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私がYouTubeを始めた訳 #3

こんにちは、緩和ケア医のDr.Toshです。緩和ケアの本流へようこそ。

今回のテーマは「なぜ私がYouTubeを始めたのか」です。

私が医師になろうと思った理由は、がんという病気をもった多くの患者さんに希望と勇気を持って欲しい、という想いからでした。

医師になった当初、大体30年ほど前ですが、その当時、がんの告知は本人にされず治療が行われていました。

私が研修医の時の話です。その時、私は膵臓がんの患者さんを担当していました。その方は自身のがんの存在を知りませんでしたが、自分の病状がだんだん悪くなっていることに気付いていたようです。

ある日の夜、私が当直で患者さんを回診していた際、その方はベッドにいませんでした。どこに行ったのかなと思い探したところ、彼はデイルームにいました。彼に、どうかしたのですかと話を聞くと、彼は暗い顔で私に胸の内を話してくれました。

「私は本当は治らない病気なんじゃないか」「先生、本当のことを言ってくれ」

当時の診療方針ではがん告知を本人に行えなかったので、私は主治医でありながら、結局本人には何も言えませんでした。その後、彼は辛い状態で亡くなられました。この記憶は、私に今でも辛いものとして残っています。

当時、今のような緩和ケアがあれば、彼のように辛い思いをせずに天命を全うできたのではないかなと思います。

さて、時代は少し進み、今から約15年ほど前に私は心療内科医として、ホスピスで緩和ケアを始めました。

ホスピスは終末期ケアですので、当然がんの末期の方が来られます。

たとえ末期の方であっても、緩和ケアを通して身体的、精神的に楽になったという患者さんを多く見てきました。ホスピスでは多くの方々が天命を全うできたのではないかなと私は思っています。

しかし、彼らの多くは、治療中にもっと早く緩和ケアのことを知ってケアを受けていればよかったということもおっしゃっていました。

彼らのこのような言葉を聞くにつれ、これから治療病院で早期の緩和ケアも必要なのではないかという思いになっていきました。

そして、今はがん治療病院で、がん治療中の方々に緩和ケアを行っています。

今では、緩和ケアはがん治療と同時に行うものだ、ということは医療者の中では当たり前の認識です。しかし、残念ながらこの事実は多くの患者さんやご家族には知ってもらえていないというのが現実です。

先日も4人の新規の患者さんとお話をさせていただいたのですが、その4人全員が緩和ケアの存在を知りませんでした。また、ご家族の方で緩和ケアを知っている方もいらしゃったのですが、終末期のイメージしか持っていなかったようです。

私のところに初診で来られる患者さんのほとんどは、緩和ケアのことを知らないか、終末期ケアのみという誤解をされています。

緩和ケアはがんになったと診断された時から受けることのできるケアです。

たとえ病気になったとしても、緩和ケアを受けることで、病気の治療に専念できます。たとえ亡くなる方でも、自分の人生を見つめ、その方の天命を全うしてもらう、緩和ケアはこのサポートができるものだと私は確信しています。

がんは2人に1人がかかるものです。私はがんにかかった人々を多く見てきました。そして、緩和ケアを通して、その人らしい人生を歩んでいる姿も多く見てきました。

人は必ず死にます。それは避けられない運命です。こう言っている私も、いつがんになり死ぬか分かりません。

緩和ケアを知っていることで将来のあなた、ご家族、大切な人が救われるかもしれません。

この転ばぬ先の杖である緩和ケアを知っていただき、多くの方々に幸福になって欲しいと思い、私はYouTubeを始め、このnoteを書いています。

ぜひ、これから緩和ケアを知ってください。そして、多くの方にお知らせください。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

私は、緩和ケアをすべての人に知って欲しいと思っています。
このnoteでは緩和ケアを皆様の身近なものにして、より良い人生を生きて欲しいと思い、患者さん、ご家族、医療者向けに発信をしています。

あなたのお役に立った、と思っていただけたたら、ぜひ記事にスキを押して、フォローしてくだされば嬉しいです。

また次回お会いしましょう。

お大事に。

ここまでお読み頂きありがとうございます。あなたのサポートが私と私をサポートしてくれる方々の励みになります。 ぜひ、よろしくお願いいたします。