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新しい自分?

新しい朝、新しい職場、新しい帰り道。

新しい空気を身に纏って、
どこか新しい自分になれる気がした。

でも、そうじゃなかった。

社会人3年目、だけど1年目

朝7時に起きて、ご飯を食べて、
いつもとは違う道を通って、
いつもと違う電車に乗る。

電車で見た新社会人の姿に、
2年前の自分を重ねた。

社会人3年目、あの頃と同じ新鮮な気持ちで、
電車に揺られている。

背筋が自然と伸びるこの感覚、懐かしい。

前の日にオフィスの近くまで行ってみてたから
迷わずたどり着いて、想定よりも早く着いた。

新しい環境に馴染めるかどうか、
そんな不安を抱いてみたり、
そもそも私はここに何を求めてきたんだっけ?
なんて思い出してワクワクしてみたり。

オフィスに着くと、
想像以上に同日入社の中途の方がたくさんいて、
安心する気持ちと共に、
頑張らないとなと思った。

2日目からしばらく研修が続いた。

この期間で全てを理解するには情報量が多すぎるから、大枠を理解するのがゴールだと聞いたけど、せっかく時間を使うなら、と、
自分なりにやり方を模索してみる。

疑問点や感想の半分が、
「前職ではこうだったが・・」から始まっていることに気づく。

2年で染みついた思考の流れはそう簡単には変わらないみたい。

少しずつ新しい考え方に移行していきながら、
持っているもので活かせるものはないかと考えてみる。

スマホの機種変の時みたいに、
残すものを取捨選択する感じで、
自分自身をアップデートしていく。

4月のほとんどはその作業で、
頭がいっぱいいっぱいになって、
何回もソファーで寝落ちした。

懐かしい空気

2週目、
前の職場の案件チームの打ち上げがあった。

新しい環境で新しい情報を取り込み過ぎた頭で、
ちゃんと話せるかな?
なんてちょっと不安だったけど、
みんなの顔をみた瞬間に何もかも吹っ飛んだ。

社会人2年目で色んなことを経験させてもらって、きっと一生忘れないであろう案件で、
たくさん助けられたチームだったからこそ、
すぐに安心感があった。

あれ大変だったよねとか、
こんなこともあったよねとか、
色んな出来事をみんなで振り返っていて、
つい最近までのことだけど、
すごく懐かしくて、
やっぱり忘れたくないと思った。

大人になっても、
「このメンバーでよかった」なんて、
真っ直ぐな気持ちを持てたことが嬉しい。

帰り際、とてもお世話になった先輩が、
手紙とプレゼントをくれた。

家に帰って読んでいると、自然と涙が溢れた。

新しい環境にいくことを選んだからといって、
何もかも嫌になったわけではない。

もっとやれたかもと思うこともあるし、
もっと一緒に仕事をしたかった人もいる。

「出会えて良かった」
ただその気持ちで、涙が出た。

立ち止まる

温かくなって、
街中が春色になっていく。

いつもはそそくさと歩く人たちも、
ついつい足を止めて写真を撮っている。

そんな光景を見ると、心が温かくなる。

正直、桜が綺麗だと思うようになったのは
ここ最近で、学生の頃まではそれほど心動かなかった。

社会人になって、
画面を見つめる時間が多くなったからか、
空を見上げたり、自然に囲まれるのが好きになったのかも。

生きていく上で、
毎日色んなことを考えないといけないけど、
きっとそれと同じくらい、
立ち止まることも大切なんだと思う。

満開を過ぎて、散っていく姿は儚いけど、
それを見ていると、
そろそろ本気出すかあという気持ちになる。

春は走り出す季節のように見えて、
そこにはちゃんと休憩地点がある。

走り続ける人が長く走れるように、
立ち止まる時間を作ってくれている。

今年もまた一段と、
春が好きになった。

人に優しくなりたい

人は負の感情で繋がると、妙に仲間意識を持つ。

身の回りで起きた嫌な出来事を1人で抱え込むよりはずっとマシなのかもしれないけど、時にそれはよくない空気を生み出してしまうこともある。

たとえば仕事のやり方に疑問があったとして、
その改善策を考えないでずっと愚痴を言っているだけになるとか。

抽象的な例になってしまったけど、
複数人で一つのことを進めようとする時、
疑問を超えた「文句」が生まれる場面をこれまで何度か見てきて、
その度にモヤモヤする自分がいる。

私は自分の口から「文句」が出そうになる時、
その事象の背景を想像するようにしている。

もしかしたらあの人なりの考えがあるのかもしれない、とか。
見えていないところであの人も何か苦労しているのかもしれない、とか。

想像することで、
人に優しくなれるし、
自分なりに頑張ってみるかって思える。

だからか、
私は何も考えないで、
すぐに「文句」を垂れる人が苦手だ。

負の感情で繋がった仲間意識は簡単には崩れない
一度繋がると、「文句」は止まらなくなる。

その空気に染まらないように、
頭を使うことを止めないようにしようと思った。

考え過ぎたが故に、
染まりそうになっていた日、
夜コンビニに寄った帰り道に小雨が降り始めて、
少しジメジメした空気に、
気持ちまでどんよりしていた。

でも帰り着くと、
マンションの廊下で同じ階の住人が明るく挨拶をしてくれて。

上京して7年目、
近所付き合いなんてほとんどなかったし、地元とは違うその空気が気楽だな〜と思っていたけど、
新鮮な温かさに触れて、一気に心が晴れた。

あとになって思い返すと、
あの時、傘を持っていなかったあの人に、
「小雨降ってますよ」と一言伝えれば良かったな

人の温かさに触れると、人に優しくなれるんだ。

きっと大丈夫

新しい空気を身に纏って、
どこか新しい自分になれる気がしていたけど、
1ヶ月を振り返ってみると、

やる気が出たり、イラッとしたり、
もうちょっとやれたなって後悔したりする、
自分の心が動くポイントは全く変わらなくて、
ただ目の前にあるやるべきこと、
周りにいる人が変わっただけだった。

書きながら思い出した。

そもそも新しい自分になりたいんじゃなくて、
新しい環境に自分の身を置きたかったんだった。

社会人3年目、今の場所では1年目、
分からないことだらけで、
まだ何もできないのがもどかしい。

想像していた以上に、情報量の多い1ヶ月で、
常に頭がパンパンだった。

でも久しぶりに、純粋な気持ちで、
学ぶことが楽しいと思えていたりもする。

きっと、選んだ道は間違いじゃない。
今やれることをやれば、私はきっと大丈夫だ。

1ヶ月後、今より胸を張っていたいから、
精一杯生きよう。






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