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アガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』

この前の『春にして君を離れ』がとっても面白かったので、クリスティーの代表作『そして誰もいなくなった』を読んだ。

実は読んだこともなければ、あらすじすら知らず、題名は聞いたことあるかな?のレベルだった。

これが読んでみると、ものすごく引き込まれて面白い。正真正銘のエンターテイメントな作品で、時代をまったく感じさせない。出版されたのが1939年というので本当に驚く。

あらすじ:孤島の屋敷に集められた10人は招待した人物が現れず、不審に思っていた。突然屋敷に声が響き、全員の過去に起こした罪に問われない罪を暴き出す。その罪を断罪するかのように、童謡「十人の兵隊さん」に沿って一人、また一人と殺されていく。誰がなんのためにこんなことをしているのか?犯人は誰なのか?

(関係ないけど、あらすじ書くのうまくなりたいな~。)

以下ネタバレ


読んでる間中、ずっと頭の中で映像が流れてて、映画を見ているみたいだった。この前読んだ『春にして君を離れ』でも映像化してた。理解しやすい文、かつテンポもいいからなんだと思う。

夜寝る前に読んでいたら、いきなりマーストンが死んだのでびっくりした。まだ始まったばっかりなのにもう死ぬの?!というのと、若者がいきなり何の前触れもなく死ぬので恐怖すら感じた。びびりなもので。作中でもきらきらした死とかけ離れた若者が今はピクリとも動かず命を失ってしまった、といったような文があった。これにドキッとしてしまった。頭の中の映像で彼の死んでいる顔が流れると、死の恐怖をまざまざと感じてしまった。

マーストンが死んだときは自殺だと思われていたので、ヴェラは死にたいと思うなんて想像できない、と思っている描写がある。これが最後に効いてくるなんて想像できませんでした。これも伏線なのね。

最後の最後まで誰が犯人か推理して読んでいたが、怪しげだったロジャーズは結構すぐ死ぬし、ウォーグレイブも死ぬし(死んでなかったけど)、もう11人目がいるんじゃないかとずっと予想してたんだけど、作者はやっぱり一枚上手だった。

でも、最初にウォーグレイブがもらった手紙を読んで、誰だこれ?ってなってたけど、それはいいのかしら?そこだけ納得がいかない。だって自分で書いた手紙なら誰とはならないはずなのに。ミステリーってこういうものなの?これじゃあ読んでる人は謎解きできないよね。この部分を無視しないと。

まあ、こんな文句言ってても総じて面白かったです。またアガサ・クリスティーを借りに行ってきます!


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