夜帰宅したら、妻が「わたしを見て…」と、手を取り真剣に言ってきた
◆1
「ただいま~」
と、声をかけてリビングに入ると、ゆかりちゃんが、
ダッ!
と、僕に近づいて、
僕の瞳を見つめて、こう言いました。
「わたしを見て…」
◆2
( え?)
( な、なんだ?)
( ぬ、脱ぐのか?)
ゆかりちゃんは、僕の正面に回りました。
僕の手を取り、僕の瞳を見て、また、
「わたしを見て!」
と言うのです。
◆3
(・・・この流れは?)
(・・・目を閉じるのかな?)
「・・・」
ゆかりちゃんは少し間を作ってから一気に、
「今日は、スッピンなの!」
「エステに行ったら、す、す、凄いの!!」
「今日は、ものすごくお顔がキレイなの!!」
「肌がキレイになったの!!」
と、まくし立てたのです。
◆4
「お、おお・・・」
と、気圧されてしまい、変な声が出ました。
リアクションに満足したのか、手が放され僕は解放されました。
ゆかりちゃんは鏡で自分の顔を見ながら、
「このきれいな顔、写真に撮っとこぉ~♡」
と、とても楽しそうでした。
おしまい
…風にしておいて、ここからあと2コマあり
◆5
ゆかりちゃんが自撮りします。
撮った写真を、すかさずチェックします。
「・・・」
「写真じゃ、わからないなぁ・・・」
そんなボヤキが聞こえました。
◆6
( iPhoneはエステの代金を支払っていないからね…)
(バイアスがかかってないんだなぁ…)
そんな余計なことは言わない、賢明な僕でした。
おしまい
※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第595話です
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