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(仮)禁止令

企画の仕事をしているとよく目にする(仮)。まだ提案まで時間がある段階でのミーティングの資料とか、あとネーミングものの末尾によくおかれがちなやつで、なんとなく、そんなに責任重大にならずに生煮えのものをひと様にお出しするときの予防線というか、言い訳先出しというか、そういう効果効能なのだけども。

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あるミーティングでクリエーティブの先輩が「(仮)は禁止にしよう!とっちゃおう!」といって、その場にあった(仮)を全部ペンで消し、ものすごい勢いでいろいろなことを決めちゃったことがある。それはそれで、よかったなあと。結局、「もっといい答えがあるかもしれないのに今決めるのは早計である」というモノゴトの多くは、確かにもっといい答えはあるにちがいないのだけどそれは微差であってそれよりも「いま決めること」のメリットのほうが断然だったりする。それに、もし後から「もっといい答え」が見つかったら変えればいい、ってことばっかりだったりする。企画書上の(仮)の有無が、あとから変更できるできないを左右するかっていうと、そこじゃないところで決まることのほうがおおいわけで。

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とどのつまり人は判断保留にしたがる生き物なのです。

判断して、その判断の責任を自分ひとりで負いたくない
→(仮)でみんなの前に出し、共犯にしておきたい

判断するのに労力がかかるので単純に疲れるからイヤ
→ 人に決めてもらいたい
後からまた変わる可能性があるならあいまいにしておきたい
→ 決めるのは1回で済ませたいというずぼらごころ

こんなところで、(仮)はむちゃくちゃ便利な言葉で確かに必要な場面も多々あるのだけど、思考停止でただとりあえずつけとく、っていう状態にもなりがちな記号だから、「えーいもう決めてしまえ!」ととっちゃうのも、習慣づけていきたいと思うわけです。あ、ちなみにもっといいのは、「その段階ですでに死ぬほど自分的には考えが尽くされていて、(仮)での、えいやー!でもなく、個人的確信に基づいて言い切る、っていうのだけどね。自戒自戒。

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