響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話
新作TVアニメシリーズ放送直前、漸く重版出来(おせーよ)で店頭に並んだ当日に、京都の大垣書店で購入していました。(帯代わりのダブルカバー仕様ですよ)
いざオンエアが始まると、不思議と原作履修熱も一段落してしまい、すこしづつ読み進めて、やっと読了と言うところでした。
勿論、本編5巻の他に短編とスピンオフを合せて9巻分を読んでいましたから、慌てる必要も無かったですし、そもそも読書の時間を取り難かった事もありました。
一応、黄前久美子3年生編は、TVシリーズ終了後迄温存予定ですが、1クールでは収まらないですよね?
少なくとも、放送が終わる迄は読みません。
温存するか否かは、迷っていたところもありましたが、先行上映会キャストトークで決めました。
今作は、久美子1年生編(1〜3巻)後に出た最初の短編集(4巻)であり、久美子達が入学前のお話も収録されています。
響け!ユーフォニアム
北宇治高校吹奏楽部の
ヒミツの話
01 北宇治高校吹奏楽部の日常
[15頁]
北宇治カルテット(黄前久美子、高坂麗奈、川島緑輝-さふぁいあ-、加藤葉月)と言うのは、原作は勿論アニメ本編にも出て来ない、アニメ化に際して誕生した音楽ユニットの名前ではありますが、麗奈だけがトランペットパートでありますから、後日仲良し4人組となる、彼女達を指す名称としてアニメファンには浸透しております。
全くの非公式ながらそこから派生した、南中カルテット(吉川優子、中川夏紀、鎧塚みぞれ、傘木希美)も、一部では自然発生的に使われていたりもします。
私自身も、ナチュラルに使って来ましたが、アニメ以前に原作にも出て来る事はありません。
お話は、恐らく4月から5月に掛けての、新生北宇治吹部の低音パート(チューバ、ユーフォニアム、コントラバス等)の日常風景ですね。
低音パートリーダーである、田中あすかのオタク振りであるとか、久美子、緑輝、葉月達の他愛も無い遣り取り等、まだまだのんびりとした、それでいて生まれ変わった活気も感じられて、好い雰囲気に溢れていました。
02 科学準備室の京子さん
[18頁]
緑輝が先輩から聞いた、ちょっと不思議な噂話から、久美子と葉月と共に真相を究明するお話です。
意外な真相と、若干のホラー風味も効いています。
03 あの子には才能がある
[13頁]
滝昇の顧問就任で、変わり始めた北宇治吹部を、大学受験に専念する為に去った、斎藤葵のお話です。
田中あすかとの出会いで、コンプレックスを抱く様になった葵ですが、他者との比較で優劣を計っているうちは、しんどい思いをする事は無くならないでしょうね。
勉強も音楽も、それなりに他人以上の結果を残して来ていても、それでも自信が持てないのかも知れませんが、それはやはり周囲を気にし過ぎているからでしょう。
自分自身がどうなりたいか、何をしたいかが大切だと思うのです。
04 少女漫画ごっこ
[12頁]
緑輝は、恋に恋する少女趣味な乙女ですね。
でも芯はしっかりとした、努力も厭わない努力家でもありまして、単に優先順位の問題で、必ずしもそう見えていないのは確かでしょう。
吹奏楽の強豪である、私立女子中から学外受験で、共学の北宇治高に入学した程なので。
そんな緑輝が発端で、あすかも加わって後藤夫妻(卓也、長瀬梨子)が辱めを受けたり、楽しそうな低音パートでありました。
05 好きな人の好きな人(前編)
[19頁]
葉月の恋の、お話ですね。
そして漏れなく、緑輝も。
まぁ、緑輝は恋に敏い事はありますが、それ以前に周囲に対して然りげ無く、気を配っているところもあるでしょう。
葉月は葉月で、体育会系でサッパリしている印象ですが、やっぱり恋となると同じテンションと言う訳にもいかないのでしょうね。
06 好きな人の好きな人(後編)
[20頁]
葉月の恋の行方は、と言ったところですが、勇気を持って行動に移せるのは流石です。
緑輝のアシストが、また何とも素敵なのです。
もう、お母さん…おかんか!
何れにしても、葉月は大雑把な様で、案外繊細なのでした。
07 犬と猿とおかん
[13頁]
北宇治吹部で、犬と猿と言ったら、優子と夏紀で異論は無い筈ですが、どちらが犬か猿かは意見が分かれるところかも知れません。
梨子が1年生の入部直後の、彼女達の思い出話です。
温かく見守る、お母さんですね。
08 背伸び
[14頁]
女子が多い吹部でありますが、貴重な男子部員のお話です。
良くも悪くもアホな話ですが、卓也と塚本秀一はやはりしっかりとしています。
一応は、歳相応であるのも確かなんですが、女子の方がしっかりしているとも言えます。
きっと高校時代は、そんな感じでも良いのです。
09 こんぷれっくす
[7頁]
緑輝と葉月のお話です。
なんだかんだで、馬が合う2人ですが、部活でも同じパートで、貴重な休日にも2人で出掛ける程の仲であります。
コンプレックスは誰にでもあるでしょうが、何でも話せる友達は簡単には見つかりません。
10 きみのいなくなった日
[8頁]
タイトルで誰のお話しなのか、わかるようになって来たかも知れません。
みぞれと優子の、彼女達が1年生だった頃の大事件の顛末であります。
北宇治での優子は、みぞれの1番の理解者であり、側に寄り添っていた人物であります。
希美は、残念ながら理解者にならなかったのは確かですが、歪な関係性の結果だったのも確かです。
みぞれの当時の内面が、少しだけ垣間見えました。
11 北宇治高校文化祭
[41頁]
久美子と秀一の仲が、一段と進展していました。
文化祭と言えば、高校時代のハイライトの一つでありますから、楽しそうな吹部の面々にも、良い思い出になったのでは無いかと思います。
学校生活の中で、どれだけ部活に時間を費やそうと、やはりそれだけではありません。
勿論、勉学第一ですけれど。
12 新三年生会議
[9頁]
優子部長、夏紀副部長の新体制発足でありました。
この2人は相変わらずなのですが、それを支えるのは同期全体と言うのも、例の事件の結果であります。
低音パートの卓也と梨子の2人が、静かに見守る姿は、音楽同様の大きな支えに違いありません。
13 お兄さんとお父さん
[8頁]
小学校3年生くらいの頃の、麗奈のお話です。
麗奈の恵まれた環境に対して、単なる妬みと理不尽で残酷な悪意をストレートにぶつけられる訳ですが、小学生でもありますから無自覚で容赦無いですし、少し切ないところもあります。
当の悪意を発した本人も、親に対する感謝の気持ちを持っていましたから。
恵まれているとは言っても、音楽を志しているからこそなので、その辺りを小学生が理解出来ないのは致し方無いとしても、大人でも平気でそう言った当たり前の事を理解出来ない、似非平等主義者が存在していますから、頭が痛くなります。
音楽のストレスは音楽で、と言う事で、そういう意味でも恵まれているのは事実です。
結局のところ、麗奈の初恋の話ですかね。
14 とある冬の日
[28頁]
久美子と秀一のお話です。
ナイスアシストの卓也に、ナイスアドバイスの梨子です。
後藤夫妻は、合奏でも音楽を下支えして、リアルであっても、性格的に前に出る訳では無いですが、視野が広くて存在感もありますね。
演奏楽器と性格との相関性は、大いにあるんでしょうかね。
最後の締めが、何とも好い雰囲気でありました。
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サイトで発表された作品の加筆訂正や、書き下ろしで構成された短編作品集でありますが、アニメ化初期の頃とあってプロットの様な作品もあって、楽しく読む事が出来ました。
そう言った感じで、アニメのエピソードとして視ていた作品もありましたし、バラエティにも富んでいました。
男子部員の話なんて、中々あるものではありません。
久美子1年生編の締め括りとしても、読み応えがしっかりとありました。
(了)