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うちのママは権威を信用しない

ママの口癖は
「この世に権威など存在しない」
私は生まれてこのかた何度この言葉をママから聞いたことだろう。

ママは言う。
自分の事を”権威”だと思っているようなやつにろくなやつはいない。
なぜなら、この世には”権威”など存在しないのだから。
他人から”権威”と言われる事を受け入れた瞬間から、自分が”権威”になったと自惚れた瞬間から、そいつは果てしなく堕落する。

多分ママの言ってることは事実。
この世には”権威”など存在しない。

それはママのパパ、私のおじいちゃんを見ればよくわかる。
誰もがおじいちゃんを”権威”と呼び、おじいちゃんも自分を”権威”だと思っている。
おじいちゃんは”権威”として振る舞い、そして”権威”として語る。

けど、おじいちゃんの中身は空っぽだ。
おじいちゃんの話はもっともらしいけど、いつもとても空虚。
口から出る言葉は空中に消えていく。
自分より下と思った人間には高飛車。自分より上の”権威”には、お世辞も言えば愛想笑いだってする。

自分はロックな生き方を選んだのだとママは言っている。
なぜなら人生はロックだから。
誰にも媚びず、誰とも妥協しない。けど、自分が認めた相手は、それがどんなに年下だろうが、リスペクトする。
そんな人生をママは選んだ。

そして、ロックは"権威"を認めない。
だから、ママは、おじいちゃんともおじいちゃんの"権威"を疑いもなく受け入れてるおばあちゃんとも、私の生まれる前からずっとうまくいっていない。

そして、ママはパパともうまくいっていない。
パパは”権威”じゃないけど、ちっともロックじゃない。だからパパとは別れた。

ママは巷にあふれるチンケな”権威”を蹴散らし、今日も真っ直ぐに生きている。

気に入らない人間をハブるママ友グループのボスを締め上げ土下座させ、セクハラを繰り返すパート先の上司をぶん殴り(クビになったけど)、イジメの隠蔽を指示した校長のヅラを剥ぎ取って泣かせる(偶然手が当たったって言ってる)・・・なんてことは日常茶飯事だ。

それでいてママは見かけが普通のおばさんなのが、逆にカッコ良すぎる。

そんなママみたいなロックな女に私はなりたい。


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