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紙のほうがいいのはなぜ

本や雑誌などの読み物は、個人的には紙のほうがいい。kindleでダウンロードして読んだりもするけれど、なんとなく、本腰入れて読むわよ!な気分のときは紙で手元に置いておきたいのだ。電子書籍がぐいぐい出てきてからしばらく経ち、未来のわたしはもしかしたら電子でも読むかもな~と予想していたものの、今のところその段階が来ない。

紙がいいのはいくつか理由がある。
まず、紙の匂い! 本屋さんに入ったときのふわぁんとした特有の紙の匂い、好きなんですよね……古本屋さんはもっと年季の入ったしっかりした香りがするのでそれもまたいい。あ、いま本と出会ってるんだな、と実感するのです。パラパラッとめくったときの香り立つあの感じ、電子では得られない。スマホやPCに紙の香水(!?)でもこぼしちゃったら別ですが……。ちなみに匂いフェチとかではない。でも、小学生くらいのころ、実家のマンションの古~いエレベーターの壁の匂いが好きだと言ったら親に変なかおをされた。いまはそうでもない。

あと、簡単にページを行き来しやすいこと。電子版でもポチっとすればすぐ飛べるんだけど、さっきのページどのへんだったかな……となったときに、過ぎてきたページの感覚があまりないので、いったん目次を表示して戻ってお目当てのところを探す、みたいになりかねない。いわゆる本をかたむけてバラララ~とする動き、その大小も含めてコントロールしにくい。
たとえばミステリ小説を読んでて、あれ? と思ったときに、登場人物の動きを戻ってたしかめたり、旅行系雑誌だと、もはやめくるのが目的みたいな感じで無意味にパラパラをかましたくなりませんか。大事なQ&Aとかはうしろのほうに載ってることもあるし、適当に行ったり来たりした結果、やっぱりこの観光地もよさげ!って選択肢が広がることもあるし。

あとはなんだろう、やっぱり目に見えて実在していることそのものが嬉しいかもしれない。
著者のサインをもらうときだって、たとえば電子版でサインされたらちょっと微妙な気持ちになるかもしれない。そのときその場で、すこし文字がねじれたり掠れたりしながら、乾ききっていないインクが隣のページに写ったりしながら、たしかなその人の筆圧をもって書いてくれるっていう、これは紙だから味わえる喜びじゃないだろうか。
いまはあんまりなくなったけれど、本の貸し借りも紙だからこその良さがある気がする。付箋が貼ってあったら、あ、この人にはここが刺さったんだなあと思うし、返すときに感想を言い合うきっかけになったり。電子版の貸し借りってあるんだろうか? リンクを共有して期限が切れたら終わり、みたいな……やや味気ないような。
本棚に積読している本はまさに言葉通り積まれているから、手にとって次はこれにしようかな~と悩む。kindle文庫だとぶっちゃけ、人差し指のスクロールでしゃーーーっと本のリストが過ぎていくので、それぞれの厚みや重さをひとつひとつ手にとって吟味する時間はあまりない。そのお手軽さがいいのかもしれないけれど。

紙がいい、紙がいいと言ってきながら理由をはっきりと分析したことがなかったな、と思ってあらためて考えてみた。もちろん電子の良さもたくさんあるから、ハイブリッドで楽しむのが理想なのかも。
やっと手に入れた森見登美彦氏の『シャーロック・ホームズの凱旋』の重さをひしひしと感じつつ書きました。いろんな意味で激アツ。(厚み、興奮、久しぶりの新刊に対する感謝、感激、など)

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