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児童相談所職員になるまでの就職活動体験談

0 はじめに

私は福祉系の大学を出ているわけではなかったので、福祉系の就職活動については全くよくわかりませんでした。就職活動自体は5年以上前ですので、参考になるかわからないですが、お役に立てば幸いです。

記事の元は、数年前に就職活動について聞かれた際に作成した資料をもとにしているので、少し至らない点などあるかと思いますが、ご了承ください。

1 私の就活の概要

2015.2 元々公務員の行政職を希望

2015.12 大学院進学に進路変更

2018. 1 自分の活動を振り返った結果、公務員の福祉職に希望変更

2018. 2 民間企業の就活も並行。
・福祉業界の就活イベントに参加し、福祉業界について何となく知る。

2018. 3 就職活動の説明会が解禁。興味あるもののみ参加。
・福祉系のカジュアルな合同説明会に参加。
・個別の企業説明会に参加するため、大手就活サイトの検索機能を使って、興味のある企業をさらっと探して、いくつか説明会行く。
・生活困窮者支援の企業説明会に参加、選考に進む。

2018.4 福祉系の就職フォーラム」に参加。
・福祉系の就活イベントで知り合ったNPO法人に興味を持ち、後日説明会に参加。
・生活困窮者支援の企業の1次面接通過⇨最終面接   
・就活エージェントを利用し始める。
説明会行ったところ
⇨子育て支援系NPO法人、障害支援系NPO法人、公益財団法人、IT系の障害支援を行う企業

2018.5 生活困窮者支援の企業から内定。  
・特別区の1次試験受験
・これまで福祉業界のみを見ていたが、「困っている人にサービスを提供している」と企業探しの軸を広くして、色々説明会に参加。   
・また視野を広げるため、エージェントをさまざま利用する   
・裁判所(家庭裁判所調査官補)の1次試験受験
説明会行ったところ
⇨特別養護老人ホーム運営する社会福祉法人、社会福祉協議会、就労移行支援運営の企業、医療従事者の転職サポート企業、デジタルデータ復旧の企業、社会貢献系のベンチャー企業

2018.6 社会福祉法人の1次・2次試験通過
・裁判所の2次面接試験を受けた         
・千葉県庁の1次試験を受けた。
説明会行った企業
⇨不動産企業、大学院生の就職サポート企業、卵子凍結キット製作企業

2018.7 特別区の2次面接試験を受ける
・千葉県庁の2次面接試験を受ける

2018.8 千葉県庁の集団討論試験を受ける
・千葉県庁の最終合格が出て、就活終了

2 博士前期課程(修士課程)の就職活動について

2−1マイナスイメージがある企業もあり

・「博士前期課程」という名前…「博士課程」と勘違いされ、門前払いされることもあり。
・院生が就活する年齢の頃には、大学院進学しなかった人たちはその分企業での経験を積んでいるので、そのレベルと比較されるので、院卒は敬遠されがち。
・ビジネスへの関心が薄いというイメージ→院生は、自分の研究には関心があるが、それが果たしてビジネス(つまり利益を出すこと)へと関心に結びつくのか、疑問を持たれる可能性あり。
・文系大学院の場合、培ったスキルがどう企業に生きるのか強くアピールしないといけない文系の場合は、大学院で培ってきたリサーチ能力、思考力、考えをまとめ発表する力を活かせる業種、職種に絞る、またはそれらの能力をアピールする必要がある。

2−2 一方で院生の採用に前向きな企業

・近年新卒を始めた企業→ずっと転職者を採用してきたが、ここ数年(特に昨年に)新卒採用を始めた企業は、転職者と新卒の間くらいの位置にある院生が好まれるかなという印象。
・ベンチャー企業など→ベンチャーやスタートアップ企業などは、院生は何か教えなくても自分で考えて動いてくれるという期待と持っているため、比較的採用に前向きとのこと。
・ニッチなビジネス企業→ニッチなところ、他の就活生が注目しなさそうな企業。

2−3私なりに考えた対策

・なるべく書類選考なしで、すぐ面接やグループワークの企業を中心に就活。
・またエントリーシートでは、特に自分のスキルがどのように企業のビジネスと結びつくのかを企業ごとに書いた。
・福祉業界では特に不利な面は無いように感じた。

3 福祉業界の就活について

3−1 福祉業界の傾向

 福祉業界は人材不足です。「福祉業界」と言っても、障害、高齢、児童、生活保護など分野は多様ですが、そのどの分野でも人が不足しています。またここ数年の法律や制度が変化によって、福祉職の有効求人倍率も多くなってきました。例えば以下のようなことが起きています。

・高齢…高齢者の増加に伴い介護職の数が多く必要になった。

・児童…特に児童虐待に対応するため、児童福祉司の採用数の増加

・生活保護…生活困窮者自立支援制度等の普及により、就労支援や貧困支援を担う企業が増加したことに伴い、採用が増加した。

・障害…障害者総合支援法などにより、放課後等デイサービス、就労支援を担う企業や合理的配慮に対応するためのサービス提供を行う企業が増加した。

 こうして求職者の増加があるにも関わらず人材が不足する背景には、いいイメージをもてないだけでなく、給与面などでの不安などがあるためだと思われます。ですが、制度も整い始め(処遇改善加算などが出るように)ています。ので、少しでも興味がある人は除いてみても良い業界ではないかなと思います。(注意点は最後にまとめました)

3−2 福祉業界に就く際に必要な資格や知識(多少必要という話)

 私も福祉業界を目指したときにまず当たった壁が資格や知識でした。ですが結論から言えば、民間は一部を除いて資格が必要のないところも多いですし、公務員も必ずしも社会福祉士などの国家資格が必要でないところも多くあります。大体がなんとかなりますので、以下説明します。

(1)資格について

福祉業界で求められる資格でまず想像されるのが、「社会福祉士」や「介護福祉士」ですが、これらは専門的な単位が必要かつ、現場での経験が数年必要だったりします。

とはいえ、新卒採用でそれを持つ人しか応募できないところは限定的なので(ただ市町村の自治体の福祉職は求められることが多いです、現場未経験でも採用されますし、資格を求められたとしても主に以下2つの資格があると、試験受けられるところも多かったです。

意外と、以下二つの資格は自分が持っていると自覚していない人も多いです。

①児童指導員

○児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)
第四十三条
④ 学校教育法の規定による大学の学部で、社会福祉学、心理学、教育学若しく は社会学を専修する学科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者
⑥ 学校教育法 の規定による大学院において、社会福祉学、心理学、教育学若し くは社会学を専攻する研究科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者

児童指導員は特に児童福祉に関わる職(児童養護施設など)に就く時にも求められますが、公務員系の福祉職の時にも、社会福祉士の資格がない場合に必要な資格として求められます。上記の学部もしくは大学院さえ卒業(見込み)であれば、取得できます。その他の要件もあるので、気になる方は調べていただければ幸いです。

②社会福祉主事 

〇社会福祉法 
第一九条 社会福祉主事は、(…)次の各号のいずれかに該当するもののうちから任用しなければならない。一 学校教育法(…)に基づく大学、(…)において、厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者    
⇒「指定する社会福祉に関する科目」に関しては、厚生省HP参照(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/shakai-kaigo-fukushi1/shakai-kaigo-fukushi9.html

社会福祉主事資格は、民間では行政委託を受けている企業や公務員でも福祉職に必要な資格として挙げられています。指定科目については、社会学、倫理学、法学など幅広い科目のうち3科目の単位が取れていれば、取得可能な資格です。

(2)専門知識や試験について

 これについても心配はいらずです。民間では就活時点で専門知識を問われることはまずないです。一方で公務員系では専門科目として問われることがありますが、社会福祉士のテキストなどで学習していれば、専門で学んでいない人でも習得可能です(また自治体によっては、専門科目を含む1次試験の結果は、面接などの2次試験・最終合格の合否に影響しないところもあります)。範囲は広いですが、択一でなければ大まかな知識を書かせたりする問題が多いので、全体像を知っていることが重要に思いました。

3−3 福祉業界で生かせる強み

 なかなかビジネスに自分のやりたいことがつながらないという人には、強みを発揮できる業界なのではないかなと思っています。お金で換算できない人間関係について考えたい人や、社会的に立場の弱くなってしまっている相手のために何かしたいという人は、一つ将来の仕事の候補になるのではないかと感じています。

3−4 注意点

 福祉業界にはとてもやる気に溢れる人が多く、優しい方がとても多いと感じました。一方でよく言われるのが、「熱意に頼った不安定な職場が昔も今も多い。でも本当に福祉の仕事をやり続けようと思ったら安定した条件の職場が必要」ということです。なので私がなるべく注意して確認したのは、以下の点です。

・月給はどれくらいか(年収だと通勤手当が含まれることがあるので注意)
・賞与は基本給ベースか、諸々の手当てを含めてか、合計何か月分か
・昇給の率・額はどれくらいか(なかなか答えづらいものですが、昇給が上がらないところも少なくないので)
・退職金はあるか(意外とないところも多いので注意。もしできたら額も確認を)
・住宅補助や家族手当など、各種手当は充実しているか。
・お休みはきちんとあるか?(私は年間120日前後が基準でした)

 これらを見て、自分の将来設計してみたときに(学費返済など)、なんとかやりくりできるかどうかを確認するのが大切だと感じました。

 就職サイトなどではお金にこだわり過ぎないようにとも書かれますが、福祉業界においては特には重要だと思います。ただでさえ業界全体の平均給与は低いですので(私が就活する中で、さすがにやる気だけではやっていけないという福利厚生もあったので…)。

4 おまけ:就活時のチェックリスト

自分が譲れない点

仕事内容

・転職を見据えて、スキルを身に着けることができるか

・困っている、支援の手が届かずに歯がゆい思いをしている人にサービスを提供できるような仕事か。マイナスをゼロ・プラスにする仕事か。

企業

・業務は独自の(またはニッチな)領域を確保しているか

・会社の将来性や歴史はあるか。

福利厚生

・給料は日本人平均男性の平均年収程度か

今振り返って、そこまで大事じゃないなと思った条件

・転勤なし

・退職金はあるか

福祉業界の就活でこだわった条件

・社会福祉士の「相談援助実務」経験を積むことができるのか。

・実務と裏方の二束のわらじを履けるか。

・法人の運営を学ぶことができるか。

・人として成長できるか。

・雰囲気は良いか。

そのほかの条件

・働いている人は将来の企業の自分を描けているか

・キャリアパスは用意されているか

・漫然とではなく、原動力を持って働いているか

・事前調査段階で不安要素はあるか(裁判記録やセクハラ疑惑など)

・創造性はあるか。

・サービス対象者のために、自分自身のことをないがしろにはしていないか

・社会発信はしているか

・仲間は支え手くれそうな雰囲気か?

・財源は安定しているか

・年収はどれくらいか(賞与は基本給換算か、諸々の手当てを含めてか)

・退職金はあるか。住宅補助はあるか。昇給の率・額はどれくらいか。

・自分のやってきたこと・強みがどれくらい発揮できそうか。

・できることだけでなく、どれくらいチャレンジ要素があるか

・企業だけでなく、他の団体や企業とも交流しているか。

・トイレはきれいか →企業に余裕があるかどうかの指標

説明会でよくした質問(場所によって応用した)

・社会貢献はどのように行うことができるか。

・定年退職後にはどのよう人として巣立つことを想定しているか。

・継続する者にはどのようなことを期待するか。

・将来どのような企業になることを描いているか

・一緒に働きたくない人はどんな人か

・原動力は何?

・そこへの決め手は何か。

・自分のメンタルケアはどのようにしているか。

・チームワークの特徴をあげるとすれば?それを可能にするのは何と考えているか。

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