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フランスと日本 2拠点生活から思う 遠距離母業について


フランスに着いて早一週間の時が流れました。
時差ボケもやっと治り、私が毎日やってることはただただ「整える」こと。
「住環境」も然り、「食」も然り、「カラダ」も然り。

今日は日本とフランス2拠点生活で、家族と離れたり合流したりする暮らしの中で感じることを書いてみようと思います。

今私は一年の半分以上を家族から離れて暮らしているからこそ、家族に合流した時、家族というものを俯瞰できる気がしています。
「え?お子さん14歳なのに。もうそんなに母親と離れて大丈夫なの?」などと言われることも少なくありませんが、私は個人的に一緒に暮らしてることだけが、子を育てる方法だとは思っていません。

2か月ほど前、私がまだ日本にいる頃に家族はLyon市内で引っ越しをして、家もまだ完全に片付いておらず・・・
私はそんな家族の元に今回戻ってきました。
彼らとどっぷり一緒に暮らしているわけではないからこそ、
「あ、この部分がもう少し片付いていてオーガナイズされてると、彼らの生活がしやすくなるな」
「家にこういうツールがあると、スムーズに行きそう」
等々、全容が見えます。
彼らは大忙しで、怒涛のような毎日を送っているので、そのあたりのことが見えにくいし、見えたとしても問題解決のために割く時間がありません。私には今そのための時間があり、また私がいなくなる時のことを見据えて、彼らの生活を整えていきます。

物質的なことだけではありません。私が一人でいる間に、貪欲なまでに追及している学び、食のこと、カラダのこと、エネルギーのこと、社会のこと、精神のこと・・・総動員で家族に還元します(笑)。

そこでわかったことは、まず家族の中に一人、会社や学校などフルタイムの活動に属してない、家庭(衣食住)を整えることを目的として存在している人がいると、生活環境が劇的に上がるということ。
それは従来、専業主婦的な存在なんだろうけど、専業主婦は完全にその家族に属してしまっていて、家庭(自分の仕事自体)をメタに認識することがなかなか難しいし、ずっとその仕事だけをしているのでモティベーションが上がらないという側面もあります。じゃあヘルパーさん的な存在でいいかと言えば、彼らはものを動かしたり、購入したりという決定権を持っておらず、問題解決ができない・・・

そう考えると、母親という存在が一定期間家庭を離れたり、戻って来たりするということは、なかなか面白い結果を生み出すのではないかと思うのです。
いや、母親でなくて外部の人もいいかもしれません。でも母親だと、愛をベースに動きますね。
今の私の役割は家族という単位をよりよく機能させるプロデューサーのような感じです。

娘の作品に背筋が伸びた

もう一つ強く感じているのは、離れている間に起こる子供達の成長が著しく、感動を覚えるほどであること。子供にはどんな状況であっても、自ら成長していく能力が備わっている事。
当然のごとく、私の二人の娘たちは母親不在の家庭の中で、炊事洗濯その他諸々、必要に迫られてなんでもできるようになっています。自分で作る弁当も、パスタだけとか(笑)栄養のことはあまり深く言いませんが、ちゃんと作れます。石垣島という電車さえないところで育った娘たちが、毎日電車に乗って学校へ行き、フランス語を話し、さらに自分の可能性を探している・・・
彼女たちは二人ともアーティストで、一人は絵画、もう一人は書画をやっています。住み慣れた日本を離れて、父方のフランスという芸術をとても大切にする国に旅立ち、苦労はあるけれど、居場所と希望を見つけて、力強く生きています。石垣島にそのままいたら、出会うことのできなかった自分の中の才能。もちろん、今の娘たちがあるのは夫の努力と存在が不可欠なので、改めて大きな感謝を感じています。


淡く美しいタッチ

子育ては壮大な人材プロデュース事業ですね。
コロナという想像もしなかったパンデミックによって、私たち家族は離散家族になりましたが、子供たちを中心に夫も私もできる限りのやるべきことをやっています。彼女たちの作り出す作品達とその成長を見るとき、私たちの選択はこれでいいなと心から感じます。

日本人とかフランス人とか、人種を超えたところで「人間」ってなんなのか?
彼女たちが心豊かにありのままで存在できる時、世界はまた少し豊かになるのではないか?

そんなことを思いながら、私は母として、また一人の人間として、日本とフランスを行き来し、家族とくっついたり離れたりして、私の人生を生きています。

子供のために大きな自己犠牲を払いがちな「母」という存在。
子供のためだけに生きるのではなく、同時に自身の幸福追求のために生きること、そしてこのバランスが自他両者の幸福につながっているのだということが、この特殊な遠距離母業にて理解できた気がします。
母であるがゆえに自分の幸せをためらっていらっしゃる方が少なからずいるのだとすれば、とても個人的な体験、見解ではありますが、一助となればと思いシェアさせていただきます。


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