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藤井風"優しさ"レビュー: 奇跡みたいな才能と、奇跡みたいに優しいひと

私は彼のことをピアノカバー曲から知った方なので、
「ああ、ついにメジャーデビューしたんだ。オリジナル曲?えっ、自分で作詞作曲?確かに弾き語りはうまいけど、優れたプレーヤーが優れたクリエイターも兼ねている可能性はそんなに高くないだろうし。。。」
なんて気持ちで再生ボタンを押したのは確かです。

ごめんなさい。

だってさ、デビュー曲のタイトル「何なんw」ってふざけてるし、きっと売れる気そんなにないんだろう、若者受けはするのかな?もう私の世代には分からないな。。。ぐらいに思っちゃったのですよ。
だから、いざ聴いてみて、洗練された刺さるサウンドになっていることにとてもびっくりした。私の好きなR&Bのテイストが存分に入っていた。それはこれまで彼が歌ってきたピアノカバーのラインナップやアレンジを聴けば十分予想できたかもしれなかったけど、タイトルから抱いた予想は見事に裏切られた。
彼は中学時代からピアノカバーの音源をyoutubeに(最初の頃はご家族が撮影して)アップしていて、高校時代は学校でも音楽に特化して学んでいた、らしい。デビューまでの間、ものすごく膨大な量のインプットや弾いたり歌ったりの努力をしてきた人なんだろうな、というのは、音楽を聴いてよくわかった。

ところで私はいわゆる壮大なバラードというのがちょっと苦手なところがある。爆発的にヒットする曲にありがちなやつ。だいたいは歌詞に重みがありすぎて体力がある時じゃないとちょっと聴いてて疲れちゃう。どちらかというとビートがよくてふわっとしたダンスナンバーだったりの方が心地よくて繰り返し聴いてしまう。
風さんのこの「優しさ」は、前向きで壮大で、彼のパワフルな歌声がサビでは全開で、だけど不思議と聴いてて疲れない。それはおそらく、彼の声そのものが癒しの力で溢れてるからというのもあると思う。

彼のトーク(英語!しかも彼は耳だけでこの英語を覚えたらしい!)を聴いていても、彼がいかに愛にあふれた、そして言葉や伝えることを大事に思っているやさしい人なのかが伝わってきます。

前回は上記の、弾き語りカバーの名作10曲+α紹介動画でしたが、やっぱり彼の魅力はどんな音楽も自分の色に通して表現してしまうところなのですよね。そこももっとたくさんの人に伝わってほしい!!

今まで曲を量産して世の中に出してきたタイプの人ではないし、どれぐらいの歳月をかけてこのアルバムを作ってきたのか分からないし、この先彼がどういう方向に進んでいくのかは全然わからないけれど、自分のペースで、世の中の商業主義的なものに極端に惑わされることなく、やりたいことをやりたいように表現し続けてほしいなあ、と思う。
ただひとつ、彼の歌声、ピアノ、表情、音楽は人を癒して救うパワーがあるなと確信しているので、この素敵な音楽によって救われる人が一人でも多く増えるといいな、と思うばかりです。


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