「世の中いろんな人がいる」を知るためのフェイストゥフェイス
世の中、色んな考えのひとがいるよねー。
って、そんなこと、当たり前にわかってるつもりだった。
色んなところで生まれ、色んな環境で育ち、色んな立場のひとがいて、色んな考えがある。
特に、インターネットやSNSなどでは色んな考え方や意見がぶんぶん飛び交う。それはもう、リアルな生活では聞けないような言葉・情報・人々の本音が、混ぜこぜになってものすごい速さで流れる。
私も、情報の濁流に流されないように、「自分」というものをしっかりもたなきゃと必死だ。
2年半にわたり、子育てや生活系のブログに記事を書いてきたし、Twitterやnoteでも、色んな方々とコミュニケーションをはかってきた。
だから、少なくともこれらの分野については、自分の中での価値観みたいなものはある程度固まってきたような気がしていた。
それと同時に、自分とはちがう、受け入れがたい何かしらの情報や意見をみかけた際は、自分の価値観と照らし合わせた上で、「自分とはちがう考えなんだな」と、当たり前に受け止める。
いや、受け止めるというか、いったん受け止めた上でスルーする…が正しい。特にそれについて、あえて否定したりしない。
コメントのやりとりなどで、ある程度個人的なつながりがあれば別だけど、ネット上で初めて会ったひとに、面と向かって「ちがいます!」という勇気は私にはない。
そんな、「自分の価値観と、誰かの意見の答え合わせ」にも慣れたものだと思い込んでいた。
あの日までは。
∞∞∞∞∞
つい先日のこと。
とある筋からお誘いを受けて、「はたらくパパママの集い」的なものに参加してきた。
このイベントに誘われた時点で、内心、3人目の育児だから、経験豊富なママ枠なんだろうな…なんて思っている自分がいた。1人目の職場復帰を控えるママさんに、何かアドバイス的なものができたら…などというおこがましい気持ちもあったと思う。
実は、人見知りで、緊張しぃで、緊張すると鼻汗が止まらなくなる。余談だけど、鼻の頭がよくぬれているから、職場では犬みたいと言われることもある。
でも、大丈夫。
いざとなったら、noteやブログに書いたことを話せばいいんだから。
私の価値観はしっかりしている。
そう自分を鼓舞し、手のひらに人人人と書いて呑み込んだ。
∞∞∞∞∞
このイベントに参加されたのは、私を含めてみんな育休中のお母さんで、1人目か2人目のお子さんが乳児…という方々。3人目の育休中なのは私だけだった。
誰も知り合いはいない。
すぐそばで子どもたちを保育していただきながら、ママたちだけで円座が組まれた。
司会進行の方が、色々な質問をして、そこから話を広げていくスタイル。
まず最初に質問されたのは、
「職場の雰囲気ってどうですか?育休や、時短、子どもの体調不良での突然のお迎えなど…快く受け入れてもらえそうですか?」
といったことで、これは何事もなくクリアできた。クリア…というか、実情を話しただけ。
次にでた質問が、
「保育園に預けるということについて、どう思いますか?いま、お子さんと離れる時間はありますか?」
実は、私は1人目の育休がもうすぐ明ける…という1ヶ月ほどの間、長男と離れるのがさみしくてさみしくて、育児と仕事と家事をやってけるのか不安で不安で、鬱々とした日々を過ごした過去がある。
当時は、職場復帰が憂鬱すぎて、逃げ出したかった。仕事が楽しいなんて思えなかった。
「自分ひとりの時間」を素直に楽しめるようになったのも、3人目が産まれたつい最近のこと。むろん、一時保育も経験がない。
何事も考え過ぎな私は、ずいぶん長いこと「母とはこうあるべき」にしばられ、「ひとりの時間をもつことへの罪悪感」に苛まれてきた。
私の答える順番は、3番目。
よし、あのときの気持ちを素直に話そう。きっと、みんなも同じように思ってるはずだから。
ところが、1番目にこたえた方は、
「仕事している時間って自分の時間なんですよね。子どもはかわいいけど、早く復帰したいです」
そして、2番目の方も、
「私も、そう思ってます。育休中でも、週に1度は一時保育に預けてます」
…なーにー!やっちまったな!
心の中で、くーるぽこ。
いや、やっちまったのは私の方で、この2名の方になんら落ち度はない。
え、え、みんな1人目でも一時保育とか利用してるんだ…そして自分の時間も確保して、リフレッシュして自己管理できてる!
この流れ、どうしよう…。
鼻汗がじんわりにじむ。
もしこれが、仮に意見を求められる場でなかったら、私は選択肢の中から「意見しない=黙る」を選ぶだろう。友だちと話しているときは、必要以上に空気を読んでしまう方だ。
でも、ここでは、がんばることに決めた。ここで意見を合わせても、なんの意味もない。ネットでみかけたTweetじゃないし、スルーもできない。
「あの、ひとそれぞれだと思うんですけど…」
という前置きのもと、1人目〜2人目の子育てでは自分ひとりの時間をもつことに罪悪感があったこと、最近になって1人でリフレッシュする時間が大切だってわかったこと、育休があけるのが憂鬱でたまらなかったこと…正直に、素直に、話した。
罪悪感…と、ぽろりと口から出てしまってから、はっとした。
それは、先のお2人の方の行動を「罪」といってるようなもんだ。もちろん語彙がないだけで、そうやって責めたかったわけじゃない。
心の中で、
(あわわわ…ごめんなさい。むしろ、ひとりの時間作って自己管理できて、すごいと思ってます!)
なんてひとり弁解しながらも、伝えたいことを伝え切った。
ふだん、誰かと真っ向反対なことを言うってしないから、すごく消耗した…。
思い込みかもしれないけど、場の気温が3℃くらい下がった気がした。
でも、これがリアルだ。
SNSで、字面でみてるやつじゃない。
ヤマシタマサトシさんもおっしゃってたけど、思うに私は、SNSでの「共感シャワー」を浴びすぎて、麻痺していたのかもしれない。
職場では、会議などで意見が対立することもあったけど、仕事は仕事で割り切ってるところもある。
育休中のいま、こういうのが久しぶりすぎて、脳みその中心にガツンと響いた。
この日は結局、3人目育児の威厳(?)、肝っ玉母さん的な貫禄(?)なんて、ちっとも示せず、いや、示す必要ないんだけど、むしろみなさんの自己管理術や、旦那さんとの家事分担、仕事に対する熱い気持ちなど…むしろ私が学ばせてもらう場になったのだった。
∞∞∞∞∞
ここで言いたいのは、「自分とは違う意見でも、臆せずに伝えるべきだ」ということではない。
そうじゃなくて、SNSやネット上の字面だけでは「色んなひとがいて、色んな意見がある」ということを表面上では理解できても、本当の意味では深く知ることはできないんじゃないかなということ。
やっぱり実際にひとと会って話すと、雰囲気やしゃべり方、間の取り方ひとつひとつに個性があり、同じことを話したとしても、伝わり方は千差万別だと思う。
もちろん書いた文章からだって、その人の個性や雰囲気はじんわり滲み出る。私もそんな個性を読み取るのが大好きだ。
だけど、noteやSNSだけで、そのヒトトナリをわかったつもりになっちゃいけないなと思う。
だから私は、どんなにネットが発達した社会であっても、やっぱりどうしても会いたいひとには、直接会って話したい。
フェイストゥフェイスがしたい。
先日、noteで仲良くしていただいているマリナ油森さんとニアミスし、思いがけず徒歩圏内にお住まいなのを知って、とてもうれしかった。
同じnoteという場で、文章を書くことが好きという点と、同世代の子どもを子育て中という共通点はあるけれど、私とは全然ちがう人生を歩んできたマリナさんのお話をじっくり聞いてみたい!
迷わず、「今度お茶でも!」と軽いナンパみたいなDMを送ってしまった…。
さらに、これを機にフォローしていただいた、あきらとさんも、こんなnoteを書いている。
あきらとさんがおっしゃるとおり、SNSと現実の境目は、思ったよりも曖昧になってきている。
ちょっと前の私は、インターネットでの出会いに怖いイメージがどうしても先行し、リアルで会うなんて考えもしなかった。
本当にトラブルに巻き込まれる可能性もあるから、もちろん最大限の注意が必要だとは思うけれど。
会いたいひとには会ってみる、会いにいく。
というのは、自分の世界を広げ、新しい視野を開拓し、人生をより豊かにするために必要なことにちがいない。
もちろんそれがすべてではないし、距離的な問題や様々な事情で会いたくても会えないことも多々ある。
幼い3人息子を抱える今、私もまったくの自由の身ではないから、なるべく…できたら…!というスタンスになってしまうけれど。
なんでもインターネットで情報を手に入れられる今だからこそ、もう一度、
「直接ひとと会い、話を聞く、会話する」
というアナログなイベントに立ち返ってみたい。
そんなことを思う、夏。
〈おわり〉
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