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あの日のセクハラを私は卒業論文でリベンジする

新聞配達のバイクの音が外から聞こえてくる今、
私は非常に感傷的な気持ちに浸っている。

あの毎日を思い出すと正直今でも胸が痛い。

私は3年前、大学1年生の時にインターン先で同期のインターン生からハラスメントを受けた。

取るに足らない、けれど心に刺さる言葉の数々。
不快感の残る横暴で一方的な話しぶり。
毎日毎日、私を見下し、
女であることを強調しては、彼の認識する「女」の枠に私を押し込んだ。
これについては確か過去のNoteに書いていたと思う。

正直その時のことを具体的に書こうにも、
今はあまり覚えていないのだ。スッポリ抜け落ちてしまって。
でも今でも時々急に思い出しては寝れなくなるから、
卒業論文のテーマにしようと決めた。

研究の経緯については、
私自身の経験であり、このような性加害から身を守る教育について考えたい、と書いた。

毎日毎日書き進めて、ようやく今日終章の謝辞にたどりついた。
たどり着いて、
協力してくださった方や友人への感謝を書いた。

そこで、私に加害したあのインターン生を思い出した。
彼は元気にしているだろうか。
私のことを覚えているだろうか。

私、あなたからされたことが心から離れていかなくて、
3年経ってもまだつらくて
とうとう卒業論文にまでしました。
あなたが読むことは絶対にないだろうけど、別にそれでいい。


あなたみたいな人を生まないような
私みたいな人を生まないような教育について論じました。

これが政府に採択されることはないけど、
これを読んだ誰かが性加害について考えてくれたらいい。
もし、そうなったなら、
それがあなたへの復讐です。

まだ細かい作業が残っているけど、ここまで到達できたことを誇りに思う。
彼から受けた精神的な暴力を、同じように暴力で返さなかった自分が嬉しい。

加害に適切に対処するには、まずそれを加害と認識することが必須です。
これが無ければ、誰にも相談できず、第3者の介入につながらないからです。

でも私はあの日まで、本当に本当に、ただあなたが意地悪なだけだと思ってた。
とうとう耐え切れなくなって、
インターンのコーディネーターさんたちに相談した時、
2人があまりにも深刻そうな顔で私の話を聞いて、
つらかったね、気づけなくてごめん、絶対早く何とかするからって言ってくださって、
「それはセクハラとパワハラだよ。」って彼への怒りと呆れを露にしながら言うから、私は焦った。

彼は慣れない業務で疲れてるのかも、
私の関わり方が悪かった可能性もあるって、必死に彼をフォローした。

だって、そんなに重大なことが起こってるって知らなかったから。
これが絶対に起きちゃダメな加害なんだって知らなかったから。

知らない、わからないって罪だと思う。
誰かが教えてあげなきゃ、加害されて膨大な時間が経ってからやっと気づくことになる。

性加害の防止は、
性教育は、
決して寝た子を起こすものじゃない。

子どもは寝ていないし、
例え寝ていても起きていても性加害は無差別に降りかかる。

であれば、教育しかないのだ。
知っていくしかないのだ。
性加害がなんであるか知って、未然防止や危険回避に努める。
もし遭ってしまったら、それは被害者の落ち度では全くない。
適切な人、または機関に相談する。


これが全部、論文で触れたことで、
あの時の私に教えたかったことだ。

論文を書きながら気づいた。
私の論文で、過去のつらかった私を救いたかったのだ。
そして、今でも時々つらくなる自分と向き合いたかった。

この論文がきちんと完成して、研究発表を終えて、
どんな気持ちになるか、まだわからない。
正直、つらいまま変わらないんじゃないかなとも思う。

それでも、私はあの時のリベンジを果たすのだ。
このつらかった記憶でできた論文を完成させて、晴れて卒業認定をもらう。

彼のことは許さないけど、
私から遠いどこかで元気に生きててほしいし、
でもたまに、電車に乗り遅れたり、仕事でミスをしたりして、
落ち込む日があってほしい。

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