事実婚について考えてみた その② 実務編

その①では、そもそも事実婚とはなにか、どうして事実婚を選択したのかについて書きました。↓

その②以降では、もう少し実務的な話をメインで書いていきます。

*注意書き
本記事は素人が、独学で調べた事を考えてまとめたものですので、あくまで参考と考えて頂けると幸いです。

法律的な観点から見た事実婚

事実婚・法律婚の細かい違いはグーグル先生にお任せするとして、私達が調べた事実婚の法的な弱点は以下3点にまとめられます。

①相続権
②税金控除
③親権

逆に言えば、上記3点を除いて、法律婚に比べたときに事実婚の致命的なデメリットとなるものは見当たりませんでした。

①相続権

法律婚の場合は、自動的にパートナーの相続人になることができますが、事実婚当事者の死亡によって婚姻関係が解消されるケースでは、配偶者相続権(民法890条)・財産分与規定(同法768条)の適用が全くされません。

つまり、一方の死後に生活に困るような事がある場合は、残された事実婚の配偶者のために、死亡前に遺言・信託など手を打つ必要があります。

しかし、私達のケースのように法律婚にいずれは移行する前提でいる場合、今すぐに手を打つ必要のある課題ではないと判断しました。

事実婚パートナーへの相続をする場合、遺言公正証書というものを法務省の管轄する役所である公証役場で作成する必要があります。遺言書を作成しない場合、自動的に民法の規定に則って相続が処理されることになります。

②税金控除

配偶者控除・配偶者特別控除など所得税法の所得控除が受けられる配偶者は、民法上の配偶者に限ると明確にされており、事実婚の配偶者は、控除対象になり得ません。

どちらかが扶養に入る場合、事実婚では税金控除を受けることは不可能です。私達の場合は、しばらくは共働きをする前提でいるため、こちらも今の私達にとってデメリットにはなりませんでした。

不思議なことに、社会法では、戦前から法律の適用を受ける配偶者の中に、事実婚を含める旨が明確に定められてきたようです。事実婚が認められる場合、これらの法は”直接”適用されます。法律の領域によって、事実婚が認められたり、認められなかったりブレがあるのはなんでなんですかね?(そこまで調べる気力はなかった。)

③親権

法律婚の場合、子供が生まれると自動的に夫婦の共同親権となりますが、事実婚の場合、単独親権といって、いずれかの親しか親権を持つことができません。親であることと親権者であることによる法的効果は異なります。

親  :相続・扶養・婚姻同意・特別養子縁組同意
親権者:身上監護権・財産管理・法律行為への同意

身上監護権の中に、居所指定権が含まれ、実質的にその子供との生活ができる権利になります。仲が良い間は問題になりませんが、万が一関係が悪化した時、子供に関する決定権は実質親権者が持っていると考えてもいいかもしれませんね。

私達の場合は、単独親権という形を避けたいため、子供を授かる or 選択的夫婦別姓が実現されるいずれか早い方のタイミングで法律婚へ移行する想定、という訳です。できれば、子供を授かる前に選択的夫婦別姓制度が実現されることを祈っています。サイボウズの青野社長、頑張ってください!

まとめ

「婚姻届、提出しました〜!らぶ!」と喜んで報告している方の多くは、婚姻に関わる民法の条文に何が書いてあるのか、トラブルになった時に民法に基づきどのように処理されるのかを理解している方は少ないのではないでしょうか。

婚姻届には記載がないだけで、婚姻届に押印・捺印をして提出するというのは、民法上の夫婦としての義務や責任を負うことに同意していることに他なりません。

事実婚に関して言えば、上記3点を除いて、事実婚と認められた場合に法律婚と同様の権利や義務を認める方向で判例が出ているケースが多いと見受けられました。(素人調べ)

とはいえ、万が一のことがあっても嫌な気持ちで関係を終わらせたくない。そのセーフティーネット・最後のガイドラインが事実婚契約書なのだと思います。事実婚契約書については、また次回となってしまいました。

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めいそん

2021.10.11



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