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電柱の近くで死んだ雛鳥


今日、池袋で本を買おうと駅に向かった途中でとてもグロテスクなものを見てしまいました。ひとりで歩いていたにもかかわらず声が出てしまった。

電柱の近くで毛も生えて無い雛鳥が白目を向いて死んでいた。周りにはその雛鳥だったはずの体液がもう乾いてコンクリートの模様に変わっていた。

いつも下を向いている私じゃなきゃ気がつかなかったのかもしれないくらい小さな雛鳥。
おそらく巣から卵が落ちてしまって死んだ。それか生まれたてで目も見えなかったから、事故で巣から落下して死んでしまったのか。実際はわからないけどそんな予測をする。

私は超絶に暇という理由と、グロテスクなものの興味でしばらくその雛鳥を見つめていた。それからだんだん足元から鳥肌かぶわぁっと、駆け巡り駆け回り、ふとももの付け根、脇の下から頭にかけて電気が走るように伝わってきた。
鳥肌は、気持ち悪さと同時に、「かわいそう」と命令していた。

雛鳥は死ぬ前どんな景色だっただろう。目も見えていないかな。それより、どうして親鳥は電柱の上に巣なんて作ったのだろう。もっと下の方に作れば死なずに済んだのに。でも、この周りが猫が多いから食べちゃうのかな。歩きながらずうっと考えた。どうしてこの雛は死んでしまわないといけないのか。どうすれば死なずに済んだのか。
多分親鳥は最善の判断をして、電柱に巣を作ったと思う。他の鳥の口コミとか餌の見つけやすさとか、刻まれているDNAだとか、色々リサーチしてここに巣を作ったと考える。巣がある電柱の下で、手にお盆を作って待っていない私には親鳥を責める権利などない。

そうだよな。思い出して、また、全身に電気が走った。



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