【番外編】スペースキーの歴史について語ってみます--理系各員に捧ぐ
理系各員に捧ぐ、番外編。このシリーズは、人生を懸命に生きる理系各員に捧ぐ、講義では教えられないトピックに触れていく目的でお送りします。番外編は、僕自身がちょっと面白いなと感じた日常の出来事、考え方を書いていきます。
最近僕は、オンラインで基礎的なパソコンスキルを教える講座を行っています。ここ数年の学士1年生の世代というのは、いわゆるデジタルネイティブ世代ではあるものの、パソコンを使っている人ばかりでないなというのが現実です。
それどころか、パソコンレベルが高齢者より低いといった現実も多々あります。
そんな彼ら彼女らに、パソコンに慣れ親しんでもらいつつ、パソコン使おうと思えるだけの最低限の知識と、心構えを持ってもらうのを、この講座の目的にしています。
そういった講座なので、パソコンの電源の消し方付け方から、Tabやshiftなどをメインにしたキーボードの話など、非常に基礎の内容に触れていきます。
僕はまる覚えが苦手な人間なので、大体の物事に理由をつけます。
スペースキーの説明です。まず、「スペースキーはどこにある?」と尋ねました。みんなさすがに、「キーボード中央の下の方」と即答してくれます。
じゃあ、「スペースキーの機能は何?」と聞くと、少し止まってしまいます。「空白を入れる...?」と不安げに答えてくれました。もちろん正解です。
ここで僕は、もうひとつの機能「変換」についての説明に困りました。「空白」の機能はスペースキーのその名前を日本語に変換することで、みんな納得してくれます。
「変換」の説明をするにあたって、僕は頭をグルグルと回しました。まず、パソコンの生まれに思考を巡らせます。
パソコンが生まれたのは、おそらく日本ではないでしょう。日本で生まれたなら、プログラミング言語は日本語で高性能なものがあるはずです。そもそも、キーボードは鍵盤、エンターキーは確定など、別の名前で呼ばれているはずです。
となれば、やはりパソコンは英語圏で生まれたと考えるのが妥当そうです。英語は、単語ごとに半角スペースを入れるので、スペースキーの使用頻度は非常に多いでしょう。この面積と位置も納得です。
「変換」機能を考えていたら、スペースキーの本来の工学的デザイン意図が見えてきました。キーボードは言葉を入力するためのものなので、言語に合わせてデザインされているのは確かに当然です。
ここまできたら、いろいろ合点がいきました。日本語を扱う上で、非常に頻繁に使う、英語のスペースキーと同じような立ち位置の行為、それが「変換」だったのです。
日本語は、かな、カタカナ、漢字と最近ではアルファベットも含めた様々な系列の文字を組み合わせて使います。単語ごとにスペース入れない代わりに、文章の至る所に変換が潜んでいます。
すっきりしました。しっかり調べてはいませんが、これはスペースキーの歴史として十分信じるに値します。
もちろん、受講生には、「こういうふうに考えておけばいいよ、僕が考えただけやけどね(笑)」といったテンションで話しましたが、納得してくれたようです。
どうだっていいように見えることでも、説明してみようとするだけで、見える世界は変わるみたいです。これは、他の場面にも流用できそうです。
世の中で不満を感じることがあったら、それが起こった原因、理由を説明しようとしてみます。すると、その不満がそうならざるを得なかった理由が見えてきて、不満だった自分の心がすっきりするかもしれません。
そう一歩進める人は、その不満を解決する手段まで考えてみるといいでしょう。物によってはビジネスのためになるはずです。
雑駁な話になってしまいましたが、番外編ということでこんなもんにしておきます。また次回も、よろしくお願いします。
※トップフォトは、ぱくたそさまを利用しています。
ぱくたそ(www.pakutaso.com)
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