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聴講リポート 「当たり前を疑う力」 村上臣さん×福島良典さん対談

LinkedIn News編集部LIVE!として9月25日に開催された、LinkedIn日本代表の村上臣さんと、LayerX のCEO福島良典さんの対談から、自主リポートとして書き残してみます。

LayerXの福島良典さんのご経歴は以下です。
東京大学大学院在学中に「グノシー」のサービスを開発
2012年11月にGunosyを創業、後にCEOに就任
2015年4月に東証マザーズ上場
2018年8月にGunosy代表を退任、ブロックチェーン関連事業を担う「LayerX」の代表に就任

今も、シリアル・アントレプレナー(連続起業家)として再び新しい挑戦を始める福島さんには、
絶えず常識を疑い、新しい挑戦をし続けるマインドセットがあるそうです。
今回のテーマとされた、「当たり前を疑う力」は、全ての人が今後備え、鍛えていくべき力だとLive視聴を通じて実感しました。その理由とポイントを、簡単にまとめてみます。

●日本が「怪しい」「おもちゃ」と思って来たもの

福島さんは元々、技術分野に強い興味をお持ちだったそうで、2018年に日本でブロックチェーンが話題になり始めた時期にも、いち早くその技術に関心を持たれたそうです。
日本では、「どこか怪しいもの」と認識されていたそのブロックチェーンに関する技術も、その当時、欧州や中国では先進的に多くの分野に採用や、数兆円単位での活用が行われ、経済のエコシステムとして機能し始めていったそうです。
その当時、日本ではどうであったか・・・。今ようやく福島さんのような方のお話に注目が集まり始めた段階なのでしょうか。
福島さんのお話では、「スマホも最初出てきて間もない頃は、おもちゃとしか言われていなかった」という例が出されました。日本がおもちゃと思っていたものが、5年・10年後には世界や私たちの生活に必須の存在となる
とても身近な実例として多くの方が納得する内容だと感じます。

●ブロックチェーンとは?DXとは?

ブロックチェーンとは、デジタルに証跡を残す技術であり、契約書の元本にあたるような「信頼を担保するもの」を、特定の人ではなく皆で担保していく技術とのこと。
今までは位の高い機関で限定されてきた中央機能を、デジタル活用により幅広く実現できるためのものです。
そして今日本で多く話題となる、DX(デジタルトランスフォーメーション)の現状の確認方法については、福島さんは4つのレベルがあると説明されました。

Level 1 
 ツール導入しました段階 (例:ZOOMやSlackを使えるようにする)
Level 2 
 一部業務の効率化ができた段階 (社内システムをクラウド接続する)
Level 
 全業務をデジタル化した段階 (データ蓄積・データ可視化する)
Level 
 企業間でデジタル活用が促進できた段階 (共通インフラ・台帳の連携)

日本や自分たちの周辺環境がどの段階なのか、この先どうなっていくことが求められるか、とても分かりやすい指標だと感じます。
この説明に対しては、他の参加者からも絶賛の声が上がっていました。

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●当たり前を疑う力と、その磨き方

新たな技術を導入・活用するにあたり「当たり前が違うことを認識する」が大切だと言われても、強烈なボトルネックで進まないことは、様々な組織であることです。
その実態について福島さんからは、ほぼ全ての企業から帰ってくる答えに、
「既に効率化されており、困っていることはない」という言葉。それが大きな間違いである。
その理由は、自分たちが常に最先端じゃない限り、外部環境が変化していくから。

との説明があり、世界の話題も多く耳にする今の時代でもあり、強い納得感がありました。

そして以下のポイントも、多くの納得や絶賛の声が寄せられました。

当たり前は、慣習と社内規定でしかなく、前任者が作ったものである。
今伸びている会社は、地味なことをやり切っている会社である。
DXとは、泥臭いことをやるきること。
デジタルはあくまでツールなので、使う人の心持ち次第で効果は変わる。

当たり前を疑う力の磨き方としては、こんなアプローチが紹介されました。
自分の業務での課題を3つ挙げる(または挙げてもらう)
この3つが出てこない人は放っておきましょう。今後は仕事を振る必要もない。と、おっしゃる福島さん。
3つの課題が出てきたら、その課題を解決しきった先に、当初の当たり前が更新されていることに気付くとのこと。

この点については、LinkedIn村上さんも強く共感され、
課題は与えられるものではなく発見するもの、自分たちの解ける課題を見極める力や、その課題を切り分けてアプローチすることが、これからのマネジメントレイヤー人材に必須とされるスキルだと語られました。

●今後10年で当たり前はどう変えられる?

参加者からの質問として「実行不可能なことへの提案方法は?」に対しては、
どこから解けば良いか、の見極めが重要だとのアドバイスがありました。
例えば具体策の提案として、社外との書類から全てハンコを無くす!ではなく、社内の稟議フローから見直してみる、というアプローチは影響度が少なく、取り掛かりやすい。
アプローチの見極めを誤ってしまうケースが多くみられるとのことでした。

村上さんからの「10年間で何に取り組みたい?」という質問に福島さんは
働いている時間をデジタル化したい、と答えられました。その意図は、既に私たちの働いていない時間はデジタル化されている。(手紙が紙ではなくSNS主流になったように。)
更に今、コロナ禍により日本にとってもデジタル化への大きな機会となっており、今やれなければ今後変わることはできないだろう、デジタル化による成功例をたくさん作っていきたい!という福島さんやLayerXには、今後も大きな期待が寄せられることと思います。

●今回のリポートを書くにあたり

このLiveを聴いた直後は、「デジタル専門家でない私が、この対談内容のリポートを書く意味は?」と一瞬迷いが生じました。
その後、少し時間をおいて考えてみた時に、「専門家でないとリポートを書いてはいけないのか?」という点への考えが湧きました。
そこへの自分の答えは、世界の常識が驚くようなスピードで変わっていくなら、その専門家や近い方々が、今どんな考えを持ち、何に取り組んでいるのか、「一般人としてでも」前向きに情報に触れることが、専門家ではない多くの人に必要なことなのでは・・・という点です。

生活や仕事の多くがAIに代用される、なども言われる中、
「新しい技術が自分たちの身近になった時に、少しでも早く活用できたら、自分たちの当たり前に前向きな変化が起きるかもしれない」と感じました。最先端の技術は私たちに今後密接に関わっていくことであり、一部の専門家の人たちが知っていればいい事ではない。その為にも「当たり前を疑う力」を持つことや、その1つの興味材料として、このリポートが役立てば嬉しいです。

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