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【ぷち伝記】タイ料理『CHAPSTOCK』の店主

記念すべき【ぷち伝記】の、第1弾となる人物は、
タイ料理『CHAPSTOCK』の店主、小玉洋一氏 です。


◆ CHAPSTOCK GARDEN/チャップストックガーデン

神奈川県藤沢市にある、タイ料理のお店です。


インスタグラム ⇓

グルテンフリー・米粉のパン教室 茅ヶ崎 on Instagram: "この度藤沢の @chapstock さんで タイ料理の朝ごはんメニューの お手伝いをさせて頂きました🇹🇭🍴 『香りから楽しむ朝ごはん』をコンセプトに、 美味しい事は勿論の事 朝から身体に取り入れたい物を基本にメニュー構成を考えました😋 メニューはほぼグルテンフリー 。 ※麺類のみ小麦麺使用。 ※トムヤムラーメンは米粉麺に変更可 月曜日の朝、 良い1日、良い1週間の始まりをお過ごしください☀️ #朝ごはん #モーニング #モーニングカフェ #プレミアムモーニング #タイ料理 #thaifood #藤沢 #藤沢モーニング #湘南モーニング #chapstockgarden #茅ヶ崎 #辻堂 #鎌倉 #湘南" 88_laboratory on February 27, 2024: "この度藤沢の @chapstock さんで タイ www.instagram.com


ここでは『人物』にフォーカスするので、お店や料理の紹介は、他のブログや記事に ↓ に譲ります。(以下は旧店舗の情報です)


◆師匠との出会い

小玉氏は高校卒業後、伊勢丹グループの子会社に入社しました。
いくつかの飲食店を経営する企業で、小玉氏は【ホールスタッフ】を命じられました。

飲食店を選んだ理由は、高校時代にモスバーガーでアルバイトをして、そのアルバイトが「メッチャ楽しかったから」と、小玉氏は語ります。

そして、このホールスタッフ時代に、後の『師匠』と出会うことになります。

社会人1年目の、ぺーぺーの小玉氏が働いているイタリアンのお店に、ゲストシェフが投入されたのです。

それが、師匠の、CHAP(チャップ)さんでした。


・CHAPさん

「CHAPさん」は、もちろんニックネームです。

本名は、新宮彰さん。
フレンチを極め、その後、タイ宮廷料理を極め、日本にタイ料理を広めた先駆者の1人として、知る人ぞ知る、超有名料理人です。

そして、誰もが「CHAPさん」と呼ぶのだと、小玉氏は教えてくれました。
きっと、CHAPさんって、親しみやすい優しい方なのでしょう。

小玉氏は、初めてCHAPさんの作った【グリーンカレー】を食べたとき、
「なんだコレは~~~???」
と、クエスチョンマークで脳が埋め尽くされたそうです。

グリーンカレーといいながら白いし?
カレーなのか?
シチューなのか?

「タイ料理ということも分からずに食べてた」と、小玉氏は当時を振り返りました。


・兄弟子たちに

CHAPさんの、最高傑作のグリーンカレーに、若者小玉氏は、粉チーズをかけて食べたそうです。
それは、CHAPさんの弟子たちの逆鱗に触れてしまいました。

兄弟子たちは、ここぞとばかりに通りかかったCHAPさんに告げ口します。
「こいつ、CHAPさんのカレーに、粉チーズかけたんですよ!!」

CHAPさんは、「へ~、それ、美味しいの~?」と、フラットな反応ですが、兄弟子たちは必要以上に、そして執拗に、怒りをあらわにしました。

結果、若者小玉氏は、そのレストランでは兄弟子たちに、かなり、可愛がられます。

「揉むに揉まれまくりました」と、苦笑いしながら小玉氏は語ります。

CHAPさんは、「小玉、頑張ってるな〜」と、やさしく声をかけてくれてたのですが、兄弟子たちからは、毎日のように怒声が飛んできます。
若者小玉氏は、自身の力量のなさも痛感します。
ついこの前まで高校生だったんですから、力不足は当然なのですが、当時は、『愛のムチ』や『お前のためにあえて厳しく』なんて言葉が正当化されいた時代でした。

打ちのめされて、ゴミ捨てなどで、1人になったときには堪えきれず泣いてしまう事も、何度かあったそうです。

「でも、辞めようととか、逃げようというのは全く無かったですね」
と、小玉氏は言います。

若者小玉氏は、負けん気が強く、
「今に見ておけよ!」
「最高の技術を身につけて見返してやる!」
と執念を燃やし、必死に食らいつきました。

しばらくして、兄弟子の1人から、
「お前、・・・大したもんだな。今まで悪かったな」と言ってもらえた時を思い出し、

「本当に、嬉しかったですねぇ」と、小玉氏は言いました。
わかります。筆者はもらい泣き寸前です。


◆店長と哲学

そんなこんなで、そこから約1年が経ちます。

CHAPさんは、会社が計画していた関東最大級のタイ・エスニックレストランへ総料理長に招かれます。
若者小玉氏は、新宿の地下街にある、小さな喫茶店の『店長』を、任命されます。

若者小玉氏は、兄弟子にも、CHAPさんにも、会社にも、ちゃんと認められるほどの成長を遂げていたのです。


しかし、「仕事が、流れ作業に感じ始めた」と小玉氏。

企業とは、利益を追求するものです。売上アップを追求し、経費節約に躍起になります。
当時の小玉氏の会社がそうだったと言うのではなく、「企業とはそういうもの」という意味です。

そして、多くの企業にとって、従業員とは組織の歯車の1つです。
歯車の大小はあっても、歯車の役目からは逸脱できません。

管理職は、一見『歯車を回す側』に見えなくもないのですが、事実は『小さな歯車を回すという歯車』だったりします・・・。

「こういうことを、僕は、やりたかったのか?」

若い小玉店長は、哲学してしまいます。

『愛』とは? 『幸せ』とは? 僕が本当に『やりたいこと』とは? これらはみな、哲学です。
『とは?』がつくと、たいていは哲学です。

高校時代の、モスバーガーでの、あの『楽しさ』も、あの『面白さ』も、そこには無かったのです。
「そこ」とは、自分が店長の喫茶店です。
自分が店長の、その喫茶店には、『楽しさ』も『面白さ』も、無かったのです。

小玉氏は、「冷めちゃったんです・・・」と表現しました。

この言葉を聞いて、筆者は思い出しました。
「普段、飄々としているけれども、小玉氏の核(コア)は、情熱だった」
「バイタリティーが武器のという、シンプルな男だ」
「馬力が凄くて、心の中は火傷するほど熱い男だ」
そう、思い出しました。

だから、「冷めたので辞めました」という言葉に、妙な納得を覚えたのです。

このとき小玉氏は、まだ20才とちょっとの若者です。


◆若者らしく

会社を辞めた小玉氏は、携帯電話の販売店で働きます。

「約25年前で、その時代なのに時給1500円以上だったんです! そのころ最低時給が、650円とかだったんですよ~!」

あまり、お金にガツガツしたイメージのない小玉氏が、そんなセリフを言いました。
若者らしく、金銭欲や物欲に「ウェ~~~!!」ってなったみたいですね。筆者は、そんな風に想像し、なんか、少し親近感が増しました。

そうなんです。携帯電話なるものが、世間を席巻した時代でした。街には携帯電話ショップが乱立しました。
なんか、凄く安そうで、そんなポップが凄く目立って、しかし超~怪しく、店員はみんなチャラく見えました。

その、チャラい若者の一人が、小玉氏だったワケです。

小玉氏がチャラくなったとは知る由もない、師匠CHAPさんから、突然、小玉氏に連絡がありました。

「店を手伝ってくれ」

CHAPさんは、そう言ったそうです。

師匠CHAPさんからの、SOSの連絡でした・・・。


◆SOSに応える黄レンジャー

CHAPから、「店を手伝ってくれ」と、小玉氏に依頼が入りました。
小玉氏は、直感的にSOSの臭いを嗅ぎ取ったと言います。

当時の、料理界には、
料理人が上、ホールスタッフは下(ほぼ下僕)、という『常識』がありました。
そして、バリバリの体育会系の世界です。

時代は、「パワハラ」という言葉も概念もありませんでした。ちなみに、「セクハラ」という言葉も概念も、やはりありませんでした。

若い小玉氏は、少しだけ迷います。

なんせ、当時の相場の2倍以上の時給を貰っていて、「ウェイ~ウェイ~」言ってた、そんなタイミングだったのですから。


・黄レンジャー

小玉氏は、「自分は黄レンジャーが好きなタイプなんです」と、自身を評します。
筆者は意味がわからず、インタビューのときに、思わず聞き返しました。

小玉氏のいう「黄レンジャー好き」とは、

・サッカーなら、シュートを決めるストライカーが好き
 これは多数派 = 赤レンジャー好き
・サッカーなら、パスを出すミッドフィルダーが好き
 これも多数派 = 青レンジャー好き
・サッカーなら、ゴールキーパーが好き
 これが、少数派 = 黄レンジャー好き

ということでした。

この例えは凄く分かりやすく、即、理解できました。(少しだけ緑レンジャーの存在が気になりましたけど)


・料理人になる気はなかったのか

「当時、料理人になろうとは思わなかったの?」と、筆者は質問しました。

当時の、若者小玉氏の思考は、

・料理人になる自信はある
・興味もある
・しかし、プロの料理人はごまんといる
・70点のプロ料理人もいるが、100点満点のプロ料理人も、たくさんいる
・その点、『プロ』のホールスタッフはいない
・みな、それで給料をもらっていたとしても、とても『プロ』とは呼べない
・『プロ』と呼べるほどのホールスタッフを、見たことがない
・100点の料理を、お客様へ、100点のまま届ける
・自分なら、それができる可能性がある
・自分は、ホールスタッフの『プロ』になる

と、いうものだったそうです。

これを説明するための『序章』として、小玉氏は、自身の「黄レンジャー好き」を、語ってくれたのです。

なるほど、より分かりやすく、すごく助かりました。

スポットライトの当たらないところにも注目して、そして、そこにスポットライトが当たるように挑戦する。

小玉氏は、きっと、挑戦が好きなのでしょう。

自分ならば、そこにスポットライトの光を持ってこれるという、自信もあったのでしょう。

どうやら、『ただの黄レンジャー好きの変わり者』では、なかったようです。


・店が死んでる

若者小玉氏は、生粋の黄レンジャー好きですから、
【SOS】
【料理人がホールスタッフを下に見るのが「常識」という世界】
【体育会系のノリ】
などの、危険な臭いを嗅ぎ取りながらも、CHAPさんのSOSに応じます。

メッチャ高い時給をかなぐり捨てて、今で言えば、パワハラが普通に行われているブラックな職場環境と知りつつ、それでもそこに、我が身を投じたのです。

小玉氏が『少数派』なのは、まったくもって間違いないでしょう。
でも、赤レンジャーや青レンジャー以上に、凄くカッコイイ黄レンジャーだと筆者は思います。


若者小玉氏が、CHAPさんの店に行って見ての、第一印象は、

「店が死んでいる」

だったそうです。


「料理人たちは、そんな自覚は無かったかも」
と、小玉氏は付け加えました。

ただ、ホールスタッフの目線から見ると、間違いなく、そのお店は「死んでいた」のです。

「もともと、ホールスタッフとは、高いモチベーションを持ったスタッフなど皆無なのです」と、小玉氏は言います。

ホールスタッフとは、料理人から下僕扱いされ、お客様のクレームを浴び、時給のためと割り切って働くようになり、健全な心は、短期間で蝕まれるものと・・・。

当然のように、ここ、CHAPさんのお店でも、料理人とホールスタッフは、それはそれは見事なまでに、険悪な関係となっていたのです。

ホールスタッフが、料理の仕上がり時間に気を張ってない。
料理の完成をホールスタッフへ知らせる【ベル】の音が小さい。
【ベル】の音に、ホールスタッフが気づかない。
料理が冷める。
料理人が、ホールスタッフにキレまくる。
ホールスタッフは、お客様に謝らなければならない。
ホールスタッフのやる気が、ドンドン下がる。

完全な悪循環に、負のスパイラルに、ハマっている状態でした。


予想を超える、惨憺(さんたん)たる現状を目にし、若者小玉氏の、黄レンジャー魂に火が付きました。


・小玉洋一の改革 ①『完璧に』

若者小玉氏は、自らの思考と自らの意思で、【言葉での改革】を禁じます。能書きをたれたり、説明したり、説得したりという言葉を【厳禁事項】とし、自分の【行動】のみに、全集中したのです。

まずは自分が、「ホールスタッフの仕事を完璧にこなせるようにならなければならない」と、そう考えたのです。

筆者は50代の中年ですから、いきなり改革に着手することは、摩擦を生む愚かな行為と、知識上、知っています。
しかし、「知ってはいても、つい口を出してしまう」という経験を、これまで何度もしています。

20才とちょっとの若者が、改革のタブーを心得ていたことが、まず、驚きです。

さらに、実行しきったことに、もっと驚きです。

小玉氏は、『黙って動く』タイプ、なんでしょうか? ちなみに筆者は『能書きを何時間でも言うタイプ』です。

人も組織も、能書きでは変わりません。逆に、強烈な反発を招きます。

若者小玉氏は、ひたすらに努力し、行動し、作業や手順など必要なことを全て憶え、そして、習熟度を上げていきます。

「3か月かけて、仕事を完璧に覚えました」と、小玉氏は言いました。

筆者はその過去を見たわけではありませんが、小玉氏の性格を知っていますので、
「おそらくは普通ならば半年間。もしかすると1年間以上かかるレベルにまで、わずか3ヶ月間で到達したのではないか」
という感想を抱きました。

小玉氏は日ごろ、決して、頑張ったアピールをしません。

涼しい顔をして、信じられないくらい頑張る、そんなタイプなのです。


・小玉洋一の改革 ②『料理人と正対する』

現状の仕事を、完璧にこなせるようになり、いよいよ若者小玉氏は、本格的な改革に着手します。

「ホールスタッフがバイトすぎた」と、当時を思い出し、小玉氏は言いました。

その時のホールスタッフは、時給のためだけに、そこで働いていたのです。
プロ意識なんて、微塵もありません。
アルバイトスタッフの精神が、時給のことしか考えていない。アルバイトがアルバイトすぎる。

小玉氏の「ホールスタッフがバイトすぎた」とは、そういう意味なのです。


若者小玉氏は、ホールスタッフには、自分の『背中』を見せました。
何をやるべきか、どう取り組むべきか、意識や思考も、とにかく自分が率先して『模範』を示したのです。


そして、料理人には『正対』しました。

身体の正面を向けて、真っすぐに、正々堂々とぶつかっていったのです。

「ベルに気づかなホールスタッフは、確かに怠慢だ。しかし、あなたも料理やお客様が大事なら、何回も、何十回もベルを鳴らしたってイイじゃないですか」

例えば、こんな感じです。

料理人たちは、

「なんだと~~~!!!」
「ホールスタッフごときが!」
「生意気だ!」
「こっちは忙しいんだ!」

と、聞く耳を持ちません。

しかし、若者小玉氏は、まったくひるみませんでした。

あるとき、ジャスミンライスを厨房に突き返したそうです。

「このジャスミンライスは、明らかにおかしい」
「これはとても、お客様に提供できません!」


料理人は、

「てめ~ぇ~~~!!」

とまあ、当然、こうなります。

スッタモンダしナンダカンダがあって、コメの発注ミスという原因が発覚しました。


若者小玉氏は、さらなる本心を料理人に伝えます。

「そういうのは、言ってほしいんです」
「言ってくれれば、お客さんに説明もできる」
「米を炊くなら、時間稼ぎだってします」
「別な提案なども考えます」
「お客様に謝罪だってします」


厨房のミスを突っついているのではない。
お客様の満足のためなんだ。

料理人とホールスタッフは『敵』なんかじゃ無い。
お客様の「美味しい」を目指す、同志じゃないか。
僕は全力でサポートする。

そんな思いが、厨房スタッフ、料理人たちに伝わったのでしょう。

能書きをたれるのではなく、きちんと『正対』することで、若者小玉氏の『声に出さない思い』は、料理人たちにもだんだんと届き始めます。

店内が、少しづつ変化していきました。


・小玉洋一の改革 ③『意識改革』

若者小玉氏は、ホールスタッフの意識改革にも取り組みました。

料理の完成を知らせる【ベル】の音を、聞き洩らしていたホールスタッフに模範を示します。

「そろそろベルが鳴るぞ・・・」【チン!】 「・・・ほらな」(ニヤり)

「ちゃんと聞こう」「聞き漏らさないようにしよう」、ではなく、その上の、鳴る時間を予測する という模範です。

筆者が想像するに、①お客様の注文、②その料理の調理時間、③現状の忙しさ、など全てを勘案し、集中力を投下するならば、予測できるようになるのでしょう。

この改善は、ホールスタッフに、【料理人に怒鳴られない】というメリットを与えました。
これは、マイナスが解消されたというメリットです。

美味しい料理が、より美味しい状態(たとえば、できたて)でテーブルに届けば、当然、お客様にも喜ばれます。
そして、この価値を提供したホールスタッフは、

【お客様にお役立ちができた】という、精神的メリットを得ます。

これは、プラスαのメリットです。

また、料理人の『自慢の料理』を、より美味しい状態で召し上がっていただくのは、それは、料理人だって嬉しいはず。
これも、精神的プラスαのメリットです。

若者小玉氏が予測していなかったメリットも、生まれたそうです。

厨房スタッフ、料理人たちに、

「ホールスタッフが頑張ってくれている」
「こっちも頑張るしかないぞ」

という意識が、生まれたのです。


🍀閑話休題:小玉氏は哲学しがち

小玉氏は、自身のことを「そもそも僕、哲学しがちなんですよね~」と、説明してくれました。

『哲学』と、インターネット検索で調べてみました。

哲学とは、原義的には「愛知」を意味する学問分野、または活動である。<中略> 「愛知としての哲学」は知識欲に根ざす根源的活動の一つだが、19世紀以降は自然科学が急発展して哲学から独立し、哲学は主に、美学・倫理学・認識論という、三つで形作られるようになった。哲学に従事する人物は哲学者と呼ばれる。引用:Wikipedia

Wikipediaを平たく言うと、科学以外のことで「なぜ」「なぜ」と繰り返し、深く思考すること、という感じでしょうか。
哲学を、「知を愛する」とか、哲学者を「愛知者」と、言ったりもしますよね。


小玉氏は、『料理』ということを、深く深く思考したと言います。

「料理を1番おいしく感じる瞬間は?」
「そもそも、1番おいしい料理って?」
「大事な人が作った料理か?」
「愛する妻が作ったなら美味しい?」
「知らないシェフの料理だって、すごく美味しいしなぁ・・・」
「作った者との距離を縮めるとイイのかな?」
「ならいっそ、ホールスタッフは、いない方がイイのか?」
「寿司屋ならカウンター越しに、大将自らがお寿司を提供している・・・」
「鉄板ステーキ店も、お客様の目の前で焼く・・・」
「自分が、シェフに、限りなく近くなればイイのかも?」

日ごろから、こういうことを追求するクセがあったと言うのです。

確かに、哲学しがちで、知を愛していますね。


・小玉洋一の改革 ④『仕込みする』

若者小玉氏は、日ごろから料理に関して哲学しがちですし、プロのホールスタッフたらんと、努力と行動がハンパじゃありませんでした。
今風に言えば、『バリバリの意識高い系』だったのでしょう。

そんな、バリバリの意識高い系の若者小玉氏は、なんと、ホールスタッフにもかかわらず、

「料理人と一緒に、仕込みをやるようにしたんです」と、のたまうのです。

仕込みですから、食材を仕入れたり、食材の下ごしらえを行なうという、そんな作業です。
皮をむいたり、材料を同じ大きさに切りそろえたり、魚を下ろしたりという、料理の下準備という『面倒くさい工程』です。

料理の中でも、面白味のないところです。


料理人に許可を得て、料理人の下っ端にも頭を下げ、その『仕込み』を、ホールスタッフの若者小玉氏は、本気でやりだします。

この『仕込みをする』という意図は、何だったのか。インタビュー中の筆者は(ついに、料理人になりたくなったのかな?)と、想像しました。

しかし、若者小玉氏の意図は、違いました。

若者小玉氏は、『ホールスタッフのままで、もっと料理に近づきたかった』のです。

「今日のスズキは、本当に良いスズキだ!」
「今日のレタスは、めっちゃ新鮮!」
「このマッシュルーム、最高じゃないか!」

これらの事実を知ること、その実感を抱いていること、それが、ホールスタッフ小玉氏の【武器】になったそうです。

お客様に、自信をもって説明できる。
根拠のある、おススメができる。
お客様との、会話も盛り上がる。

そして、ほかのホールスタッフが、料理のことを、若者小玉氏に質問するようになります。

これまでなら、たとえ料理に興味を持っても、怒鳴ってばかりの厨房スタッフには、怖くて聞けなかったでしょう。
聞く気にも、ならなかったでしょう。

これまでなら、料理や食材への疑問があっても、質問などはしなかったでしょうし、もちろん、調べたり、勉強したりなんて、ほとんど行わなかったのです。

それが、同じホールスタッフの若者小玉氏になら、聞けるのです。
聞きやすいのです。
質問しやすかったのです。

そして自然と、料理や食材への、興味関心が増したハズです。

「ホールスタッフ全体の、【 質 】が上がったんです」

小玉氏は、当時を振り返って、そう語りました。


・小玉洋一の改革 ⑤『中心になれたのに』

小玉氏は、

「スタッフが、料理を中心にまとまりました」
「料理人も、料理人の下っ端も、ホールスタッフも、全員が『料理』を中心とするようになったんです」
「別の言い方をすると、全員で『最高の料理』を持って、全員でお客様に向かっているんです」

と、説明してくれました。

筆者は、「その中心に、・・・小玉氏がいた?」と、質問しました。

小玉氏は、「はい」と、やや小さめの声で、でも明確に、ためらうことなく答えたのです。


小玉氏は、こんなことは言ってませんが、筆者には、

「ウォーーー!! やり切ったぞーーー!!」

と、両手のこぶしを握り締め、その両手を突き上げて、大声で吠えている、そんな、若者小玉氏の映像が、音声付きで、ハッキリと観えたのです。


小玉氏は、次のような説明を加えました。

「あと一歩、力及ばず、『これから』というタイミングで、そのお店は解散しました」
「それは正に、『さあ、ここからだ。これまでのマイナスを挽回するぞ』というタイミングでした」
「店舗をカジュアル化してリニューアルする、というんです」
「そのリニューアルは、一部のスタッフだけを残しての【解散】でした」
「あと半年早く合流してれば、という無念で、いっぱいでした」


・・・残念な結果です。

若者小玉氏は、再度、CHAPさんと離れることとなりました。


◆営業マン、小玉洋一

CHAPさんと離れ、青年に成長した小玉氏は、今度は『営業』の門を叩きます。

『小玉洋一、営業マン物語り』が、全5巻くらいのボリュームで書けるほどの、そんなステージに、青年小玉氏は突入しました。

しかし今、それを書くと焦点がブレますし、このマガジンが物凄い長編になってしまいます。
なので、『小玉洋一、営業マン物語り』は、別の機会に譲ります。
そして、必ず書きます。


飲食業界を離れた理由をたずねると、小玉氏は、

「1度、飲食業界から離れて別の経験を積みたいなぁと、なんとなく、そう思ったのです」
「必ず戻ってくる業界なので、しばしの別れにすぎないと、そんな風に、軽く思ってました」

と言いました。

ここでは、その時代を駆け足で、サラっとだけ、ご紹介いたします。

青年小玉氏は、まだ勢いのあった携帯電話の販売会社に、アルバイトとして働き始めます。
いつしか社員に、そして、いつしか店長に、哲学するヒマもなく、

気がつけば、4エリア12店舗のエリアマネージャーになっていたそうです。

朝5時に起床し、終電で帰宅する毎日で、休日もまったく無し。
それを2年以上続け、身体も精神も崩壊します。

その会社を辞め、すこし療養します。

そして、派遣社員になり、リハビリを兼ねてゆるい仕事を選び、やがて元気になって、筆者がエリアマネージャーをしている、ブラック企業に就職しました。

筆者は当時、無自覚なパワハラ上司でしたし、
その会社は、ブラックの中のブラック企業 でしたが、青年小玉氏は、
前職が、ドブラックの中のドブラック企業 だったがゆえに、むしろ、「まともな会社」と、感じているようでした。


・青年小玉氏の、筆者の思い出

筆者が初めて、青年小玉氏(26歳)と出会った時の印象は、「背がデカイ」です。身長180センチ以上で、小型の巨人くらいです。
あと、「元気な好青年」です。

まとめると「背の高い元気な好青年」でした。現在小玉氏は44歳で、筆者より10歳年下です。

筆者は1度だけ、青年小玉氏のアパートに招かれました。青年小玉氏が、手作りランチを御馳走してくれるというのです。

パスタがメインでした。
スープやサラダ(前菜)も出て、かなり本格的な料理なので、とても驚きました。筆者は、青年小玉氏の、飲食店でのキャリアを知らなかったのです。

そのときのランチは、美味しかったことは勿論ですが、それ以上に「キレイな料理だなぁ」と、強烈に思いました。
料理の美しさに筆者は少し緊張して、思わず姿勢を正したのです。そんな記憶があります。


・怒涛の変化

青年小玉氏は、当時の難病指定だった『潰瘍性大腸炎』を発症します。
元総理の安倍さんと同じ病気です。
入院し、病み上がりですから無理は禁物ということで、ついにブラック企業を去ることとなります。

そして、リハビリを兼ねて派遣社員となり、ゆるゆると、ゆるい仕事をしていました。(小玉氏は、リハビリに、派遣でのアルバイトを、選ぶクセがあるようですね)

その派遣先が、『目標なんてムリに決まっているじゃん体質』で、『できない理由のプレゼン達人集団』で、毎度毎度目標の半分も達成できなく、そして、それがちっとも悔しくないという有様でした。

派遣先の会社(支店)が、そんな状況だったのです。
スクールウォーズの、最初の、弱小ラグビー部のような感じですね。

青年小玉氏は、少し体調が回復すると、それが我慢できなくなりました。
黄レンジャー魂と、なぜか赤レンジャー魂まで持ち合わせていたらしく、さらには『弱小ラグビー部を鍛えなおす監督魂』もあったようで、その全ての魂に、火がつきます。

ブラック企業で鍛えられた営業力を発揮し、青年小玉氏個人の営業成績でチームを引っ張り、仲間にコツを伝授し、最後には、足を引っ張っていた正社員までが協力してくれて、その支店では、過去1度もなかった『目標達成』を、成し遂げたのです。

その青年小玉氏の、鬼のような活躍に、メーカーの偉い人が目を付け、直々に、「小玉さんが派遣業をやりませんか?」と、提案しました。

要は、「あなたが、派遣会社の社長になれ」と、「援助はする」と、「会社を起業しましょう」と、そういう提案でした。


青年小玉氏は、ただひたすらに走っていたら、人材派遣会社、TLC株式会社の代表取締役社長になっていたのです。

まるで、映画『フォレストガンプ』です。

ベンチャー企業の若き社長となり、創業時の嵐に翻弄され、しかし、それも、小玉氏は乗り越えます。
1年目で、約90%のスタート企業が倒産する、と言われています。それを乗り越える苦労は、乗り越えた経営者にしか分かりえません。

様々な危機を乗り越え、TLC株式会社は、今年10年目です。(公式サイトは現在リニューアル中です)

今では、人材派遣業のほかに、パソコン修理のフランチャイズ店を5店舗運営し、そして飲食業界に舞い戻り、タイ料理店『CHAPSTOCK』を運営しています。

現在小玉氏は、TLC株式会社の社長でありながら、かつ、『CHAPSTOCK』のオーナーシェフとして、その腕を振るっているのです。


◆料理への思い

小玉氏の、「いつか、飲食店をやりたい」という思いは、筆者も常々聞いていました。
ときどき、「ホールスタッフが大事なんです」って、そういえば言っていました。

ある日、中年となった小玉氏は、『シェアカフェ』の文字に目を止めます。
SNSを眺めていたら、視界に入ってきたそうです。

シェアカフェの記事を詳しく見て、そして呟きます。

「週1日から営業可能、、かぁ・・・」

普通に店舗を構える場合と比べて、初期費用が、もの凄く節約できます。
当然ですが、賃料も『シェア』するので、格安になります。

小玉氏は、
「あのCHAPさんの『凄い料理』『素晴らしい料理』『とんでもない料理』を、多くの人に届けたい」
「知ってほしい」
「だから、いつかは飲食店を開くんだ」
と、いう思いを、ず~っと抱えて、そして、温めて続けていました。

それに、また、火がつきました。

火がついた小玉氏は、ショッカー戦闘員や怪獣ぐらいでは、まったくもって止まりやしません。(ゴレンジャーの敵もショッカーか?)

火のついた小玉氏は、強豪ラグビー部のタックルでも、止めることはできないのです。


・シェアカフェ

藤沢市の、長後駅から徒歩1分45秒立地に、小さな店舗があります。
何店かで、シェアする店舗です。

実業家小玉氏は、「週2回」「ランチのみの営業」と決めます。

メインの商品は、『CHAPさんのグリーンカレー』です。


・師匠CHAPさんとの再会

小玉氏は、
「CHAPさん料理は、『感覚』なんです」と言いました。

CHAPさんは、おそらく天才タイプなのでしょう。また、膨大な経験が、そうさせるのでしょう。

小玉氏は、
「そのCHAPさんの『感覚』を、『数値化』するところから始めました」と、説明してくれました。

「具体的には?」と質問すると、

「長後のシェアカフェに、つまり、お店に来てもらったんです」
「CHAPさんに電話して、『教えてほしい』と言ったら、いつもの調子で、軽く、『イイよ~』と言ってくれたんです」
「CHAPさんに作ってもらって、そのCHAPさんの『感覚』を、僕が『数値化する』日々でした」

と、小玉氏は、楽しそうに答えました。

筆者は、「CHAPさんへの報酬は?」と、ちょっと不躾な質問も投げました。

「報酬は、なしです。無償です」と小玉氏は言うのです。

筆者は耳を疑い、食い下がります。すると、

「やがて軌道に乗ったら、ライセンス料を支払うという契約で、承諾していただきました」

と、小玉氏は、事も無げに言うのです。

お二人には、筆者がうかがい知ることのできない深い信頼があり、それは、決して揺らぐことのない、大前提のようです。

この凄さに、当の小玉氏は気がついていませんでした。きっと今も、気がついていないことでしょう。
でなければ、あんなに、普通に、普通の顔して語れません。

読者のあなたに問います。

あなたは誰かに、「 無料で教えて!」と、普通に頼めますか?

小玉氏は、必ずライセンス料を支払うという、自信と決意と覚悟とがあったのでしょう。

CHAPさんは、小玉氏が不義理をするハズないと、信頼し切っていたのでしょう。


・CHAPさんのグリーンカレー

ココナッツミルクを、水を一切使わずに・・・、
などと、料理の素人の僕が語るより、「その1」で紹介したブログ記事のリンクを、2つだけ、厳選して貼ります。


・3度食べた筆者の感想

はじめてのときの、序盤の感想は、
「濃厚だなぁ」
「けっこう辛いぞ~」
「パクチーって、どれのこと? この葉っぱか?」
などと、このような感想でした。

「パクチーは苦手」って、よく耳にしていたので、筆者は若干の警戒感を持っていたのだと思います。
日常でもウソを言いたくない筆者が、怖れ、緊張し、警戒していたのは、万が一、美味しくないと思ったとき、何と言うべきか、という問題なのです。

筆者は、グリーンカレーを初めて食べました。ですから、他のグリーンカレーと比較できません。
そして、グリーンカレーは、日ごろのカレーライスとは、全くの別物だと脳は言います。
比較不能です。軽く脳が混乱しました。

はじめて注文したのは、『本日のランチプレート』で、グリーンカレーとガパオライスとの半々でした。

前半は、(ああ、僕は、ガパオライスの方が好きだなぁ)と思いながら食べていました。
こちらは、どこかで食べたことのある、少し馴染みのある味でした。
ガパオライスは食べたことが無かったので、何かの味に近いのでしょう。

でも、後半、残りがホンの少しになったとき、感想が逆転したのです。

(あっ! グリーンカレーの方が、もっと食べたい!)と。

筆者は、戸惑い、そして、自分の抱いた感想への自信のなさから、「美味しかった」くらいの、ベタなコメントしかできませんでした。

「濃厚だねぇ」くらいは、ひと言、付け加えたかもしれませんが…。

店を出て少しすると、どんどんグリーンカレーが食べたくなったのです。
これは、不思議な体験でした。
空腹ではないのです。でも、できることならお店に戻って、グリーンカレーのみを食べたいのです。

あれは、常習性でもあるのでしょうか?

夜になると、グリーンカレーへの飢えが、かなり強く襲ってきました。『空腹の飢え』ではなく、『グリーンカレー飢え』です。


こんな、強烈な第一印象のグリーンカレーです。

2度目のCHAPSTOCKへの訪問は、(半々の本日のランチはいらん。今日はグリーンカレーのみだ!)と決めて行きました。

迷うことなく、長い間飢えていた、あの、グリーンカレーをオーダーします。

旨い! 美味しいではなく、旨い! ひとくちで、旨い!
前回より辛くは感じませんでした。

これが、パクチー? 

まだ、パクチーの正体が分かっていませんでした。


3回目も、迷わず、グリーンカレーをオーダーしました。

パクチー「増し」か「追いパクチー」だったか、ネーミングは忘れましたが、少額でパクチーを多くできるとメニューにありました。

まだ僕には、どれがパクチーなのかがハッキリしてなかったですし、どうやら苦手ではないみたいですし、たぶん葉っぱですし、この際、パクチーを多くして、その正体と、さらに、自分はパクチーをスキなのかをハッキリさせようと、そう思い「パクチー増し」を注文しました。

パクチーは、美味しいとも、美味しくないとも、どっちとも思いませんでした。ただの葉っぱの味です。

でも、(増しじゃ足らんなぁ、増し増しにすれば良かった~、失敗した~)と思っている自分を確認したのです。

パクチーは、美味しいというより、クセになるもの、なのでしょうか?

やっと、グリーンカレーを冷静に食べれるようになり、改めて思ったのは、やはり

「濃厚」です。

しかし、しつこさとか、くどさ、というのは皆無です。
きっと、濃厚というよりは、「深いコク」というのが近いのかもしれません。

筆者は、CHAPSTOCK以外のグリーンカレーを知らないので、なんともお粗末な、主観のみの感想ですが、
一切盛ったり、忖度することなく、食べたときの記憶を、時系列にして、正直に綴らせていただきました。


◆藤沢店スタート

上記で書いた、筆者のグリーンカレーの感想は、3回ともすべて、藤沢店で食べての感想です。

藤沢店は、JR藤沢駅から徒歩5の立地です。藤沢市役所がすぐ近くにあります。

CHAPSTOCKは、ビルの2階です。
初めて行ったとき筆者は、(集客には不利だなぁ)などと、コンサルタント目線で考えたものでした。
もちろん、『なんちゃってコンサルタント目線』です。

「2階では集客に不利、という不安は、なかったの?」と、小玉氏に質問しました。

「初めから、一見さんで入るお客さんを期待しない、と決めてたのです」と、小玉氏は即答しました。

「逆に、わざわざ遠くからでも来てくださるというお客様を期待し、駅近の物件にこだわりましたねぇ」
「初期費用を抑えるため、居抜き物件(飲食店が出た時のまんまの店舗)を探していて、今の物件は、前はイタリアンのお店だったんです」
「家賃も安く、リフォーム費用も激安で済みました」
「壁は、家族で塗ったんですよ~」

飲食店をこれから出そうという方には、これは、珠玉の言葉でしょう。

良く、立派な店舗、素敵な内装、素敵な家具、素敵な備品に、メッチャこだわっているという、そんなお店を見かけますが、開店資金にかなりの余裕があったとしても、運転資金に残しておくべきではないでしょうか?

会社やお店は、商品が良かろうと、サービスが最高であろうと、人材が素晴らしかろうと、お金が尽きたら潰れます。
逆に、ひどい味や、ひどいサービスのお店でも、お金があるうちは潰れません。

キレイでお洒落な店舗は、お客様のためでも従業員のためでもなく、店主の「見栄」への「浪費」と言えるのかもしれないのです。

見栄を張るのは、開店して、利益が出て、そこから改装費を貯めていき、
つまり、ちゃんと商売が軌道に乗ってから、ではないでしょうか。


お店の小物なども、小玉氏がチョイスしたそうです。なかなかオシャレですよね。
「IKEAで買ったりもしましたよ」と、小玉氏。

壁の色も、
「僕がスキな色なんです」と。

筆者はデザインを学んだわけではありませんが、でも、センスあるなぁと、思います。
まだ見てなかった方は、下の、CHAPSTOCKの公式サイトを、ぜひご覧ください。


・店名

店名の由来を聞いたとき、筆者は、師匠CHAPさんのことを、まだ知りませんでした。

ここまで読んでくださった方は、店名の由来は、もうおわかりでしょう。

小玉氏は、
「僕は、師匠CHAPさんの味を、後世に残したいんです」と、教えてくれました。

店名の、そのまんまです。

筆者が、優れたインタビュアーなら、「CHAPをSTOCKする、という店名ですが、CHAPを説明していただけませんか?」と質問したことでしょう。


・シェフ小玉の持論

「持論ですか?」
「『迷ったらやらない』『迷ったら使わない』という持論があります」

と小玉氏は言いました。

「例えば、玉ねぎの皮。どこまでむくか? 僕は、迷ったら使いません。もう1枚むいて、それはスープの出汁に回します。野菜の色とかも、迷ったら使いません」
「これは、高校生のアルバイトのときに、モスバーガーの店長に教わったのです」
「最初にそう教わったので、僕はもう、ず~っとそうなんです」
「モスバーガーの店長が、
『人は自分に甘い。そんな自分が迷うモノは、お客さんにとってはNGさ』
と、教えてくれたんです」

こんなこと言われたら、小玉氏とモスバーガーが、ますます好きになってしまいます。


・ホールスタッフ小玉の持論①

例えば、席がほぼ埋まっていて、次のお客様を『末席』にご案内した。
末席とは、窓側でもなく、店の真ん中とかで、ホンの少し居心地の悪い席。

気にしない人もいるかもしれないが、気にする人もいるだろう。

すると、そんなタイミングで、窓側の良い席のお客様がお帰りになった。
その良い席に、お待ちの、次のお客様を、即ご案内するのは・・・NG。

その前に、末席にご案内したお客様に、席の移動を希望されるのか、そのままが良いのか、まず、それを確認するのが先。

これが、小玉流。


・ホールスタッフ小玉の持論②

お札の上にレシート、NG。
お札の上に小銭、NG。
お札の上に、レシート、その上に小銭、メッチャNG。

お客様がサイフにしまいやすいように、
お札、小銭、レシート、という順で、それぞれにお返しする。

これを徹底する。かつ、さりげなくやる。
これが小玉流。


・嬉しかったことは?

「長後のシェアカフェのときのお客様が、わざわざ藤沢店に来てくださったんです」
「うれしくて泣きそうになりました」


・コロナ対策は?

「感染予防対策以外は、特に、何もしていません」
「もちろん、消毒を徹底しています」
「あと、テイクアウトも行いましたし、ディナーを自粛しました」

「ほかは、特に、何も・・・」
「うち、売上、落ちてないんですよ~」

「コロナウィルスで、早々に閉店となった飲食店って・・・」
「思うに、実際のところは、それ以前から充分な利益を出せていなかった」
「そんな風に感じなくもないですねぇ~」

席数の多い大型店ならともかく、小規模な飲食店ならば、実は熱狂的な少数のファンだけで、充分に利益が出せるのかもしれませんね。


昔、バブルが崩壊したとき、確かに閑古鳥が鳴きガラガラのお店(パブやスナック)が多い中、連日満員という、オジサン2人だけの超人気BARがあり、
筆者は、
「不景気で給料やボーナスが減ったものだから、飲みにお金を使う場合は、ハズレる可能性のある店には行きたくない、って感じなのかな?」
「無意識かもしれないけれど」
「確実に満足できる店に行こうって、みんながそう考えてるのかな?」
などと、思考したものでした。

小玉氏の話を聞いて、【バブル崩壊後の繁華街での思考】を、久しぶりに思い出しました。


・CHAPSTOCKの今後

「今後、2号店とか出す気はないの?」と、質問しました。

「あります」と小玉氏。

「その前に、まず、今の店でディナーのフルコースをやりたいんです」
「1日2組だけの限定にして、最高のコース料理を提供したいんですよぉ~」
「CHAPさんの凄い料理って、まだまだあるんです」

そして、筆者に下記のサイト ↓ を紹介してくれて、


かつ、

「CHAPSTOKの料理は、タイ宮廷レストランの中でも、メチャクチャ伝統のある【ブッサラカムレストラン】の系譜なんです」
「師匠のCHAPさんは、ここにいたお婆さんから、タイ宮廷式料理のイロハを、直接学んだのです」

と、教えてくれました。

CHAPさんの「凄い料理が、まだまだある」のですから、ディナーの開始が待ち遠しく、そしてワクワクします。


・2号店、3号店の計画

「2号店とかは、コンセプトを変えたいんです」と、小玉氏は言います。

「例えば、長居してイイ、CHAPSTOCK『ガーデン』とか・・・」
「3号店は、CHAPSTOCK『リゾート』として、料理以外のサービスまで提供するとか・・・」
「そんな、イメージを温めています」

と、とても楽しそうに語ってくれました。
すごく素敵なアイディアですよね。

今後、ますます『CHAPSTOCK』は、要注目です。


・小玉洋一氏とCHAPさん

調理しているのが小玉洋一氏です。

Instagramの写真から

・土日は、なんと! 現在、師匠のCHAPさんが調理しているそうです!

・こちらもCHAPSTOCKのInstagramの写真から
・CHAPさんもイケメン!
※この情報は古くなっています。ご注意ください。

※ Instagramにリンクがありました ↓ ので、貼っておきます


◆改めて、小玉洋一氏とは

小玉氏の特徴は、バイタリティーが真っ先に挙げられます。
普通の人間が車のエンジンとすると、小玉氏はジェットエンジンを積んでいる感じですね。

そして、非常に珍しいのは、バイタリティーあふれる方って、ちょっと鬱陶しさがあるものです。
筆者の偏見かもしれませんが、鬱陶しさや暑苦しさ、押しの凄さ、という特徴も兼ね備えている方が多いのではないでしょうか。

しかし、小玉氏は爽やかです。決して押しつけがましくないのです。

良い意味で、頑固ではありますが、その頑固さを相手にぶつけたりはしません。負けたふりや、受け入れたフリを、サラッとやっちゃうんです。

これ、頑固の中でも、最上級の頑固者の特徴かもしれません。一見、爽やかなんですけども…。
大木の強さではなく、風にしなる竹の強さ、という感じです。


そして筆者は、小玉氏からは常にセンスを感じています。

【センス】
物事の微妙な感じを悟る心の動き。微妙な感覚。

引用:Oxford Languages


正に、「センスある」という表現は、小玉氏にピッタリです。

小玉氏は、

ホールの仕事にも、
料理にも、
目標達成にも、
営業にも、
経営にも、
事業拡大にも、
店舗にも、
2号店、3号店の構想にも、

全てに、「微妙な感じを悟る心の動き」を、使っていると思うのです。


そして筆者が、記事を書きながら終始感じていたのが、【律儀】という単語です。

先に紹介した特徴以上に、小玉氏の根幹を表現している単語だと思います。

りちぎ【律儀・律義】
《名・ダナ》義理がたいこと。実直なこと。

引用:Oxford Languages

小玉氏は、義理堅く、実直です。
もはや、律儀が服着て歩いていると言っても過言ではありません。

筆者は、小玉氏のCHAPSTOCKの運営や、師匠CHAPさんとの関係などを思うに、

「義理堅く、実直だったから」
「律儀だから、こうなったんだろうなぁ」

と感じてしまいます。


太字をまとめてみましょう。

バイタリティーあふれ、かつ、爽やかで押しつけがましくなく、
しかし、良い意味で最上級に頑固で、また、センスもあり、
そして、何よりも、とっても律儀。

それが小玉洋一。

「これは、かなりの完成度で小玉洋一氏を評している」と、ただいま筆者は、自画自賛真っ最中です。


◆あとがき

はじめての試みでしたが、ついに、

小玉洋一にフォーカス!
タイ料理『 CHAPSTOCK』の店主(オーナーシェフ)

を、書き上げました。

お読みいただいた方には、心から感謝申し上げます。


お店や料理ではなく、『人物』に、そして、その人の『歴史』にフォーカスしたつもりです。

「確かに、そんな記事だったなぁ」と、感じていただけたなら幸いです。


当然、1人の人生を語り尽くせることはなく、例えば小玉氏ならば【社長】という点にフォーカスすることも可能です。
その中でも、筆者がもの凄く好きなエピソードで、派遣時代の『リハビリ→目標達成→社長』というサクセスストーリーは、何が何でも、いつか必ず、書籍化したいと思っています。

もしくは、その事実を元に、小説として書こうかな? などと思ったりもしています。

今回はその辺は思いっきり削除し、シェフ小玉氏にフォーカスしました。


野に遺賢あり。

本当に、そう思います。きっと貴方も『遺賢』の1人です。インタビューをお願いした場合は、どうか、よろしくお願いいたします。








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