優劣の無い本屋

同じカテゴリーのものが2つ存在すると、両者の間には差が生まれる。

違う内容の本が2冊あったとする。両者は売上や人気で簡単に比べられてしまう。2冊とも読めば、「Aの本よりBの本が面白い」と言った具合に、中身でも比べることが出来る。

本屋に行くと、様々な本が売られている(当たり前だが)。目立つ置き方の本もあれば、そうでもない本もある。そこに差や優劣があるのは仕方ない。

試しに、優劣の無い本屋を妄想してみる。表紙を向けて置いてある本は一冊もない。全て背表紙を向けてずらっと並んでいる。
宣伝用のポスターも、何万部突破と書かれたポップも存在しない。ベストセラーも無名な本も、同列に扱う。

大きさを均一にするため、文庫本しか置かない。装丁が派手だったり地味だったりするので、当店オリジナルのカバーを上からかける。それには、タイトルと著者名と出版社だけが書かれている。

そんな店が成立しないのはわかっている。その店が実際にあったとして、すべての本が平等に売れるわけがない。それでも自分は考えたい。自分はそんな本屋に行って、何を基準に本を選ぶだろうか。評判に捉われずに選んだ一冊が、不朽の名作だったなんて出会いも面白いじゃないか。

そんな本屋を、頭の中でオープンさせる。お客さんが入ってくる。一番目立つ一番分厚い本を買っていったので、即閉店。平等って難しい。

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