別れて3年目のエピローグ
今年は愛する人と別れて3年、付き合い始めてちょうど10年になる。
今年の秋は、いいことがある。
と、晩夏にそう予感したわたしは、9月3日の朝方、明け方の空を見てすぐに彼に電話をかけた。
通話拒否設定もされていないからいつでもかけられたはずの彼の携帯電話に3年間電話をしなかったのは、彼からの綺麗な別れを尊重したかったからだ。
白日という曲だけを残し彼は無言で消えていった。
悲痛な叫びのような曲、彼に何があったんだろう。
「真っ白に全てさよなら」連絡しちゃいけないな。
だけど、その日は迷わずかけた。
そして、3回コールを鳴らして切った。
話す気はなかった。ここにいるよと伝えたかった。
ところが、想定しないことが起こった。
彼が電話をかけ直してきたのだ。
わたしは咄嗟のことに電話に出る気になれなくて、電話はしばらくして切れた。
わたしはその着信履歴をスクリーンショットに残して、大切な記念にと保存した。
「でも、本当にそれで終わっていいのかな?」
どこからか声が聞こえたような気がした。
一体何故、別れたのにかけ直してきたのか?
わたしはここで終わらせるのは違うと思った。
少し考えた末に、
「今でも繋がりたいと思っています。」
とメッセージで送った。
「わたしはもう何も迷いません。
人生は余りにも短いからです。
受け身のままではいられない。」
とメッセージを続けた。
たぶん、返事は返ってこないような気がする。
送らなきゃ良かったのかなと思ったりもする。
だけど、わたしはようやく別れた後の自分の本心をきちんと伝えることが出来たのだ。
別れてからもずっと愛しているということを。
他にはもう何も出来ることがないところまでやったじゃん、もう自分を褒めてあげよう。
あとはもう彼の気持ち次第だし、わたしがここまでしてしまえば、もし今年が終わる頃までに何もなければこの愛の炎も消えるかも知れないなとも思う。
悲しいけれど、それは、そういうことなんだから。
だけど。
今年の秋は、いいことがある。
期待してもいいのかな、と、秋の空を見ていた。
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