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夏色に染まるワタシ

夏のピークを追いかけた7月とは違って、
「夏」をめいっぱい感じて染まった8月。

パソコンに向かう平日のモヤモヤを、
夏の日差しで洗い流そうとした。

アイデアくらいは気楽に

1年前、プロモーションの部署に配属されてから、ずっと克服できなかったアイデア出し。

「社内ブレスト」という文字がある週は、
分かりやすく憂鬱になる。

慣れてきたのか、
最近はアイデアを考える時間が楽しい。

1人で頭を抱えて、周りに認められる完成度の高いアイデアをつくり出そうとすることをやめて、チームでアイデアを膨らませるアイデアの種をできるだけ多く生むようにしたのが正解だった。

そんな時に先輩から送られてきた「言葉遊びが上手」という一言は、最高の褒め言葉だ。

同期と週末に、どうせやるなら楽しいことしたいよねって話したりもした。

アイデアを考えるとき、どうしても予算とか現実的な問題で息が詰まるけど、そんなこと全部取っぱらって、もっとワクワクしたい。

旅、しなきゃ

初めて、岐阜に行った。

社会人になってから、
無性にラーメンが食べたくなる日が多い。

初めて歩く道にそわそわしながら、
お店を探す。

入ったお店はおじちゃんが1人でやってて、
おすすめを聞くと、
「そんなの全部おすすめだよー、
おすすめできないもんは置かないよ」って
少し勢いのある声でそう言った。

一見強面できついおじちゃんかなと思ったけど、
どう?味はって聞いてくれて、
めっちゃ美味しいです!って言うと、
お口にあってよかったって微笑んだ。

心が温まって、ホテルまで少し遠回りをした。

ここ最近ずっと出張ばっかりで、
旅をしてなかった。

「旅、しなきゃ」
そう思った。

いつもの味、いつもの風景もいいけど、
知らない味、知らない景色の威力はすごい。

元気ラーメン、めちゃくちゃ元気貰ったよ。

ずっと避けていた夏

小さいころから、人ごみが苦手だった。

最後にちゃんと花火大会にいったのは
小学校低学年くらいの時だった。

それからしばらくは、
だれが、なんのためにやっているかわからない、
遠くの空に見えるサプライズ的な花火が好きだったし、割とそれで満足してた。

大きい花火を人ごみの中で見上げるよりも、
少人数でする線香花火が好きで、
ここ数年は毎年のように誰が長く続くかの勝負をしていた。

花火が嫌いなわけじゃない。
花火を目的に出かけるのがちょっと嫌だった。

そんな私が、10年以上ぶりに、
花火を見るっていう気持ちで花火大会に行った。

街中が花火大会のムードになって、
朝早くから川沿いの場所取りが始まる。

めずらしく、少しウキウキした。

浴衣のレンタルが面倒で、買って着る練習までして、なんか普段の自分とは思えなかった。

仕事に限らずプライベートでも大抵のことはめんどくさいし、プライベートのことになると事前にいろいろ準備することがあると、
もういいやって放棄したくなるのに。

なんだか子どもみたいに、
夏を楽しむことに前向きだった。

夕方になると川沿いに人が集まり始めた。

ずっと避けていたのに、
待ちに待ってしまった花火大会が始まる。

何もない夜空に、
夏の花が次々と咲いては散っていく。

いつまででも見ていたいし、
いつまででもこの音と、
歓声に包まれていたいと思った。

スマホを見て、イヤホンで耳を塞いで、
周りの人と、周りの空気と距離を置いてたのに、
この時だけは
スマホを置いて空を見上げて、一夜限りの音に耳を澄ませる時間が心地よかった。

この夏の匂いを忘れたくない。

帰れる時に帰ろう

一人旅、花火が終わると、
現実に引き戻された。

お盆期間中の日曜出張という受け入れがたい現実。

これが去年じゃなくてよかったと思った。
まあこんなこともあるよなと思える2年目でよかった。

でもなんかちょっと嫌になって、
ついでに帰省することにした。

何をするわけでもないのに、
帰るってだけで喜んでくれる家族がいてよかった。

いつも帰省するとき、
移動時間だけで7時間くらいかかるし、
飛行機代は高いし、
前もって長期間帰れるって分かっていないと、
そもそも帰省しようって思えなかった。

でも社会人になってから、
帰れる時に帰っておこうと思うようになって、
時間も、お金も惜しまなくなった。

まだまだ先の話かもしれないし、
すぐ近くの未来の話かもしれないし、
その時はいつかなんて誰にもわからないけど、
もしかしたらいつか、
帰省できなくなるかもしれない。
帰省しても、だれもいないかもしれない。

大人になるにつれて、段々とそんな空想の話が、
現実とはそんなにかけ離れてないような気がしてくる。

いつか、どんなに時間をかけても、
どんなにお金をかけても、
手に入らない可能性があるなら、
今ちょっと無理してでも帰っておこうと思う。

街の人、空気

長野の上田に出張に行った。

久しぶりの会食で、少し緊張してたけど、
全部の料理がおいしくて、
上田でしか買えない日本酒がびっくりするくらいおいしくて、純粋に楽しんでしまった。

なんだか最近の仕事は、
就活生のころに想像していたものじゃないけど、
色んな人と関わることができて、刺激的だったりもする。

何より、色んな立場の人の話を聞いていると、
自分の人生にとって必要な言葉がたくさんあって、つい仕事とは関係のないメモを残してしまう時がある。

出張が多くて、
しんどいと思う気持ちとは裏腹に、
出張じゃなきゃ行かなかった場所、
見れなかった景色、
出会えなかった人、
出会えなかった考えや言葉の方が多くて、
どこか充実感を抱いている。

普段の自分ならしない選択を、
仕事が後押ししてくれている気がする。

自分のことよりも

最近、自信がないな~と思う。

自分の現状とか、自分の将来とか、
あれこれ考えるよりも、
誰かの悩みごとを聞いたり、
誰かのために動いている時間が気楽で。

誰かのために何かをしているとき、
どこか、いつもの自分よりも優しい気持ちでいられる気がする。

そういう意味では、
代理店は天職なのかもしれないけど、
それでいいのかなと思ったりもする。

何から始めてみればいいのかわからないけど、
少しでも自分に自信を持てるように、
もがいてみたいと思う気持ちだけはある。

海、山、川、新しい風景、懐かしい空気、、

この夏、家に閉じこもるよりも外にいる時間が圧倒的に多かった。

その分、色んな人生を見た気がして、
きっと私はそのオーラに圧倒された。

いつか思っていた、「私はみんなとは違う」
そんな漠然とした、
でも確かな自信が揺らぎ始める。

流れに身を任せる

普段の自分なら、とか
世間的な当たり前、とか
そんなものを取っ払って、
流れに身を任せた8月だった。

もしかしたら、いつもの自分とは違う選択で、
自分が見えなくなったのかもしれない。

それでも、8月が終わる今日、
その選択をして、よかったと思っている。

自分らしくない夏の過ごし方で、
「初めて」をたくさん経験できたはずだから。

夏が私に教えてくれたのかも、
「別に周りに流されてもいいんだよ」って。

もうすぐ夏が終わって、秋になる。

今日は13年振りのスーパーブルームーンらしい。
そんな話をしながら母と夜ご飯を食べていると、
忘れかけていた過去が蘇ってくる。

母が月を見て「うさぎがお餅ついてるね」というと、小さな頃の私は「いや今日のはちがう」って月の模様を見つめてたらしい。

昨日外で歩きながら、「あれ、満月じゃない?」って母の言葉に「いやまだな気がする」と特にニュースを見たわけでもなく答えた。

小さな頃、無意識的に好きだったものは、
いまでもずっと無意識的に好きなものだと思った。

親と話していると、自分の知らなかった自分というか、記憶に残っていない自分のことを知れるから嬉しいし、過去と現在が繋がる感覚がして気持ちいい。

秋本番を迎えるころには、
今よりも背筋を伸ばして、
街を歩ける自分になっていたい。


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