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近所の居酒屋に飛び入りする勇気 ー沖縄の「へそ」うるま市石川のローカル生活(4)

うるま市石川での新生活が始まりました。職場までの通勤時間は15分程度で渋滞もなし。軽自動車を朝、恐る恐る運転して出勤し、恐る恐る運転して退勤していましたが、最初の数ヶ月で、運転は慣れたかなという手応えがありました。

一方で、赴任した最初の頃は、職場の課題が山のように積み上がり、その解決のため残業ラッシュでした。帰りが連日22時、23時を過ぎるような週も珍しくありません。本来は自炊が好きとはいえ、こうも連日残業だと「やってられるか」という気分になります。どこかで一杯飲んで食べて帰ろうかと思うわけですね。

しかしここで、車社会沖縄における一人飲み最大の難点が立ち塞がります。自宅から遠いところで飲食して酒を飲んでしまうと、運転代行を頼むしかなくなってしまうのです。まあタクシー代程度とはいえ、これを一人の飲み食いで使うにはあまりにもったいない。(最初は運転代行に抵抗があったというのもあります)

となると必然的に、自宅に帰って車を置いてから歩いて飲食店に行くという選択肢しか残らないわけですが、自宅周辺は住宅街で、飲食店はほとんどない。ただ一軒だけ、のぼりを立てて、ポツンと一軒家、ならぬポツンと居酒屋がありました。田舎の常識で食べログの情報も皆無に近かったものの、昼は沖縄そばやチキンカツのランチ、夜は居酒屋を営んでいるお店のようでした。

東京勤務の頃から、一人居酒屋、一人回転寿司くらいはストレスなく行けていたので、何はともあれまずは覗いてみることに。仕事が20時過ぎに上がった平日の夜に、車を自宅に置き、徒歩3分で店に到着しドアを開けます。

「いらっしゃい〜」とカウンター越しに声をかけてくれたのは、眼鏡をかけ、しっかりした印象のおばさん。カウンター5席に、4人掛けのテーブルが4席、奥には座敷もあるようですが、こじんまりとした居酒屋でした。カウンターにおじさんが腰掛け一人でボトル(泡盛)を飲んでいる他は、客もいません。

「一人なの?」という問いかけに「はい」と答えると、好きなところに座っていいわよと言われました。常連感のあるおじさんの隣に座る勇気はなく、テーブル席に座り、メニューに目を凝らし、ビール(オリオンの麦職人とあるので、発泡酒だと分かりました)や刺身盛り合わせ、サラダ、焼き鳥などをオーダーしました。

奥のキッチンで調理している若い男性はいましたが、ホールはおばさんひとり。やがて運ばれた料理を黙々と食べる僕の姿を見て、「一人なら、こっちのカウンターに来たら?」と声をかけてくださいました。

思えばこの瞬間が、僕のうるま市石川生活のひとつの転機だったような気がします。また長くなりましたので続きます。

※トップの写真はこの頃にうるま市の海中道路でとったもので、うるま市石川ではありません(笑)

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