ歌わない系」が音サビなら、これは声サビとでも言うべきか。

K-POPの中で「サビで突然音数が少なくなって静かになる曲」の名曲を出すならこんな感じ。知ってる曲がある方は「あーこんな感じか」と思って欲しいです。思えなかったらごめんち!

あと私が好きなのはこれとか。いつかユキカの回ももやろう。


とにかく、バラード偏重に見えますが、この頃も、バラードで青春を歌うことを推し進めつつ、色んなところに手を伸ばして曲作りをしていたことが伺えます。


青春ドラマ「A-Teen」の主題歌にもなったこの曲も、その時期に生まれました。
ピアノが特徴的なR&B、青春時代の熱い思いを「自分の全てだ」と強い言葉と共に歌っています。
ミディアム調でカフェでかかってそうな感じのR&Bですが、音数が多くて華やかで、いかにも「K-POP」という感じの曲。青春賛歌を貫き通したことで、このような隠れた名曲も生まれていきます。

もうひとつ、日本語曲を紹介します。
SEVENTEENは日本での活動にも力を入れています、日本語オリジナル曲をたくさん出してくれているのが嬉しいところ。

きみをすきなこのきもちにはブレーキなんてない。ちょくしんのみ。ホシ

ありがたいお言葉...神棚に飾るか...。
日本語もみんな非常に上手です。なんでこんなに景気のいい日本語が全員使えるんだ。

『舞い落ちる花びら』では、その音楽に彼らの日本語活動への思いが込められています。
日本語の特徴や良さを分かっている人たちが歌っているって感じがしますよね。母国語でなくてもその表現へのこだわりは一切揺るぐことがありません。


進化していく「青春賛歌」、最高に楽しいステージへ

2019年のフルアルバム「An Ode」あたりから、SEVENTEENの音楽はまた少しづつ変化していきます。

An Odeに収録されたタイトル曲『HIT』は、音楽への愛を歌った名曲です。なんと、音サビの激しめダンスナンバー。

音楽への愛を歌う曲、いいですよね...。K-POPは結構そういう曲も多い。最近ならBTSの『DYNAMITE』がそうでしょうか。

さらに大ヒット作EXOの『Power』もそれにあたります。Our Music Powerを音色がいっぱいの楽しいサウンドで歌った曲。


こうしてみると、自分たちの音楽への愛を歌った曲ってハッピーな曲調のものが多い気がするんですが、SEVENTEENはゴリッゴリのヒップホップでそれを表現しました。最高すぎない?



そして、2020年。『Left & Right』が生まれます。

『Left & Right』は今までのタイトル曲にはなかったタイプの曲。コミカルで少々退廃的なバックの音に、真っ直ぐなヒップホップサウンドが刺さります。
この曲のステージは、舞台を端から端まで余すことなく使ったもの。

『Mansae』や『Very Nice』では「13人息の揃ったダンス」に重きを置いている印象でしたが、『Left & Right』はそれぞれが個々の動きをする場面が多く、ミュージカルのように楽しいステージに。
「13人いることの意義」を常に説いてくれていたSEVENTEENは、持ち味の「ステージの楽しさ」を存分に残しつつ、「13人がそれぞれのメンバーでならなくてはならない意味」まで持つようになったと感じます。
例えば5人のアイドルグループなら、1人が抜けて音楽的に全く違う印象になることはままあります(f(x)の『4 Walls』など。)
それって「グループとしての音」がそれぞれのメンバーの持ち味とよく相関しているってことなので素敵だと思うのですが、SEVENTEENはその域に「13人で」易々と到達しているというわけです。
今の、この音楽をやっているSEVENTEENには、このメンバーの13人でならない理由がちゃんとある。


オタクならもっと楽しい、;(Semicolon)という作品

最新作;(Semicolon)に話を戻しましょう。
『Left & Right』と同様に、楽しいだけでなく、個々の役割がちゃんと定まっているように意味のあるステージに仕上がっている『HOME;RUN』。

そしてこのアルバムの締めくくり、6曲目は『All My Love』、13人全員によるバラードです。
締めくくりに相応しいバラード曲は、SEVENTEENの多様な才能を更に裏付けています。

ところで、先程紹介した2~5曲目は、実は13人全員による曲ではありません。チームごとの曲でもない。
実は生まれ年「Line」によるユニット曲なのです。韓国は年齢による上下関係が日本よりも強く、このように生まれ年による区別が良く行われます。
才能あるマンネ(末っ子)による『Do Re Mi』、陽のイメージが強い97lineの『HEY BUDDY』、ステージ上では落ち着いた表情も見せる96lineの『Light a Flame』、長男ラインの『AH! LOVE』。
SEVENTEENのファンで、彼らの13人のことを知っていれば、それぞれのラインの雰囲気と曲の雰囲気の互換性も楽しめるはず。
SEVENTEENの音楽は、とにかく「ファンファースト」な音楽グループであるとも言えます。



というわけで今回はSEVENTEENの最新アルバムを中心に感想書いていきました。楽しかった!

SEVENTEENの次のアルバムはどんな曲なのか...ヒップホップ?バラード?どんな曲でも今まで以上に楽しめそうな感じです。

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