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響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話

スピンオフの立華高校を挟んで、戻って来ました。
最終楽章(前後編)は温存するにしても、まだ3巻の短編集が残っていて、其内の1番新しい巻ですね。
スピンオフも含め、通しで10巻目に当たります。
相変わらずの、入手困難なのですよ。

今作には、13篇の短編作品が収められています。
長短様々でありますが、昨夏公開の『アンサンブルコンテスト』の原作も含まれていて、アニメ化された原作履修も一応コンプリートですかね。
(一応他の短編エピソードがアニメに組み込まれている可能性もありますが現状判断が出来ません)


響け!ユーフォニアム
北宇治高校吹奏楽部の
ホントの話


01 飛び立つ君の背を見上げる (Fine)

[9頁]

フィーネは映像作品等でもお馴染みかと思われますが、この場合は音楽記号(反復)の"終わり"ですかね。
同じタイトルの最新刊(スピンオフ)同様、黄前(おうまえ)久美子の1年先輩となる、吉川優子・中川夏紀・鎧塚みぞれ・傘木希美(南中カルテット)の、希美視点のお話ですね。
卒業式朝の、登校風景が描かれています。
他愛無くもあり、感慨深くもあります。
優子と夏紀は相変わらずですが、リズの2人(のぞみぞ)は、どうなんでしょうかね。

02 勉学は学生の義務ですから

[13頁]

久美子・高坂麗奈・川島緑輝(さふぁいあ)・加藤葉月(北宇治カルテット)の4人が、緑の家で勉強会をすると言う、キャッキャウフフな日常系であります。
部活の話もしますが、高校生活は勉強だけでもありません。
皆其々に成長していますが、麗奈の変化が1番かも知れませんね。

03 だけど、あのとき

[13頁]

久美子の2年先輩となる、中世古香織が田中あすかへ卒業式を前に書いた手紙と、2人の想い出話です。
キャオリセンパイマジエンジェル!
2人の関係性は、まぁそう言う事かと思われますが、香織が過干渉せず根っ子の部分で手綱を握っているイメージでしたが、何か違うみたいです。
あすか先輩は、やっぱり掴み所が無いですが、少なくとも心を開いている事だけは間違い無さそうです。

04 そして、あのとき

[12頁]

受験専念で、高校最後のコンクールを目前にして、吹奏楽部を退部した斎藤葵の、大学入学直後のエピソードです。
前の作品タイトルと、対になる様なタイトルの繋がりが、何とも良かったです。
秀大附属吹部出身の伊藤杏子との出会いや、小笠原晴香との再会等、やっぱり吹奏楽との縁は切れていなかったのでしょうね。

05 上質な休日の過ごし方

[6頁]

久石奏と剣崎梨々花のお話ですね。
奏は兎も角として、梨々花は少しタイプが違うイメージでしたが、基本は一緒なんですね。
梨々花の自宅で、お菓子作りとはらしいと言うか、そのまんまでありました。

06 友達の友達は他人

[12頁]

まさかの、柊木芹菜と緑輝ですね。
芹菜は、スピンオフ(立華)に登場人物で佐々木梓の友人…でいいのかな。
久美子や梓と同じ北中出身ですが、特に吹奏楽との関係も帰宅部です。
と言うか、緑達と同じクラスだったのか。
緑の吹奏楽オタクっぷりは相変わらずとして、2年生となった芹菜の僅かばかりであったとしても、変化が嬉しかったです。

07 未来を見つめて

[17頁]

晴香・あすか・香織の卒業旅行での一コマで、『だけど、あのとき』よりも後になります。
晴香から見ても、あすかと香織の関係性は不思議な様ですが、相変わらずと行ったところでしょうか。
まぁ、『波乱の第二楽章』で少しだけ、半年後位の描写もありますから、微笑ましいと言えば、微笑ましくもありました。
でたな、サンリッチオレンジ。

08 郷愁の夢

[9頁]

サンリッチオレンジだして、後がこれですか。
そうですか。
北宇治高校吹奏楽部のイケメン顧問こと、滝昇の音大の後輩である、新山聡美の大学時代のエピソードです。
切ないです。
でも、思い出は永遠なんですよね。

09 ツインテール推進計画

[7頁]

休日練習の昼休みの、他愛無いお話です。
後藤卓也・長瀬梨子"夫妻"も居るので、コンクール前でしょうかね。
さっちゃん(鈴木さつき)の無邪気さと、みっちゃん(鈴木美怜)の成長が何とも微笑ましかったです。

10 真昼のイルミネーション

[14]

希美と夏紀のお話です。
この2人の関係性も、不思議な感じもありますが、六華の梓と芹菜の経緯を思えば、夏紀の性格が依るところが大きいのでしょう。
クリスマスイブのひと時ですが、良い関係を築けているのは確かです。

11 木綿のハンカチ

[9頁]

卓也・梨子夫妻のエピソードです。
上京する卓也と、見送る梨子ですね。
高校卒業で遠距離恋愛とは、中々のハードルかと思われましたが、それでも大丈夫だろうなと、最後にひっくり返りながら確信しました。

12 アンサンブルコンテスト

[124頁]

昨夏に劇場公開された、最新アニメの原作となります。
個人的に印象的なシーンがあって、文章で改めて読んでみると、また少し違った感じもあって、より理解が深くなりました。

新生北宇治高校吹奏楽部として、久美子部長・塚本秀一副部長・麗奈ドラムメジャーの3人体制となり、新たな試みとしてアンサンブルコンテストに参加するお話です。
コンクール同様に、全国大会迄連なるものですが、1校1編成と言う条件がありますから、校内予選を兼ねた演奏会を開きます。
引退した優子・夏紀・希美(同じ大学に推薦合格)がサポートとして、特別参加(規約で大会出場不可)しておりますが、新体制の1、2年生は顧問が滝先生となってからの入部でありますから、次のコンクールに照準を合わせる意味でも、良い経験を積めた筈でしょうね。
釜屋つばめには、特に意味があったでしょう。
みぞれや麗奈の、成長を感じられて良いものでした。
久美子達に取って、最終学年へ向けての、良い予行演習になったのかもしれません。

13 飛び立つ君の背を見上げる
(D.C.)

[11頁]

ダ・カーポもまた、音楽記号(反復)で"最初に戻る"となります。
フィーネとセットでありますから、最初の物語とセットで、優子視点でその少し前のお話と、優子の手紙が綴られていますね。
お洒落な構成です。
みぞれの独特な感性は、結構芸術家肌の様に思えます。
なんやかんやで、優子・夏紀・希美・みぞれの、4人の絆は丁度良いバランスで、永く続いて行く様に思いました。

****

かなり頁数に幅のある短編集でしたが、登場人物が幅広く内容的にもバラエティに富んでいて、面白く楽しかったです。
こうしたサブストーリーの短編は、本編を押さえているからこそであるのは確かですが、背景がわからなくても、普遍的と言えばそうなので、ちゃんと楽しめるかと思います。


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