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「体験格差」って言葉にモヤっとします。
ちょっと前に話題になった言葉、「体験格差」ってご存知ですか?
収入が高いおうちの子は旅行の機会が多かったり、習い事などの「体験」にたくさんお金をかけられる。収入によって子供ができる体験に格差があるよ、ということなんですよね。
私はこの言葉を聞くとモヤっとします。
体験すること自体は、私もすご~く大事だと思ってます。でも、世で言う「体験格差」の流れには、そういうことでもないんじゃないかな?って正直思うんですよね。
わたし自身は幸運なことに、親がいろいろ体験させてくれた方だと思います。夏はキャンプ、冬はスキー、長い休みは海外旅行と、田舎の子にしては珍しい家庭でした。
でも、心は全然満たされなかったんですよね。
うちは両親が共働きで、父は私が6歳の時から単身赴任。一緒に暮らしたのは小学校に上がるまでの短い期間でした。母は仕事をしながら子供3人を育て、施設に入っている祖母の面倒を見ていました。
リビングに座った姿なんて見たことないんじゃない?ってくらい母は忙しくしてました。成長してからあの頃のことを思い返すと「なんでもっと母の手伝いをしなかったんだろう」と心がチクチク痛みます。
自宅兼仕事場なので母は家にはいるのですが、お店のある1階で夜遅くまで仕事をするため朝起きられないんです。なので私も遅刻、朝ごはん抜き、髪の毛はボサボサのまま学校に行くのはしょっちゅうでした。当時の私は「だらしない子」そんな印象だったんじゃないかな。そんなこんなで大人がいない家庭で子供3人で育ったようなものでした。
父は家にいつもいないこともあり、長い休みの家族旅行はいつも張り切ってどこかに連れて行ってくれました。私は東北出身なんですが、東北一周ドライブ旅行なんて本当に見応えがありました。
いろんな体験をさせてくれた両親には、とても感謝しています。
感謝してるんですけどね…
本当は、家族でご飯を食べるとか、みんなで一緒にテレビを見るとか、なんでもない毎日を一緒に共有することの方が、きっと私にとっては嬉しかったんだろうなと今になって思うんですよね。
それに旅行や体験はもちろん楽しいんですけど、私が幼くて覚えていないことも多く「なに?あんなにしてやったのに覚えてないのか!?」と父に目を丸くされることも、地味に傷つきました。
正直、遠出の休暇より安心できる日常が欲しかったな…
これが私の本音だったりします。
私にとっては価値ある体験って、お金をかけて遠くに行くことじゃなくて毎日の生活の中で体験と感情を家族と共有することなんですよね。
あったかいお風呂に入って「気持ちいいね」と笑い合ったり、近場に家族で自転車で出かけたり、そういうなんでもないような小さな体験の共有こそが、心を満たしてくれると思うんです。
もっといろんな体験を、と思えばお金も時間も際限なくかけられるでしょう。
でも、毎日5分だけでも家族で一緒に笑いあうことができたら、
それはとても、本当の意味で豊かなことじゃないかなと思うんです。
私は、そういう体験を積み重ねていきたい。
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