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一年ぶりの国立西洋美術館で感じたこと

先週国立西洋美術館に行ってきたので感じたことをざっざとまとめておこうと思う。


国立西洋美術館にいくのはちょうど1年ぶりくらいだった。去年の夏、国立西洋美術館のリニューアルオープン記念で開かれた「自然と人のダイアローグ」ぶり。あれが初めて自分で行きたい!と思って行った美術展だったと思う。

今回は常設展とスペインのイメージという特別展をみた。
春休みの時から美術館に行きたいなぁと思っていたもののこれというきっかけがなくて先延ばしにしていた。
そんな時個人的に推している松村北斗くんの雑誌連載「アトリエの前で」を久しぶりに見た。いろんな美術館をめぐる北斗くんの写真と共に彼のエッセイが載っている。(エッセイが本当に大好きなんだけどそれについてはまた感想を書きたい!)
北斗くんが国立西洋美術館の常設展に行っていた回はだいぶ前なのだけど好きな人が行ってるところだしある種聖地巡礼的なノリで行くことにした。
(推しっていう存在は自分の世界をいろんな方向に広げてくれるなぁとしみじみ思う。北斗くん、ありがとう!)

ということで夏のあっっっつい上野駅に到着。涼しい館内に入ろうと足早に西洋美術館に向かった。どれも本当に素敵な絵。どの絵画でも1時間くらいは立ち止まって見つめてられるなぁ、って心の底から思った。

ルノワール「帽子の女」

すごく印象に残ったのは、ルノワールの「帽子の女」。生まれて初めて目にした。一目見て思ったのは、この絵かわいい〜〜〜!
きっとモデルの女性はここまでに鮮やかな白のドレスを着ていたわけではないと思う。なのにルノワールの絵は白の他に、黄色青色灰色いろんな色が混ざり合って成り立っている。ルノワールの目にはどんなに色鮮やかに世界が映っていたんだろう。
私もこんな風に世界が見えたらなぁ、、って思ったけど、ルノワールは私の目の前に既にその景色を見せてくれていた。130年以上もの時を超えて私の目の前に確かにルノワールの世界があるんだ。くぅぅぅぅっっっっ!!!

ルノワール「帽子の女」

遠くから離れてみても真っ白な壁の真ん中でルノワールの絵は光って見えた。電車に乗れば、無料でこんな別の世界を堪能することができるなんてとんでもなく恵まれているなぁ。
この絵を見たら美術館に行くきっかけなんていらないと思った。この絵を見に行くため、それだけで十分。

クロード・モネ「睡蓮」

画家の中ではモネが一番好き!!絵画の難しいことはよくわからないけどモネの絵を目にすると端から端までじっっっっくり見て、感じたこと全てを忘れないでそのまま自分の中に吸収したくなる。それにそれが可能なのがモネの絵の魅力だと自分は思っている。

常設展の中で一番好きなのは「睡蓮」。最後の方にあるから早く見たいなぁとウキウキする心を落ち着けながら、それでもソワソワする気持ちを隠せずに他の絵を鑑賞する。部屋の奥の方にある睡蓮の存在を背にずっとなんだがドキドキしていた。他の絵もじっくり見てるんだけど睡蓮の方をチラチラ見ちゃう、、みたいな、、、。


モネ「睡蓮」

睡蓮を初めて見たのは1年前に訪れた展覧会。その時になんて言えばいいかわからないけど惚れた!!!人間に惚れた事もないのに、惚れた!!
だから当たり前かもしれないけど、私が変わっても絵の展示の場所が変わっても、モネが描いたこの絵だけは変わらずに存在してくれることがすごく嬉しいし安心する。今これを書いている最中でさえ睡蓮が確かに存在するって考えるだけで胸がホッとするんだ、、、。これは恋!!

モネはどんな目をしていたのかなぁ、、、。モネに見つめられたらどんな感じなんだろう。マイケルジャクソンの音楽を初めてちゃんと聞いた時も思ったけど、こういう素晴らしい世界を生み出す芸術家がもう生きていないのは悲しいな。会ってみたいと思っちゃうから。でもそんなこと言ってても仕方ないし、モネはそもそもこんな素晴らしい宝を遺しているんだから!
ほんとうにありがとうございます。

複製と睡蓮

ミュージアムショップに行くと絶対に何か買ってしまうし、でもそこで買ったものは後悔したことがない。足を運ぶとそこにはたくさんのポストカードや絵のプリントが売っている。
とりあえずクリアファイルを確保した。追加で睡蓮の額絵(絵のプリント)を買おうかなぁと思って手に取ると違和感を感じた。明らかに、、、(ちょっと自信ないけど)絵が明るかった。
それに当たり前だけど実物見た時のかわいい、、、素敵、、、っていう気持ちが感じられない。というかむしろ実物を見た後だと色褪せて見える。部屋に飾ろうかな、なんて思って手に取ったけど、それを見ても癒しは得られなそうだった。時間が経ったらあの感動を忘れて複製でも似たような感動を感じるのかななんて思ったけど、モネの絵を見たあの惚れ惚れしちゃう気持ちはそう簡単に消えないしむしろ自分の一部になっていく感じがする。
絵自体が素晴らしいことに間違いないけど、心に残る絵画はそれを見て体でが感じた全てさえも芸術と呼べるくらい素晴らしい。
うまく言語化できないけど、とにかくそう思って額絵は買わなかった。

後で本屋で手に取った本に(藝大の先生の本だったんだけどタイトルが思い出せない、、)
「絵は、本物を見る以外に、意味はない。そういう、実体験は持っている意味を忘れてたら、美術の大切な何かを見落としてしまうからです。超一流の名画の、精巧な複製よりも、二流の現物のほうが、はるかに素晴らしい。美術とは、そういう「モノ」であることを忘れていけません。」
と書いてあった。心の奥底から同感!!!

絵画の楽しみ方が広がった

そこで他に何があるかなぁなんて見渡していると、「睡蓮」をモチーフにした香水が売っていた。テスターもなくてどんな匂いかわからない。
けど美術館で絵が載っていないもの、視覚で楽しむもの以外を買ったことがないなぁと思って思い切って買ってみた。

早く匂いが嗅ぎたい!とパッケージを開けてワンプッシュ。とっっってもいい香りだった。今これを書いている瞬間は香水をつけていないのに、目を閉じて想像すると香りが漂ってくる。そのくらい印象的で癒される、かつ上品な香りだった。

香水をつけてみると、「睡蓮」を思い出す。いつも睡蓮をみると綺麗な色使いだなぁとか視覚的に楽しむことが多いけど、この香りを嗅ぐと、モネも庭で絵を描いていた時この匂いを感じていたのかなぁなどと想像が膨らむ。どんなお天気だったのかな。風が吹いていて花々が揺れたりしてたのかな。どこかで小鳥が鳴いていたりしたのかな。
視覚以外の方法で絵画を楽しむという新しい扉を見つけられた気がする。

絵のプリントという実物と同じ二次元のものは実物を超える経験をもたらすことは難しいけど、香水という全く違う形で実物を見た時の感動をさらに楽しむという経験ができた。

新たな発見!美術館に行くたびにこうして自分の世界が広がっていくのが本当に幸せ!!
また睡蓮に会いに行こう。


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