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西尾隆矢(セレッソ大阪)が語る、10代から慣れ親しんだ「舞洲の思い出」

舞洲Voiceでは、3つのプロチームが拠点を置く舞洲ならではのインタビュー記事をお届け。『#舞洲での思い出』と題し、長くプレー経験のある選手にお話を伺います。

今回登場するのは、セレッソ大阪の西尾隆矢(にしお・りゅうや)選手です。中学、高校とセレッソの下部組織でプレーし、2020年にトップチームへ昇格。プロ2年目の2021シーズンにはリーグ戦31試合出場すると、世代別日本代表にも選出されました。

守備の要として期待が高まる西尾選手に、これまでのキャリアとセレッソへの思い、そして中学生時代から慣れ親しんだ「舞洲での思い出」について聞きました。

(聞き手・文:小田尚史)

舞洲の環境は「ほんとうに贅沢」

─八尾市出身の西尾選手にとって、八尾の良さと大阪の良さは?

僕が住んでいた地域は八尾でも田舎の方なので、静かで過ごしやすい場所でした。優しくてフレンドリーな方が多かったですね。遊ぶ場所も自然が多かったので、そこで体も鍛えられたのかなと思います。

今でも地元がいちばん落ち着きます。電車の本数が少ないとか、不便なところもありますが、それもいい思い出です。大阪の良さは、やっぱりフレンドリーなところ。人との距離も良い意味で近く、誰とでも仲良くなれる人が多い印象があります。

─初めて舞洲に来たときの印象は?

小学生の頃、サッカーの大会で来たことがあるのですが、最初に目に入ったのはごみ処理場でした。「あの派手な建物はなんだ?」っていう(笑)。

─舞洲のグラウンドを練習で使用したのは、セレッソ大阪U-15に入った中学時代からですか?

そうですね。最初は南津守でしたが、途中から舞洲で練習するようになりました。

─クラブハウスの施設の印象はいかがでしたか?

めちゃくちゃいいですよね。中学生でこんな施設を使わせていただけるなんて最高ですし、ロッカールームもワクワクしました。それまでは土のグラウンドでしたが、天然芝でサッカーができるなんて、本当に贅沢ですよね。

─トップチームに昇格してから、クラブハウスで過ごす時間は増えたと思います。

そうですね。特に僕は練習に来るのが早く、帰るのも遅いので、チームでいちばん長くクラブハウスで過ごしているかもしれません(笑)。ジムで筋トレをしたり、体のケアを受けたり、個人でやりたいメニューがたくさんあるので。

─練習の何時間前くらいに到着するのですか?

2時間前くらいです。でも僕がいちばんではないですよ。タメくん(為田大貴)、キヨくん(清武弘嗣)、ジンさん(キム・ジンヒョン)。あと、山下(達也)さんも早いですね。

─練習前にされることは?

主にケガの予防です。僕は腰があまり良くないので、腰をケアして整えるメニューをルーティンとしてやっています。体幹や呼吸法など、体を慣らした状態で練習に入るようにしています。気付いたら練習開始の時間になっている感じです。

─練習後も、クラブハウスに残って体のケアをされている?

長いですね。筋トレして、ご飯を食べて栄養を取って、お風呂に入って、出たらストレッチして、最近は呼吸法も意識しています。体の柔軟性のコアトレーニングをやって、そのあとにマッサージもしてもらう。全体練習が12時に終わっても、帰るのは大体15時、16時くらい。その時間までいるのは、僕とジンさんくらいですね。

─ジムやお風呂も含め、恵まれた環境ですよね。

今では当たり前になってしまっていますが、J2のクラブから来た選手に話を聞くと、恵まれている環境だと実感します。充実したクラブハウスがあることに、ありがたみを感じます。

もともとは野球少年?!セレッソ加入の裏話

─クラブハウスやグラウンド以外で、舞洲で行くところはありますか?

中学時代は、練習終わりにグラウンドの裏にあるコンビニに行くことが日課でした。そこでみんなと話しながら、おにぎりを買って食べるんです。舞洲食堂にも、高校の頃はよく行っていました。トップチームに上がってからも、U-23(※)でプレーしていた頃はよく行っていましたね。安くて量も多いので、ありがたかったです。

※2020シーズンまでJ3リーグで活動していた、23歳以下の選手によって構成されるチーム

─同じ舞洲を拠点に活動している野球のオリックス・バファローズや、バスケットボールのエヴェッサ大阪の試合は見ますか?

もともと小学生までは野球をやっていたので、オリックスの試合はよく見に行っていました。エヴェッサの試合は見たことがないので、一度行ってみたいですね。スポーツは好きですし、観るのも楽しいです。親交のある選手もいないので、話してみたいです。

─他の競技の選手に聞いてみたいことはありますか?

体のケアですね。どこにベクトルを向けて、どんなトレーニングをしているのか知りたいです。

─もともとは野球をやられていて、ご両親はプロ野球選手になってほしかったんですよね?

そうですね。パワーだけは凄かったので、バットに当てれば遠くまで飛ばせました。でも、デッドボールが怖かったので、野球は無理でした。

─意外ですね。サッカーでは、あれだけヘディングで跳ね返しているのに。

ポジションはサードで、守備でボールが飛んでくるのは怖くなかったのですが、打席に立つとちょっと怖かったです(笑)。

─野球もされていた少年時代ということですが、サッカーを始めたきっかけ、セレッソ大阪U-15に入ったきっかけは何ですか?

サッカースクールに通っていた兄を迎えにいく母についていったとき、コーチから「一緒にやろう」と声をかけてもらったことです。小1の終わり頃です。小6まではサッカーと野球、どっちもやっていました。体格に恵まれ足も速かったので、少年時代は身体能力だけで点を取っていましたね。

セレッソのU-15に入ったきっかけは、スカウトしてもらったことです。ただ、練習に参加したらレベルが違い過ぎて衝撃的でした。それでも、「こんなレベルの高いところでサッカーをやって、上手くなったら楽しいやろうな」と、スイッチが入りました。そうしたらありがたいことに「そのまま入ってくれ」と、声をかけていただいたんです。

セレッソの勝利に貢献し、パリ五輪を目指す

─プロになって印象に残っている試合は?

やっぱり、J1のデビュー戦ですね。プロ2年目、2021年の開幕戦です。チーム内にけが人が続出して抜擢されたのですが、初めてピッチに立った瞬間は鳥肌が立ちました。夢の舞台での試合は楽しかったですし、勝てたので本当に嬉しかったです。

─セレッソ大阪というクラブの良さは?

大阪の良さとほぼ同じですね。年齢に関係なくフランクで、みんな仲が良い。馴染みやすいです。プロ1年目で緊張していたときも、先輩から話しかけてくださる方が多かったです。ノリや雰囲気がすごく良くて、サッカー以外のところでも仲がいいですし、笑いが絶えません。みんないつもニコニコしているのが、セレッソの良さだと思います。

─トップ昇格して4年目。今季に懸ける思いは強いですか?

今年が特別というより、毎年、自分の力を発揮してセレッソに貢献できるようにと思っています。ありがたいことに世代別代表にも選んでもらっているので、パリ五輪も頭の中にあります。世界の祭典ですし、出てみたいですね。そこも意識しながら、コンディションを上げて試合に絡んでいきたいです。セレッソの勝利に貢献できる選手になりたい思いはずっと変わりません。

─その意味では、少し出場機会から遠ざかっている今季の序盤は、悔しい気持ちの方が大きいですか?

そうですね。開幕から2試合は先発で出させてもらったのですが、第3節からはリーグ戦での出場機会がなく、チーム自体もうまくいっているとは言い切れません。

ただ、個人もチームも厳しい時期を乗り越えれば、必ずいい流れが来ます。自分自身もネガティブになることなくやれています。個としてレベルアップすれば、自ずとチャンスは来ると思うので、1日1日練習からやり続けることを意識しています。

─トップ昇格後、2年目の21シーズン、3年目の22シーズンはコンスタントに試合に出ていただけに、もどかしい気持ちはないですか?

「出番がなくて、しんどくない?」と聞かれることは多いですが、“人生、山あり谷あり”という言葉もあるように、ずっとうまくいく人はいません。良くない時期こそしっかりやることが大事。試合に出たい気持ちはもちろんありますが、こういう時期をしっかり過ごして乗り越えることが、その後のサッカー人生にとっても大事です。

上がっていくには時間がかかるので、そこを這いつくばってでも、ちょっとずつでも前へ進めたらいいと思います。大きな目標を掲げるのではなく、目の前の小さな目標に向かってコツコツやっていけば、それが結果にも表れてくると思っています。あまりネガティブに考えず、いま自分がやれることを100%、120%でやっていけば、成長につながると思っています。

─素晴らしい心掛けですね。このインタビューを見ている方はセレッソのサポーターだけではないと思うので、最後にぜひセレッソのPRをお願いします。

やっぱり1人でも多くの人にセレッソの試合を見に来てほしいです。オリックスやエヴェッサファンの方も見に来てくれたら嬉しいですね。そのためには、僕らがしっかり勝たないといけません。そのために日々、頑張るだけです。チームとしては、いい守備からの速い攻撃が良さですが、なおかつ、今年はボールを握って攻めるサッカーも目指しています。

今は厳しい状況が続いていますが、セレッソのサポーターが良いときも悪いときも声援を送ってくださっていることは分かっています。サポーターの声援があるのとないのとでは、全然違いますし、僕らのパワーになっています。

ファンの皆さんにとって、目に見える反応はないかも知れないですが、凄く感謝しています。必ず盛り返して、いい結果で終われるように、ここから少しずつチームを底上げして前進していきたいです。応援よろしくお願いします!

─オリックスに負けじとタイトルを取って、ぜひ御堂筋パレードをしましょう!

テレビでパレードの様子を見ましたが良いですよね。3チーム一緒にパレードできたらいいですね。僕らも負けていられないので頑張ります!


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