愛だと言ってしまえばそれはもう愛だし

1番お気に入りだったあの月日も、1番大切でかっこいいあの名前も、君がつけていた香水もお揃いのロック画面も初めてデートに行ったときの場所も、何もかも全部大好きで愛おしくて宝物みたいにキラキラ輝いてたよ。いい記憶だけ残して忘れないね、きっと離れていても私たちは同じ時間を生きているから、大丈夫、だよ。って自分に言い聞かせるように失恋ソングを聞き漁って朝まで泣いた。何も見えない暗闇でただひとり彷徨っている私を照らし続けてくれた君がいなくなるってことは、私にとって自殺と一緒で、だから迷惑なんだよ?って、雰囲気作りのために虚ろな目で呟いてみたりしたら引き止めてくれたのかな。電話越しに聞こえる少し機械を含んだ声も、耳元で囁いてくれる生ぬるくて甘ったるい声も、ふにゃふにゃの笑顔も、可愛い顔には似合わないごつごつした手も体も、恋しくてたまらなくて、ずっとさびしい。埋まらない穴を誤魔化すためにガラクタを詰め込んでみたりしたけれど、結局君じゃなきゃ意味ないんだなあって思って、だから思い出も手放したよ。泣いた分だけ強くなれるなら君のためにいくらでも泣いてあげる、私は君が水中で泣いていても気づけるから、それぐらい君が好きだから、バキバキのスマホでハートを描くように文字を打ったんだ。でもわかってもらえなくて大丈夫だよ。生きていくために傷ついて傷つけて、そうやって息をしていくことの辛さなんて死んでも分からないんだからさ、行き場の無い感情なんて醜いものは君には似合わないから、分からなくていいし分かろうとしなくて大丈夫、宗教じみた行き過ぎた愛情が愛おしいと思えるようになるまで、また、同じことの繰り返しで、そうやって君のことも忘れていく。

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