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「姉ちゃんも良いバッグ買いなよ」 / ハイブランドのバッグが欲しくなった話


大人っていつから大人なんだろう。
成人したら?
社会に出たら?
所帯を持ったら?
母になったら?

納得する答えが出ないまま29歳、いやもうほぼ30歳になった。


「ぶきや ぼうぐは かならず そうびしてください!」


「良い靴」「良い時計」「良い鞄」
○○歳になったら持ちたい…、なんてよく聞くフレーズ。
ただ、そう言ったフレーズは私の頭の上を通り過ぎていくのみ。

女子大出身なので、「良い何某」を20代そこらで持っている子は沢山居た。
特に私が在学していた英文学科はまさに「キラキラ女子大生」の巣窟で、SNS文化黎明期においてかくも華やかなりし、今日はベルサイユは大変な人ですこと…!
といった感じの様相。

その有様はまさに、身の丈に合わないフープスカートや天井に届かんばかりのヘッドピースや激盛りにセットされたヘアスタイルで身を固めた、18世紀フランス貴族の女性達を彷彿とさせる雰囲気で溢れていた。


まあ有り体に言えば、互いの装備でマウントを取り合っているような感じだった。
でもねえ、結局はただの女子大生。本当の自分の稼ぎではなく有名私大に通うボンボンの彼氏か、女子大生の強みを生かした夜のバイトか、そんな感じで得たもの。
Easy come, easy go. 
一生モノになるはずがないのだ。

そういうモノを持てる育ち、価値観、人間性に無いうちは持つべきでは無いな、と思っていた。眺めて綺麗だなと思えこそすれど、欲しい、とはまるで思わなかった。


謹賀新年、妹との買い物


今年の元旦、は思い切り寝正月を楽しんだ。
その翌日、一月二日。

「買い物付き合って」と妹から連絡があったので、某デパートへ。
仲が悪いわけでは無いのだが、基本的に用がなければ連絡をまるで取らない家族なので、連絡を受けたときはちょっと嬉しくなってしまった。

「うーすお疲れちゃーん」と相変わらず淡々とした様子の妹。
臨月まであと少し、といった時期だったので、しっかり「妊婦さん」シルエットになっている。前に出るタイプなのか、後ろから見るとそこまで変わらないのだが、振り向くと新幹線の0系よろしく、どーん!と立派に育っている。

聞けば、出産前に買っておきたいものがあるという。
ベビーグッズかと思い、ならば夫くんと共に行けば?と言ったのだが
「いや、これは女同士のがラク」
と言う。
え、何買うの?

「んじゃ行こっか〜」
と脇目も振らずのしのし進む。そこのけそこのけ、妊婦が通る。

到着したのはハイブランド大集合フロア。
ずんずん突き進む妹の金魚のフンになりつつ、辿り着いたのは

LOUIS VUITTON

あっという間もなくカウンターに辿り着き、
「すみません、アルマBBのエピ、ノワールとコクリコあります?」
と告げる妹。
まっしぐらに入店からの在庫確認。
「おっ大将!良いの入ってんね!じゃあカンパチ貰おうかな」
みたいなノリとスピード。

しかし流石はLV、男性スタッフはスマートに
「直ちに確認させて戴きます」
とiPadを駆使し在庫確認、ストックルームへと足早に消えていった。
と、思うや否や
「一点ずつございました!」
とにこやかに戻ってくる男性スタッフ。

最終的に、妹は
「歳取っても使えるよね」
と、ノワールに決めた。それもまた早かった。

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我が妹ながらセンスが良い。
(LOUIS VUITTON公式サイトより)



「自分で自分をプッシュすんのも良いじゃん」


しかしなんでわざわざ、ハイブランドのバッグを、
それも子連れではなかなか使わなさそうなミニバッグを、今のタイミングで買ったのか?

「なんか、セレブやハイソサエティな人々の間でプッシュギフト?って文化があるんだって」

ほうほう。

2007年ニューヨークタイムズ(The New York Times)によると、
38%の初産を迎えた女性がプレゼントを受け取ったとのデータもあり、
海外、特に欧米では最近浸透してきているらしい。


「でね、この『買ってもらう』のってなんか私、シャクに触るのね。だから、自分で稼いだお金で、自分をプッシュしようと思って。産休前のボーナスブッ込むって決めてたの。これから出産も育児も大変に違いないけど、私には素敵なバッグがある!って思ったらなんか良いじゃん?」


おお、なんて、
しびれる事を言うのだろう。

なんかちょっと泣きそうにすらなった。

自分で、自分をプッシュする。

すごく素敵な考え方だ。
妹とか全く関係なく、素直に感銘を受けた。

良いモノ、素敵なモノからパワーを得る。
他の誰からでもなく、自分で自分に贈ったモノから。


カッコいい生き方じゃないか。
良いモノに見合う人間になるのではなく、良いモノに押し上げてもらう。

LVのインペリアル・サフランカラーに彩られたショッパーを持つ、もうすぐ母になる妹。シスコン根性抜きに、その横顔はマジでカッコ良かった。


姉、やっと欲しいバッグが見つかる


そして、甥っ子が生まれ、私はもう間も無く三十路ライフにログイン。

如何せんハイブランドに目を向けてこなかったので何が何やらである。
服は好きだが、ハイブランド、ラグジュアリーメゾンの類に縁など無し、とハナから目も向けていなかった。
要はそういった情報を受信する必要が無かったので、アンテナすら無かったのだ。
突貫工事でアンテナを建てた。

その甲斐あって、やっと欲しいバッグが見つかった。


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Maison Margiela / 5AC mini bag
(Maison Margiela公式サイトより)

個性的なのに、ミニマル。
中のライナー部分を収納すると、途端にクラシカルな形になる。

この二面性がたまらん!

底のスタッズも違う形が並んでいたり、なんというか押し付けがましくない個性が活きていて、とてもズギュン!と来てしまった。


だがしかしまだ「自分をプッシュ」するタイミングでは無い。

ここぞの大一番が控える時、きっと私はこのバッグを手にするはずだ。

いや、手にして街を闊歩している!

その日その時を入念にイメージトレーニングしつつ、私は今日も明日も、私のために生きる。






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ゆとり世代の趣味人間文系OL。余暇のために生きている。アパレル販売職にて5年勤めた後、車載機器メーカー業営業事務へ転職。受動的な毎日を変えるべく、note始めてみました。人生はジユーダム!
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