「バレエボーイズ」夢をもつということ

セルゲイ・ポルーニンの「DANCER」の次はバレエ繋がりで「バレエボーイズ」
以前からUPLINKのCMで予告を見かけていて、時間があったら観てもいいかなと思っていた。
 ポルーニンみたいにドラマティックな大スターではなく、プロを目指す3人の少年の4年間を追った作品だ。なかなか胸キュンな映画でもあるけど、ちょっと考えてしまったこともある。

 ノルウェーのバレエスクールに通うルーカス(バレエが大好きでプロを夢見ている。努力家)、シーヴェルト(アジア系。勉強が苦手。ダンサーを目指したいと思っているが気持ちは揺れる。)トルゲール(スポーツ万能。バレエだけを目指すのか決めかねている。)この3人はとても仲がよく、共にバレエに打ち込む時間、更衣室での親密な時間は少年時代のきらめきを放っていて素敵だった。まだ進路が決まっていなくて、友達同士でわいわいやっている幸せな年ごろだね。いつまでもこのままでいられれば・・・と思ってしまう。

 しかしその時はやってきた。卒業後の進路を決めなければいけないのだ。

 最初は国立のバレエ学校に3人揃って合格したが、ルーカスだけイギリスのロイヤルバレエ学校から選考会に招待されたのだ。一般受験ではなくて最終選考会への招待だから、どこかでスカウトの目に留まることがあったらしい。確かにルーカスの踊りは四肢の動きがしなやかで大きかった。身長が高く筋力があるというのも有利だし、ルックスがとても可愛らしい。

 ルーカスはロイヤルバレエ学校に合格し、親元を離れ、親友と別れて留学することとなる。才能ある子が一流を目指すには、こういう犠牲は仕方ないのだね。ポルーニンのことも思い出した。ルーカスの家も取り立てて裕福という訳ではなかったから、学費を捻出するのは並大抵ではなかったみたいだ。

 さて、留学が決まったときに親友のシーヴェルトが言った言葉が妙に記憶に残る。
「ロイヤルバレエ学校は伝統に忠実で、みんなクローンみたいなんだ。ルーカスもそのクローンの一人になったんだ。」
「一流になれなくても、ぼくはここにいる。」
 シーヴェルトのセリフは何故か思い出せる。主役はどうやら可愛いルーカスみたいだけど。
「自分がノルウェー人だったら・・。そうでなくとも白人だったらな。」・・・とかね。

 自然に出てくる彼の言葉にハッとすることが結構あった。

 ラストは青年ぽくなったルーカスの姿と・・
「誰にでも夢がある。だから努力するんだ。」のセリフ。これには素直に「そうだね」と言えない自分があった。

 はたして夢をもつことは誰にとっても平等なのだろうか・・・。

 多分わたしは素直にこの映画を鑑賞していなかったな。今思いつくまま綴っていて気が付いた。「感動した。素晴らしかった!」という気分ではないもの。
少年たちも少女たちもとっても可愛らしくて、ノルウェーの空気感が感じられる映像も素敵だったけれどね。
 ああ・・まとまらないけど。ちょっと考えさせられた映画かも。

 蛇足なんだけど、ルーカスはロイヤルバレエ団の研究生になり、シーヴェルトもローザンヌバレエコンクールのファイナリストになるくらいの力をつけているらしい。ただ、トルゲールはノルウェー軍に入隊したそうだ。