アポロ13

10. 「知恵のチームワーク」な3本

「アタマ悪い人って、おれ嫌いなんですよね!」と言ってはばからないE氏。まあ気持ちはわからんでもないけど、言語化したらあかんでそれはとたしなめつつ、どうやって自分と違う脳の構造の人とでもチームワークを組めるのかこそ、チーム力を最大出力できるかどうかにかかわってくるんだと思うわけです。頭がいい人の考えは、頭が悪い人には伝わらない、と思いたくなる気持ちも分かるけど、本当に頭がいい人は、どんな人にでも伝わる伝え方を考えられる、という厳しい見方もあるわけで、そこまで含めて「アタマのよさ」だとするならば、チームワークを創りだすのは情緒的な熱意とかやる気だけじゃあくて、とどのつまり「知恵」なのだと、思う部分もあります。そんなことを考えるのにいいんじゃないかなという3本をE氏には送ります。

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アポロ13

1995年公開
監督:ロン・ハワード
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米宇宙計画「アポロ計画」の13号機で実際に起こった事故と生還のお話。画づらは、管制室と宇宙船内がほとんどと、派手さはないのですが、生死の際に立たされ続ける緊迫感と、時々垣間見える、心のゆるみや安らぎの瞬間が、リアルでさすがの演技でしたトムハンクス。知恵は制約のもとでひねり出されるという定説から考えて、こんなに極限の制約条件はないわけで、精神的にも肉体的にも追いつめられる中、いかに知恵が出せるのか。チームワークと知恵が行ったり来たりする名作。問題解決思考、責任主義より結果主義など、仕事していて立たされる際の際でもこんな風に立ち回れたらなあと思う訳です。クリエイティビティってこういうことなのかも知れないね。この映画から学べるチームワークは「感情論より解決策で、チームってまとまる」ってことかな。みんなが助かるアイデアを出せば、おのずと「ありがとう」が生まれるはずだよなあって。

インセプション

2010年公開
監督:クリストファー・ノーラン
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人と夢を同期しその夢からアイデアを盗み見ることのできる男の、苦悩と愛のお話。2時間越えの作品でしたが、まったく長いと感じさせず。ダークナイトでもそうでしたけど、この監督は畳み掛ける展開がすごい上手い! 今回はかなりIQが高い設定で、そのための説明的台詞も前半たくさん出てくるので、そこを頑張ってきかなきゃ!っていうあれはあったけど。知恵ももちろんなんだけど、ここで描かれるチームワークは「権限移譲」とその裏にある「信頼」ってことですかね。「後は任せた」を、致し方なくやっていかないといけない設定の中で、いかに安心して「後は任せた」に持っていけるか。信頼関係はもちろんのことながら、「いかに信頼関係だけに依拠せずに、仕組みでうまくいくように練っておけるか」という、知恵の底力は感じてもらえる一本。知恵と信頼を、ドライとウェットみたいに対立構造に置くんじゃなくて補完関係にするってことが、大事だなあとふと思う一本です。この映画から学べるチームワークは「こいつでダメならしょーがない、って思える信頼関係と、その先の権限移譲が出来れば、いいチーム」ってことですね。理想論かもしんないですけど、信頼して移譲していくことを、小さな規模から積み重ねていくことが強度につながる気がします。


ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやってきた

2016年公開
監督 : モーリス・デッカーズ
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世界一のレストラン、ノーマが期間限定で東京に出店したときの紆余曲折に密着したドキュメンタリー映画。チームの理想のあり方についてのお話。リーダーシップはシンプルに。大事なことは何度でも繰り返しいう。妥協はしない。本質がブレるような目先の情けはかけない。レネの発言は中々えぐいけど、圧倒的な「見えてる」感がかっこいいけど、部下は大変なんだろうなあ笑 あと「エスノグラフィはすべての基本」っていうのも興味深くて、何しろ現地に出向いて、自分の舌で食材を試食していくその姿勢は、手間暇を惜しまないプロの姿勢だなあと。『アイデアを生むということは、それを自分がやる意味が何かを見つけるということ』という料理長レネのことばが重いね。食べてみたかった…!あとみなさん、めっちゃ体を鍛えていて、そのシーンが要所要所にインサートされるのも、プロってマッチョだなと思って面白かった。自分も鍛えよう。この映画から学べるチームワークは「信念と嫌われる勇気はセットで」ってことですかね。信念だけだと孤立するし、嫌われる勇気だけだと人は耐えられない。両方セットで持ててるリーダーは、いいなあと。

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改めて思うのは、「どれだけチームの一人ひとりが、死ぬほど考え抜けているか」っていうところが、根源にはあるなあと思うわけで。その中には、「どれだけこのチームの人間という資源を最大活用できるか」も当然入っている。なんというか、「ドライな思いやり」みたいな、相手のことを考えつつ、同化しない距離を保つみたいなことが上手なリーダーが多いなと感じます。すぐウェット一辺倒に流れる人や、ドライなだけで人的資源を最大活用できない人とは、そこって違うんだけど、知恵とそのバランスこそ、キーワードなような気もします。情けは人のためならず。あなたを助けるのは優しさじゃなくて、活躍してくんないと勝てないから。そんな、冷静と情熱の間。

だから、「バカは嫌い」という感情自体はうちうちで認めてもいいけど、そんな君のいうバカも戦力としてどうやって活かしきるかは、頭のいい君にしかできないかもしれないぞ、Eくん!w なんて、今回も無理やり着地させた3本でした。

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