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ヨルダンのアラビア語は野暮ったくて男っぽい?

アラビア語には、クルアーン、新聞やニュースで使われる書き言葉の「フスハー」と、話し言葉である「アンミーヤ」の2種類がある。

「フスハー」は学校で習うものなので、アラブ人でも、フスハーを使って上手に話せない人もいる。

一方の「アンミーヤ」は話し言葉であり、アラブ世界では国や地域によってさまざまなアンミーヤがあり、それぞれの言葉はかなり違っている。

例えば、「ほしい」(want)という単語。

クウェートやカタールなどの湾岸諸国のアラビア語は「アビー」と言うし、エジプトでは「アーイズ」と言い、ヨルダンやレバノンやシリアでは「ビッディー」と言うなど、単語そのものが違っている。


さらにミクロな視点でアンミーヤを見ていく。

ヨルダン、レバノン、パレスチナ、シリアでは、同じ「レバント方言」(levantine arabic)というアンミーヤが話されている。

そのため、ヨルダンでアンミーヤを習得した私にとって、パレスチナやシリアで話されているアラビア語は大方理解できるが、ヨルダンのものと、少しずつ発音や言い方が違っている。

一番分かりやすいのが「ق(カーフ)」の発音の仕方。

この文字は、フスハーでは口を縦に開けて重たい音で「カ」と発音するけど、ヨルダンでは「ガ」と発音し、パレスチナやシリアでは「ア」と発音する傾向がある。

例えば、「いくら」(How much)という単語については、ヨルダンでは「ガッデーシュ」、パレスチナやシリアでは「アッデーシュ」と発音する。


私が先日トルコに行った時に、シリア人とアラビア語で話をする機会があったが、私のアラビア語の発音を聞いて、すぐにヨルダンに住んでいたことがバレた。

私は無意識で「〜の前に」を意味する「カブラマー」という単語を、「ブラマー」と言っていたからだ。


ヨルダン人以外のレバント地方に住むアラブ人と話すと、ヨルダンのアラビア語は「カ」を「ガ」と呼んだりするなどして、「男っぽいイメージ」があるそう。

確かに、私がヨルダンに住んでいた時、首都アンマンに住む洗練されたヨルダン人の女性たちは、「ガ」ではなく、シリアなどと同じ「ア」の発音をしていた。

同じヨルダン人でも、都会っ子や女性は、「ア」と発音する人が多い。

そして、ヨルダンの南に行けば行くほど、ベトウィンという民族が多く住んでおり、「ア」ではなく「ガ」と発音する人が増える印象だ。


最近、Netflixで配信され始めた「アルラワビ女子高校 シーズン2」は、ヨルダンで製作されたドラマで、ここに出てくる今時女子たちは、みんなもちろんのこと「ア」と発音するし、「クティール キュート(とっても可愛い)」と言うなど、アラビア語に英単語を混ぜて話をする。
(※ クティールは英語のvery)

さすがに、英単語を混ぜまくってアラビア語を話すヨルダン人女子には出会ったことはないけど、今時の若いもんはこんな話し方をするのか、、、(笑)

(このドラマけっこう面白いのでオススメ)

ちなみにレバノンでは、このドラマの女子のような話し方をする人が多く、さらにフランスに統治されていた時代のフランス語も混ぜて話す人も多いそう(笑)

そう言うところからレバノンのアラビア語はフェミニン、女性的なイメージがあることもよく聞く。



私はヨルダンに住んでいた時は、地方に住んでいたので、女性も含め周りの人は「ガ」と発音していたこともあって、私も「ガ」の発音がスタンダードになった。

週末は首都アンマンに上がることも多く、ある日、オシャレなカフェでコーヒー(アラビア語でカフワ)を注文した。

注文時「ガフワを頂戴」を言っても通じず、レジの綺麗なお姉さんと何度かやり取りをした後、お姉さんが「あぁ、アフワのことね」と言い、私がコーヒーが欲しかったことをやっと理解してくれた。

その時の私は、まさに「方言を話す田舎から出てきたやつ」であり、少し恥ずかしい思いをしたため、それ以降は首都に上がるたびに、「ガ」ではなく「ア」と発音するような地味な努力を続けてきた(笑)


同じアラビア語でも、同じレバント方言でもさまざまな発音の仕方、表現があり、どう話すかによっても、その人のイメージをも作り上げてしまう。

そんな微妙な発音を使い分けながらアラブ人と話をするのが好きだ。





27ヶ月に渡って、毎月最低でも1記事は書こうと思って続けてきたけど、遂に先月はサボってしまった。

とても悔しい!
今後もぼちぼち続けていこうと思うので、たまに読みにきてくださったら、とっても嬉しいです!

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