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Music:梅雨に欲する音

※2020.05.20 記

湿度の上がる梅雨は、やたらと密度・濃度の高い音を聴きたくなります。

昔からこの時期 手に取るのは、全てがアートと化するミュージシャン「Bjork」。
彼女の音楽が本当にしっくりしっくり沁み込んで良い季節なのです。

ビョークといえば、忘れもしない高校2年。
当時私に洋楽の影響を与えてくれた友人の1人、つるむグループは違えどなぜかマンツーだと話の合うアウトロー感漂う彼女と、校則の厳しい女子高に通っていたにも関わらず、歌舞伎町ど真ん中の映画館へ制服のまま「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を見に行った。

当時「オルタナ万歳」とか言いながら、そのあたりのロックにはまっていた私たちは、言わずもがなビョークの波も受けていて、とはいえこのあたりを語れる友人はお互いしかおらず(苦笑)というか、毎度好きなアルバムを1曲ずつ独自レビュー書いて音源交換していたっていう、奇特かつ貴重な友人。
そんな彼女と共に「噂の映画を見に行こうぜ」的な感じで、出向きました歌舞伎町。今思えば、繁華街には抜き打ちで学校の先生が見回り出てたはずなのに、よく捕まらなかったな。。

映画は予想以上に混んでいて、当日券で入ったためお互い別々の席で見ることに。
そして、予想の斜め上をゆく衝撃的な重たさに、見終わったあと合流した私たちは「…なんの救いも…ない!」とつぶやいたまま無言で歌舞伎町から新宿駅までの道を歩いて帰った、といういつまでも忘れられない思い出があります。
これ以降フルで見直してはいない作品ですが、ストーリーよりもうっすらと影を落とす映像の美しさや、セルマ(ビョーク)が歌って踊るシーンなどはとても印象的で、今でも色濃く記憶に残っています。

ちなみに、当時一緒に映画を観た友人とは卒業後全く会っていなかっただけど、2年前に15年以上ぶりに再会し、やはりこのエピソードがお互い1番の思い出で大笑いしました。
年月が経って、お互い生きている世界も全然違ったけど、互いの間に漂う空気感は当時のままで嬉しかった。

10代半ばで影響を受けたアーティストが今もなお活動していて、アートを生み出し続けている。Bjorkはその1人。未だに彼女が生み出すものに衝撃を受けるし刺激を受ける。その事実が嬉しくて、久々にフルで聞くアルバムの音に浸る梅雨。

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