本の価値について

家から自転車で15分。そこにその店はある。主に中古本を扱う小さな本屋だ。大型書店も良いが、小さな本屋も好きだ。

当然のことながら、置いてある本は少ない。しかし、だからこそ出会える本がある。

最近もその店である本を買った。昔のエッセイ集だ。読んだ本を記録するアプリで調べると、その本を読んだことがある人は少ないことがわかった。では、その本はつまらない本なのか?答えはNOだ。出会ったことのある人が少ないだけだ。

本の価値を決める様々な尺度がある。発行部数、人気、受賞歴、著者の知名度・・・無数にある。「食物の評価は美味いか不味いか、多いか少ないか、それだけでいいのだ」と、ある漫画のキャラクターが言っていたが、本にも言えることだと思う。面白いかつまらないか、厚いか薄いかだ。

ベストセラーとなった本は確かにすごい。一冊の本で多くの人を夢中にさせたことは、称えるべき事象だろう。読者も、「売れているもの」に飛びつきがちだ。しかし、売れた本だけ読むことは、読書を楽しんでいると言えるだろうか。

「ガイドブックの『見逃せません!』にばかり注目していると、本当に見るべきものを見逃してしまう」。旅行記を中心に執筆しているエッセイスト、宮田珠己さんがこのようなことを自著で書いていた。国内外様々な場所を旅して、多くの観光スポットを巡ってきた宮田さんならではの言葉だ。

人間の目はいい加減なもので、本屋の棚をまんべんなく眺めているつもりでも、目立つ本や知ってる作家の本ばかり目についてしまう。評判に捉われず本を選ぶのはなかなか難しい。しかし、だからこそあまり知られていない本を選んで読む楽しさがあると私は思う。

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