2023年からボランティア仕事はすべて断ることにした話
タイトルの通り、2023年から、金銭的メリットのない(または少ない)「ボランティアの仕事」を全部断ることにしました。
ボランティア仕事の定義を一応しておくと、
…ということになります。
この結論に至った理由は山ほどあるのですが、ボランティアの仕事をくださる方が、報酬をほとんど出してくれない「理由」に反論する形で理由を整理してみたいと思います。
その前に①
この記事はボランティア活動に従事する人を批判する意図はありません。正当な形でボランティア活動を行っている方は尊敬に値すると思っています。この記事は、あくまでもボランティアという名を借りた善意の搾取に対する自分なりの問題提起のつもりです。
また、私自身一切ボランティア活動をしないという意味で書いているわけではありません。自分が自発的にコミットしている活動は既にいくつか存在します。むしろ、それら以外の活動でこれ以上ボランティアの比率を上げられない、といえば分かりやすいかも。
その前に②
この記事を誰のために書いたかというと大きく2種類の方のためです。
1)私のようにボランティアの仕事のオファーの多い専門職の方
断るのが苦手な方はこの記事を参考にして上手に断ってください。
2)ボランティアに従事している方
ボランティアが無償の善意で成り立っているというのは誤解だということをこの記事で知ってください。逆に言えば、無償の善意を必要としないボランティア活動をくみ上げられればそれは持続可能で本当の意味で社会的意義のある活動となります。
じゃあ書くぞ。
…さて、これまでいろいろな仕事をお引き受けしてきましたが、報酬が出ない理由にはいくつかの系統があると感じています。それぞれの系統に対して「それがボランティアではダメな理由」を考えてみました。
系統① 組織の権威 → そういうのは若者に任せたい
講演などの仕事のオファーが来やすいのが、青年会議所やら社会福祉協議会といった公共性の高そうな組織です。特に子ども向けのイベントなどでお金に関する講演を依頼していただくことが多いのですが、「○○(組織名)の規定の範囲内でしか報酬が出せません」といわれがち。
全くのノーギャラではないものの、せいぜい1万円程度の謝礼におさまることがほとんどで、しかも交通費も支給されない。こちらから見ればタダみたいな値段です。
僕自身はここ数年、ありがたいことに自分の仕事の単価を少しずつ上げることができています。そのレベルに到達するまでは、こういった権威ある組織が主催する場で講演をさせていただくことによって少しずつ経験値を上げていた時期があります。そんな下積みを繰り返したからこそ今がある立場としては、そろそろ、そういう出番は若い人に回して機会を作ってあげたほうが良いという思いがあるのです。
権威ある組織から規定通りの報酬でオファーをする場合は、「いつもそのくらいの額で仕事している人」に頼むのがWin-Winになりやすいでしょう。
…っていうか前提として、オファーする相手がどれほどの人物なのかは良く調べたほうが良いと思いますよ。ひとえに会計士といっても時間単価はピンキリです。
系統② 予算がない系 → 順番が違いませんか。
単刀直入に「お金がないから払えません」というパターン。ボランティア活動をしている人は、なぜか人件費だけは無料で良いと思っていることが多いが、それは大きな間違いです。
ボランティアであれ何であれ、やりたいことがあるならまずはお金の算段を立てましょう。賛同してくれる人や、お金を出すことでWin-Winの関係を作れる人は(まともなボランティアなら)見つかることのほうが多いです。
※会計士やっていると「じゃあ予算作るのから手伝ってくれませんか?」って言われがちなんですが、それこそプロの領域なのでお金ちゃんとくれ、って話です。
系統③ SDGs系 → そんなのSDGsちゃいますよ
系統②に似ていますが、最近特にこのパターンが多いので特出ししてみました。貧困の解決とか環境のためになる活動を行っている団体から、講演や会計周りの管理を頼まれることがあります。
私たちは社会をよくするためにやっているので、お金は出せません…という理由で、ノーギャラのオファーになることが多いです。
無償、つまり誰かの犠牲の上で無理やり続けている活動は、その時点でSDGsの”S”すなわちSustainable(持続可能)である条件を満たしていないじゃないですか。(ぼくだけでなく)皆が正当な報酬をもらえる体系を組み立ててこそ、その活動は持続できるはず。
そのタイミングが来たらぜひオファーをください。
系統④ 私も無報酬です系 → 知らんがな
「私も無償で働いているし、あなたも当然無報酬よ」というパターン。
実はこの構造が非常に厄介だと思っています。この手のオファーをくださる方は、「搾取されながら搾取している」という自分の立場に気づいていないのです。
仮に僕がそういった搾取のループに加わると「まやまさんも無償でしたし」という言い分が生まれ、結果として次の犠牲者が出てくることになる。つまり僕も間接的に搾取に手を貸さなければならなくなる。
そういった搾取の連鎖を止めるためには、報酬をしっかりもらうことを当たり前の価値観にしていくことだと思う。それがすぐには無理だとしても、少なくとも「自分が無報酬」であることは「当然他人も無報酬」の理由にはならないということは知っておいてくれ。
※例えば地盤固めのために無償でイベントを手掛けている地方議員のように「非金銭的なメリットをを自分だけはがっつり享受しておきながら、こちらに何も渡さない」というツワモノもまれにいます。気を付けなはれや。
系統⑤ ○○さんから聞きました系 → 調べろや
ボランティア活動に賛同して手伝いをしてくれる人というのは、そうはいっても限られる。そうなると、一度手伝いをした人がかなりの確率で他のボランティア系団体からオファーをもらうことになります。
「〇〇さんから、まやまさんは・・・・という活動に共感してくれているということを聞きました」と、他人の名前を借りてくるオファー、ここまでの系統の中で、正直一番嫌いです。
なぜかというと、たいてい僕のことを調べてないから。
その手の人に「話だけでも」と言われて已む無くZOOMで面談をすると、たいていこういう反応がある。
「えっ、本出されてるんですか!すごいですね!」
「YouTubeもされてるんですか?じゃあ告知もしてほしいです」
失礼でしょ?
で、なぜ調べないかという理由は実は系統④に合流するんですよね。「別に仕事でやってるんじゃないんで…」と。
あなたにとっては仕事じゃないかもしれないけど、その講演のネタは私にとっては紛れもなく本業の領域なのよ。それなりの敬意を払ってもらえない場所で気分よく話せるはずもない。
あなたが普段どんな本業をしているか調べもせず「それタダでやってくれない?」って言われたらどう思うか、考えてほしいです。