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人間失格/ 太宰治

太宰治とか難しそうだなと思って今まで手を出してなかった。なんで急に読みたくなったのかわからない。

「人間に対して、いつも恐怖に震いおののき、また、人間としての自分の言動に、みじんも自信を持てず、そうして自分ひとりの懊悩は胸の中の小箱に秘め、その憂鬱、ナアヴァネスを、ひたかくしに隠して、ひたすら無邪気の楽天性を装い、自分はお道化たお変人として、次第に完成されて行きました。」

これわかる。葉蔵ほど大袈裟ではないけど、私は相手によって無邪気の度合い?を変えている気がする。あえてバカぶったり?本当はそんなことしたくないけど。


「美しいと感じたものを、そのまま美しく表現しようと努力する甘さ、おろかしさ。」
愚かなんだ。遠回りな表現の方がいいんだ。

「飲み残した一杯のアブサン」

「ああ、人間は、お互い何も相手を分からない、まるっきり間違って見ていながら、無二の親友のつもりでいて、一生、それに気付かず、相手が死ねば、泣いて弔詞なんかを読んでいるのではないでしょうか。」

そうだよねー。分かったつもりでいても、本当は何もわかっていないんだよね。価値観って変わるし。

「自分は、犬よりも猫よりも劣等な動物なのだ。蟾蜍。のそのそ動いているだけだ。」
この前のギイ・シャルル・クロオの詩句、自分にも刺さりました。毎日同じことばかり繰り返して、何してるんだろう。

「無垢の信頼心は、罪なりや。」
信頼って積み重なるものだけど、崩れるのは一瞬。信頼ほど尊いものはないよね。無垢の信頼はどうやって手に入れたんだろう?それは本物?


葉蔵は父親を「怖しい神」として教えを守らなかったが、墜落していた期間のことを長い手紙に書き、許しを請おうとした。しかし返事はなく、ひたすら墜落していく・・・
信じるものがなければ、人間は墜落してしまうのか。

自分は何を信じて生きていけばいいのだろうか?

難しいんだけど、それよりも面白すぎてどんどん読み入っちゃった。恥の多い人生かもしれないけど、自分の選択には常に自信をもってたいよね。

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