見出し画像

沖縄の、政治の季節は終わらない ー沖縄の「へそ」うるま市石川のローカル生活(40)

本日は、プロ野球・宗教と並んで飲み屋の話題3大NGネタの一つ、政治を取り扱います。特定の政党を応援する内容ではなく、あくまで住んでいた人間から見た雑感ですが、苦手な方はご注意ください。

さて政治ネタウォッチャーであれば、沖縄県における選挙の特殊性は、よくご存知かと思います。いわゆる「革新系(左派系)」野党勢力が非常に強いのです。

ヘッダー画像は2017年の衆議院議員総選挙の翌日の、全国紙(朝日、日経)と、地元紙(沖縄タイムス)の一面です。見出しを取り上げると、

日本経済新聞「自公勝利 安倍政権継続へ」「自民、単独で絶対安定多数」
朝日新聞「自民過半数 首相続投」「立憲躍進 希望伸び悩み」
沖縄タイムス「反辺野古3勝」「新基地拒否の民意堅持」

全国的には与党・自民党が勝利したと言える中で、沖縄は4選挙区あるうちの3選挙区で自民党候補が敗北しており、見出しのノリも、明らかに他紙と違います。

宜野湾市・普天間の街中に立地する、米軍飛行場の名護市・辺野古への移設の可否について、県内では長きにわたって県民の強い関心が持たれています。移設反対派からしてみれば、移設を推進する与党系候補に投票するなんていうのはとんでもない!というのが本心からの思いなのでしょう。

歴史的経緯からして、太平洋戦争下において壮絶な地上戦が行われた沖縄戦や、戦後も長く続いた米軍占領により、沖縄は戦争の理不尽さを最も押し付けられてきた県です。「反戦」意識から平和を望み、革新系勢力を支持するという方が多かったとして、それは理解できるところといえます。

一方で、国政選挙や県知事選など選挙ごとに地元の新聞やテレビで報じられる有権者の属性分析を見ると、興味深い傾向が見えてきます。

① 高齢の年齢層ほど革新系支持の比率が高く、若年層では相対的に保守系支持の比率が上がっている

② 沖縄県本島の自治体では革新系支持の比率が高く、離島では保守系支持の比率が高い

①は、戦中世代と戦後世代では、沖縄であってもやはり意識が変化してくるのだろうか、と沖縄の将来を占う上で気になる傾向です(歳を重ねると意識が変わるという仮説も立てられますが)。②は、米軍基地がなく産業に乏しい離島では、やはり公共事業や補助金などを引っ張ってこれる与党系の支持者が相対的に多いのだろうか、などという推測を立てていました(推測です)。

画像1

他に政治絡みで印象に残っているのは、勤務先で県民の同僚から「(辺野古移設反対の)県民集会に行ってきたよ〜」なんて話題がポロッと出たりするところ。別に常日頃話題に上がるわけではないとはいえ、なんというか「政治」が自分たちの身近なものであり、そこにコミットしていこうという姿勢が(他の都道府県に比べると)著しく高いのだろうな、という感覚は、肌で感じていました。

それは裏を返せば、「国(東京)が、いかに沖縄を見ていないか」の裏返しでもあります。

忘れられない記憶があります。

沖縄に住んでいる頃、東京に出張したときに親しい知人(首都圏出身、首都圏在住)に会いました。その知人が、連日報道されていた国と法廷で争う翁長知事(当時)を揶揄して「国を相手にあんなことしても無駄なのにねぇ、さっさと諦めればいいのに」と冷笑したのです。

瞬間、頭に血がのぼり「移設賛成派も反対派も中立派も、沖縄がどんな気持ちであの法廷闘争を見守っているか、何も知ろうともしないでよくもそんなことを」とまくしたてたい気持ちが湧き上がりました。

しかし一瞬の間に「ちょっと住んでいるからってナイチャーの自分は何を偉そうに……。自分だって、沖縄に移住するまで辺野古と普天間の位置関係もロクに知らなかったし、どちらかといえば無関心だったじゃないか」と逡巡し、曖昧な微笑を浮かべて話題を変えたのでした。

例えば辺野古移転賛成か反対かというテーマを一つとっても県民の意見は割れるところではありますが、関心を持っている人は数多くいます。ただ、沖縄県以外の都道府県に住む国民は、そうではありません。

県選出の政治家は(与野党問わず)、定番の「観光・文化」「補助金・税制優遇」のみならず、沖縄の歴史について県外の国民にもっと知ってもらうために、頑張ってもらいたいものだと思います。

僕がこのnoteを始めたのも「観光だけではない等身大の沖縄」(これは政治ネタに限りませんが)を、少しでもネットの海に放流できたら、という思いも、ちょっとあるのです。

さて、今年の衆議院選挙。国民の、沖縄県民の選択はどうなるのか。しがない有権者として一票を投じつつ、行く末を見守りたいと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?