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ネイサン・チェンの金メダルに心からの喝采と祝福をおくる。


自分はフィギュア男子シングルの選手なら
ネイサン・チェンが好きだ。
ネイサンよりも前にファンだったのは
浅田真央さんでした!といえば
好みの傾向は大体わかると思う。
ちなみに自分は宇野昌磨もかなり好きだ。

今日、世界中のネイサンファンは
4年前の平昌の悪夢を乗り越えて
No. 1の称号と金メダルを手にした彼に
心からの喝采を送ったことと思う。
ネイサンの金メダルが決まったあの瞬間、
自分の脳裏には
4年前の平昌でのネイサンの姿が浮かび
そして“ネメシス”の曲が鳴り響いた。
耳に残るあの独特なイントロと
ベンジャミン・フランクリンの歌声が!


ところで、
自分は浅田真央さんのファンだった頃にも
これと似たような経験をしている。
氷上の彼女の姿や曲もやはり耳に残った。
今現在、プロスケーターとなった彼女は
選手時代の終盤には滅多に見られなかった
あの“真央ちゃんスマイル”で
とても楽しそうにスケートをしている。
本来ならば、プロになった彼女には
浅田真央のネームバリューもあるし
テレビ放映での解説の仕事などで
高い需要もあるはずだ。
なのに何故か彼女は解説をやらない。
大体フィギュアファンでなくたって
五輪の解説になぜ浅田真央が出ないの?
って、思ったと思うんだよね。

自分が選手時代の彼女を応援してた頃は
トリプルアクセルを成功するかどうか
そればかり気にしていたけれど
今はさすがにちょっとおかしくないか?
と思うようになっている。
スケート連盟と彼女とのあいだに
なにか確執でもあったのかとか
視聴率かせぎの無責任な報道も多かった
メディアを忌避してのことだろうか?
ネットで検索してみても
怪しげなデマが山ほど出てくるばかりで
本当のところはわからないままだ。
ただ浅田真央と同じ世代の選手たちが
解説などでメディアに登場するのに
浅田真央だけが出てこないのはおかしい
と、前々から疑問に思ってはいた。
これはつまり
彼女がそれをやりたくないからやらない
ということだと思う。
それが浅田真央が選んだ道なんだろう。


ネイサンに話をもどすと
平昌で悪夢を見たあとの彼は
誰もが知ってるように強くなった。
平昌五輪のあたりまでは、
彼はジャンプで点数を稼いでるだけとか
ひどいことも言われていた。
しかし彼は得意のジャンプを進化させて
安定した4回転ジャンプを跳びながら
なおかつそれ以外の要素もすべて高めて
確実に自分のものにしていった。
そしてついに北京で金メダルをゲットして
……彼はこの先どうするんだろうね?

ネイサン・チェンは医者志望で
名門イェール大学に籍を置く学生だ。
五輪には大学を休学して臨んだらしいけど
シーズンが終わって大学に復帰したら
その後は医者に向かってまっしぐら?
フィギュアの選手生命は短いけれど
ネイサンの年齢なら
次の五輪だって余裕でメダルを狙えるし
普通なら2連覇をめざすところだろう。
がしかし、彼は現役の医学生だ。
あと4年もスケートに本気で打ちこむのは
はっきり言って無理だし無謀だ。
本気で医者になりたいのなら
とてもそんな時間の余裕はないはずだ。
ネイサンのコーチも言っていたけれど
この先の彼の未来は次の五輪ではなく
医者の道へ向かっているのかもしれない。

たしかにネイサン・チェンが
元メダリストのプロスケーターとなって
全米をツアーでまわる姿は想像できない。
彼自身がコーチとなり
後進を育てたりする図も浮かばない。
オリンピックのメダリストとなっても
彼はいずれ必ず立派な医者となり、
スケートはあくまでも趣味のレベルに
落ち着くのではなかろうか。
おそらくこの先のネイサンは
大学へ戻って勉強して医師免許をとり
医師としての研鑽を積む時期になるはずで
スケートの練習に費やす時間は
もう彼にはたいして残っていないだろう。
それはフィギュアファンとしては
ちょっと…かなり残念だけど
ファンとして言わせてもらうなら
彼には医師としても金メダル級にまで
なってくれることを期待する。
その未来に向かって邁進する彼には
今回の北京での金メダル獲得は
ちょうど区切りになるのではないだろうか
ネイサン・チェンがどんな選択をしても
自分はこれからも彼を応援したい。


銅メダルを獲得した宇野昌磨選手にも
自分は拍手を送りたい。
ネイサン・チェンや宇野昌磨にかぎらず
いつの時代のどんなアスリートにも
ファンにはわからない苦労や
隠れた努力はあると思う。
でもコーチ不在のどん底の時期を
諦めて投げ出しもせずに乗り越えて
ここまで復活した宇野昌磨には
格別の、心からの喝采を送りたいと思う。

これは自分の勝手な想像だけど
たぶん宇野昌磨という選手は、
浅田真央さんとすこし似たタイプの
スケーターであるような気がする。
ふたりとも
フィギュアを好きという気持ちだけで
ひとの何倍も頑張れた
選手だと思うのだ。
幼い頃からの徹底した英才教育も受けず
世界的に名を知られたコーチの指導のもと
金と時間をかけて鍛えられることもなく
それでいて数々の世界的な大会で
メダルを獲得して実績を残してきたのだ。
浅田真央さんは一時期
有名なコーチについたこともあったけれど
それが彼女のスケート技術を
大きく向上させたにもかかわらず
練習拠点を移すことはなかった(と思う)
当時も今も、世界ランキング上位には
技術の向上などを目的とした
人気のコーチの手厚い指導を受けるため
海外に練習拠点をおく選手が少なくない。
浅田真央と宇野昌磨の2人は
そうしなかった珍しいタイプだと思う。

今現在、宇野昌磨はスイスに拠点を移して
ランビエールコーチに師事している。
このコーチとの出会いが
彼の復活に大きく関与したのは
いうまでもないけれど
もっと早くそうしていればなぁと
残念に思うのは自分だけじゃないはずだ。
10代のうちにカナダに渡り
練習拠点を海外に移した羽生結弦には
オーサーコーチの他にも
ジャンプやスピンにそれぞれ特化した
専門の個別のコーチ陣がついている。
彼と同じリンクで競った有力選手の中で
世界的に評価の高いコーチに師事もせず
特化型コーチもついていなかったのは
宇野昌磨ぐらいじゃないだろうか?
シルバーコレクターと呼ばれながらも
それでも彼は表彰台にあがりつづけ
世界ランキング上位でありつづけた。
平昌では銀メダルを獲得して
シニアデビュー以来、
彼はどの大会でも毎回のように
そこそこ実績を残してきたのだから
とんでもない努力と才能の持ち主である。

ただ、もし10代の頃の仮に
その手の“いい話”があったとしても
彼自身がOKしなかった可能性はある。
宇野昌磨が長く日本に留まっていた理由は
きっと彼にしかわからない。
彼は思いつきで海外に練習拠点を移したり
コーチを変えるタイプではなさそうだ。
彼は今日の北京五輪のフリーでも
あれだけミスを連発したにもかかわらず
しっかり銅メダルを獲得している。
あれが宇野昌磨の強さだと思うんだよね。
これもコーチの影響か、今の宇野昌磨は
次の試合、次のシーズンに向けて
明確なビジョンが描けるようになったのか
最近ではコメントの内容も変わってきた。
やはりもっと早くに練習拠点を…
まぁこれは今さら言っても仕方がない。

しかし、ことインタビューとなると
頭脳明晰で幼い頃からチェスを嗜み
よどみなく話すネイサンなどに比べると
宇野昌磨はネイサンよりも年上なのに
どうにもメディア映りも発言内容も
全般的に子供っぽい感が否めない。
そもそも彼はカッコいいこと言おうとか
ウケが良さげなことを言おうとか
そんなことはまるで考えないようで
思ったことをただそのまま言ってるだけ?
10代の頃からずっとあんな感じだ。
しかし宇野昌磨の場合は
言葉選びの端々に育ちの良さがうかがえ
なんというのか、とても自然なのだ。
それが宇野昌磨なのだから
自分は彼はあのままでいいと思う。
なにか気になる、応援したくなる
見ていておもしろい選手だと思うのだ。

3月の世界選手権が終わったら
「ネイサン・チェンが引退!」
という報道が地球を席巻するかもだけど
宇野昌磨がこの先も頑張るのなら
自分もまだまだ応援しつづけるつもりだ。